小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.05.02更新

お
難治性の幼猫の下痢、遺伝子検査で発見された
猫トリコモナス症Trichomonas fetus

 他院からの転院症例の8ヶ月のスコテッシュフォーールドの雄猫です。

 前の動物病院でトリコモナス陽性と診断されメトロニダゾールの投与を受けて、遺伝子検査は陰性になりました。
 しかし軟便を繰り返すため東京都小金井市より本院を訪れました。


上記のように本院ではTrichomonas fetusは遺伝子検査で再度陽性でした。

■遺伝子検査はアイデックスRealPCRの下痢パネルを利用しています。 
 リアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を利用して、猫では8種類のよく見られる病原体を検出することができます。(写真)
 ウイルス・細菌・原虫など異なる種類の病原体を一度に検査できることも大きなメリットです。

 猫下痢パネル検体必要量:便5g(最低量1g)、可能な限り新しい便が良いですが、ここ1週間以内便の合計でも可能です。  塩からなどの空き容器に入れ、冷蔵保存して本院にお持ちください。結果は7日前後かかります。

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■治療 

 

 トリコモナスはメトロニダゾールが効果あることは少なく困った疾患です。
そこで別の抗トリコモナス剤の投与をしました。(写真)
しかし薬剤をやめると2週間で再発しました。薬剤を投与しているときは良いですがこまったケースです。
そこで3ヶ月位の間、徐々に薬剤の投薬期間を延ばしてみたら軟便は収まりました。
 トリコモナスは生後2年ぐらい経てば、体の免疫が上昇して、症状はださないようになることが多い疾患です。しかしTrichomonas fetusを完全駆虫できる薬剤もないと考えています。

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.05.02更新

オダガワtiger猫回虫(Toxocara cati)


 当院では猫回虫は多摩川など屋外でright arrow保護された猫でときどき診ます。ペットショップから猫を購入された場合はまず診ることは殆どなくなりました。希にヒトに感染する可能性もあり、発見したらすぐに駆虫することがベストです。2006年調べでは1例報告があります。(人が動物の生肉を食べた場合は除く)
 
 家庭では下記のcamera写真2,3の幼虫・成虫状態で発見されます。
動物病院では顕微鏡下でcamera写真1の虫卵の状態でも発見できます。虫卵は1日に2万ー20万個産みますが、産む日と産まない日があり、また便に均一に分布している訳ではないため、1回での検便での検出率は約70%位とされています。


camera写真1)猫回虫,虫卵、68-75×60-67μm 顕微鏡所見 

 
camera写真2)嘔吐した猫回虫
 

  

camera
写真3)駆虫薬で排泄後の猫回虫成虫、
3-7cm 雌4-12cm
 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

dire他の動物の回虫症は
dogright arrow犬回虫
chick
right arrow烏骨鶏の回虫症
chickright arrow
ハト回虫虫卵と成虫標本


あ
 猫回虫は ①直接被嚢子虫の経口感染、②経乳感染、③待機宿主の補食から感染し幼猫期に多い寄生虫です。 直接被嚢子虫経口感染した場合、猫は犬と異なり、年齢に関係なく気管移行型、体内移行型の両方が起こることが特徴です。

 気管移行型camera写真4)は未分化卵で外界に排泄したのち①10-30時間で幼虫形成卵になります。②この幼虫形成卵を経口摂取すると1-3時間で小腸にて孵化します。③そして2日間で肝臓・肺に移行します。④6日以後に肺へ移行(第3期幼虫)⑤10-21日で胃・腸に移行(第4期幼虫)します。(camera2)⑥そして28日で成虫が出現します。⑦56日で虫卵が排泄されます。
猫免疫不全ウィルス感染の症例で回虫卵が時々発見されるのはこの経路のためです。  

 温度によりますが、糞は1-3週間ぐらいたつと感染卵に変わりますので便は随時処置が必要です。排便してすぐに処理をすれば、他の猫への感染は未然に防げます。プリパテント・ピリオドは諸説ありますが48-56日位で犬回虫よりやや長めの報告が多いです。

 体内移行型camera写真4)犬と同じような経路を採ると推察されます。しかし猫回虫は胎盤感染がなく、子猫が乳汁を飲み腸管内で直接成虫になる経乳感染が起きます。 猫は補食動物なので、待機宿主(齧歯類など)からの感染が多いとされているが、現在動物病院に来院する9割程が室内飼いのため少なくなっていると考えています。待機宿主からの感染した場合も幼虫は腸管で直接成虫に成長します。寿命は犬回虫と同様1-2年です。

あcamera写真4)

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tiger駆虫剤

■レボリューション®(ゾエティス・ジャパン、皮膚滴下剤) 
 成分名のセラメクチンは猫回虫、ノミ、耳ダニの駆除とフィラリア予防が可能です。
6週齢から投与できるため、子猫でノミと回虫がいるときは本院では、好んで使用しています。頸背部の被毛を分け、容器の先端を皮膚に付けて滴下する簡便で確実なスポットオン液剤です。犬回虫には効果ありません。
 right arrow薬剤が溶解しているぶ形剤(アルコール様物質)にアレルギーを起こして、毛が抜けることが希にあります。

あ
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■プロフェンダー®スポット(バイエル薬品、皮膚滴下剤)
 成分名 right arrowエモデプシドEmodepside)right arrowプラジクアンテPragiquantel)の合薬です。
 猫と犬の消化管内に寄生する主要な蠕虫すべてのと条虫・吸虫の駆除を目的 とした薬剤で7週齢、500g以上の子猫から使用できます。
条虫・吸虫の駆虫薬right arrowプラジクアンテルと線虫駆除剤エモデプシドを配合 した構成になっており、猫回虫、right arrow猫鉤虫right arrow瓜実条虫、猫条虫、多包条虫など同時に駆除可能です。 この薬剤は猫回虫には、⑥猫回虫成虫、ほかに④⑤幼虫ステージも併せて約94%の効果を示します。
 この薬剤もレボリューション®同様、頸背部の被毛を分け、容器の先端を皮膚に付けて滴下する簡便で確実なスポットオン液剤です。ただし薬剤が溶解しているぶ形剤(グリセリン様物質)にアレルギーを起こして、毛が抜けることが希にあります。

あ
あ
camera写真5)レボリューション®、プロフェンダー®スポットどちらも
肩甲間部の皮膚に滴下すれば、終了です。簡単にできます。
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■ドロンタール®
【バイエル薬品、パモ酸ピランテル(Pyrantel)・
right arrowプラジクアンテルPragiquantel)の合薬】

あcamera写真6)ドロンタール®の経口投与で、涎を出して抵抗する猫

 ドロンタール®もプロフェンダー®スポットと同様、猫の消化管内に寄生する主要な蠕虫すべてのと条虫・吸虫の駆除を目的とした薬剤です。条虫・吸虫の駆虫薬right arrowプラジクアンテルと線虫駆除剤パモ酸ピランテルを配合 した構成になっています。

 猫は経口投与が大変な場合もあります。なお投薬後は猫に水を飲ました方が賢明です。薬剤の腸管からの吸収は殆どありません。

 パモ酸ピランテルは虫体の神経-筋接合部に作用し、脱分極性神経筋遮断によって感受性寄生虫の組織を麻痺させることにより駆虫作用を示します。
猫回虫、right arrow猫鉤虫、瓜実条虫、猫条虫、多包条虫など同時に駆除可能です。猫回虫では主に⑥の猫回虫成虫に効能を示します。
本院では経口投与すると涎を出して抵抗するネコが多くcamera写真6)、最近はレボリューション®またはプロフェンダー®スポットの使用が殆どです。

 以上、どの薬剤を使用しても猫回虫のプレパテントピリオド(経口感染 55-60日、乳汁感染35-42日)を考慮して、2週間位あけて、2回の投与は必要です。稀に人にも感染しますので注意が必要です。

 しかしどちらの薬剤も猫回虫には2週間あけて、2回の投与がベターです。

 

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 ■プロフェンダー®スポット(皮膚滴下剤)とドロンタール®錠(経口剤)の駆虫の相違 
 上記に記した生活史の中で、ドロンタール®錠は主に⑥の猫回虫成虫のみに効能を示します。プロフェンダー®スポットは④⑤⑥のステージの約94%の効果を示し、猫回虫成虫のみでなく幼虫移行症にも効能を示します。
 薬剤はグリセリン様物質に溶けているため、希に皮膚にアレルギーを起こして、毛が抜けることもあります。

 

 しかしどちらの薬剤も猫回虫には2週間あけて、2回の投与がベターです。

他に余談ですが、愛護団体、ペットショプで行う、『猫の虫下し』はここに紹介されているレボリューション®、プロフェンダー®スポット、ドロンタール®のいずれかを、獣医師から処方され行われていることが多いです。薬剤により異なりなすが、主に回虫、right arrow鉤虫right arrow瓜実条虫などに効能がありますが、他にも猫はトリコモナス、コクシジウム、マンソン裂頭条虫、壺型吸虫などに感染する場合もあります。これらの寄生虫は回虫、right arrow猫鉤虫right arrow瓜実条虫とは駆虫剤は異なります。『虫下しは済んでいる。』は一般の方はすべての寄生虫がいないと勘違いしているケースが多くみられますが、以上の理由で100%内部寄生虫がいないことを指す訳ではありません。

 またもうひとつ一般の方が勘違いしやす用語で 『検便済み』で購入されることがありますが、これは検便した日の便に寄生虫がいないことを示し、上記同様に100%内部寄生虫がいないことを指す訳ではありません。
寄生虫は卵を産む日と産まない日があるため複数回検便を行う、遺伝子検査、また便の状態など日々の観察が必要です。

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chickright arrowハト回虫 虫卵と成虫標本
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dogright arrow犬鞭虫症とは
chickright arrowセキセイインコのジアルジア症
right arrowノミの生態


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.05.02更新

あtiger『猫のカゼ』、FVR感染 


  FVR感染の原因は猫ヘルペスウイルスの感染でおきます。幼少期と10歳を超えた猫に多く診られます。
 仔猫の頃、FVRという『猫カゼ』に感染した場合は、どんな猫でも加齢とともに発症する可能性があります。仔猫のころ罹患した『猫カゼ』が治っても、原因のヘルペスウイルスは死滅した分けではなく、感覚を司る知覚神経の根元にある神経細胞内に潜在しています。
 加齢、ストレス、出産などで、免疫状態が低下するとヘルペスウイルスは末梢神経を伝わり、鼻、目でウイルスを排泄するためくしゃみ。目やにの症状をおこします。

 70%位の予防効果がワクチンがあるので、投与が最適です。
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■ネコの幼少期のFVR感染について。
 母猫は出産時の免疫を最大限に落とす状態になります。出産する母ネコに「猫のカゼ(FVR感染)」の既往歴があると、ヘルペスウイルスは神経細胞から末梢に出現します。
 出産後母猫は子猫を舐めますので、生まれた子猫にヘルペスウイルスを感染させてしまうことになります。そのため子猫は「猫カゼ状態」でよく保護されます。

あこの症例は3ケ月の仔猫のFVR感染です。二次感染もなく、軽度だったため、
インターキャットの点鼻のみで3-4日でよくなりました。

あ
この症例は2ケ月の仔猫のFVR感染です。二次感染も診られ、重度なので、抗ウイルス剤、抗生剤の投与を考慮しました。

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■老猫のFVR感染について。
  再活性化される原因は上記の加齢、ストレス、出産に加え、癌や糖尿病など免疫の働きが弱くなる病気に罹患した場合、またステロイド剤、免疫抑制剤など免疫の働きを弱める薬剤を使用しているとおきやすくなります。そのため10歳を超えたネコでFVR症状がよく見られます。
ヒトも帯状疱疹というヘルペスウイルス感染疾患はあり、健康状態が良くないと、ウイルスが末梢に現れ肋間痛などをおこしやすくなるそうです。
a

  15歳でく鼻水、目やにを呈して来院した症例です.このような『ネコ風邪』症状で来院した場合は礎にヘルペスウイルス感染があるケースが多いです。治療には抗ウイルス剤・抗生剤の投与が必要です。 
 鼻水は、鼻の穴の奥にある、鼻腔の表面の鼻腺という分泌器官で作られる粘液と、粘膜からにじみ出る水分が合わさった成分です。50%は鼻を加湿しますが、すぐに蒸発します、残り50%は自然に飲み込まれています。鼻水の役割は大きく分けて二つあります。一つは鼻から吸い込まれた空気に湿気や温度を与えて肺に適切な空気を送る作用があります。。もう一つは鼻に入った異物を排泄ささせます。ウイルスなどが粘膜につくと、その刺激が脳に伝わり、異物を排除しようと自律神経を通じて「鼻水を作れ」と指令が出ます。この状態がこのネコです。                                                  
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■診断
 
一般的には臨床症状からFVR感染を疑います。しかし転院症例など時間が経過した場合は臨床症状のみでは判断しずらい場合もあり、ネコ上部呼吸器疾患の遺伝子検査をお薦めしています。しかし検査料金が高くなる点が欠点です。

あアイデックス社の遺伝子検査

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■治療
 ヒトは視覚で味覚を判断しますが、猫は嗅覚で味覚を判断します。そのため『猫カゼ』で鼻の嗅覚が失られることは大変なことです。猫は食欲がなくなると36時間で脂肪肝を発症します。そのため必要に応じて薬剤とは別に強制給餌が必要です。『猫カゼ』に加えて、脂肪肝の治療も必要な場合も生じますが、この状態になると治療しても死亡率が高まります。また完治には最低1ヶ月を要します。とくに肥満の猫は注意です。

あ

 抗ヘルペスウイスル剤の投与が最適ですが、欠点は薬価が高い点です。
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あ L-リジン製品はサプリメント製剤です。著者はヘルペスウイルスの治療には高い効能は示しませんが、予防効果はあると考えています。欠点はL-リジンそのものは嗜好性の良いサプリメントとはいえない点です。食事に混ぜたばかりに、猫の食欲が落ち体調を崩したケースもあり注意が必要です。 しかし最近はメーカーの企業努力で、かつお風味、チュアブル製剤も販売されて、よく食べてくれるようにはなりました。
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インターフェロン製剤のインターキャットはすでに感染した細胞には効果はありません。しかしあらたな感染の予防は可能です。注射、点鼻などで使用します。
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 抗生剤は二次感染をおこしている場合に使用します。

 

direネコの病気

tigerright arrow猫のカゼ』、FVR感染
tigerright arrow猫のワクチン
tigerright arrow猫免疫不全ウイルス(通称、猫エイズ)とは
tigerright arrow仔猫の疥癬
tigerright arrow5歳猫のトリコモナス

 


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2018.05.02更新

あtiger検便で発見される猫の寄生虫・原虫


  私の動物病院のあるright arrow川崎市多摩区はJR川崎駅から16キロ位離れた川崎市北部に位置しています。川崎駅や武蔵小杉駅に代表されるような大きな複合商業施設はある場所ではありません。また付近に田畑は多くありませんが、昔ながらの商店会があり、多摩川が流れに沿って遊歩道が整備され、藤子不二雄ニュージアムに代表される緑地公園のある場所で開業しています。

 このような地域なためネコの寄生虫疾患の来院は多い訳ではありませんが、関東付近の施設の結果をみると、まだ感染は診られますので注意は必要です。

①埼玉県の動物愛護施設のデーターですと、ネコの寄生虫陽性率は全体の42.1%(456/1079)で。(1999-2007年調べ)tigerright arrow猫回虫tigerright arrow猫鉤虫tigerright arrowマンソン裂頭条虫tigerright arrowコクシジウム・クリプトスポラジウム・tigerright arrow壷型吸虫の順に多いそうです。
 
②東京都中野区周辺では、寄生虫陽性率は48%で、tigerright arrow猫回虫のみ50.1%、tigerright arrow猫回虫+コクシジウム33.3%、tigerright arrow猫鉤虫+コクシジウム8.3%、tigerright arrowコクシジウムのみ8.3%あり、猫はtigerright arrow回虫コクシジウムが多いみたいです。

 川崎市多摩区の本院ではtigerright arrow猫回虫tigerright arrow瓜実条虫tigerright arrowマンソン裂頭条虫tigerright arrow壺型吸虫の症例が時々来院します。tigerright arrow猫鉤虫は殆ど診ません。6ヶ月令からtigerright arrowトリコモナス性の下痢がよく診られます。

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■ヒトと寄生虫 
 医学部の寄生虫学教室(医学部では医動物の呼称)も10年前より減少していてマイナーに考えられがちですが、ヒトの大学病院にときどき「寄生虫外来」の看板をみるように、油断していると動物の寄生虫疾患はヒトに罹患します。そして罹患した場合は重傷化した状態になっています。下記紹介する寄生虫では猫回虫、猫鉤虫、right arrowマンソン裂頭条虫、瓜実条虫はヒトに感染した記録はありますが他の寄生虫も注意は必要です。 

そして猫回虫原因は ①西日本に多いと聞きますが、ヒトが豚・鳥・牛の生レバーや正規ルートでない鹿の肉を食べたり、②ペットとキスしたり、同じ食器で食事を食べる、オーナーの顔を平気で舐めさせるなど過度なスキンシップによる感染、③内部寄生虫・外部寄生虫(ノミ、ダニ)がいても駆虫しない。④不明以上4点でヒトに動物の寄生虫の感染がうつると分析されています。減少はあっても絶滅はできないのが寄生虫の特長です。また①②③の原因は未然に防げます。ペットから寄生虫感染する場合は多くありませんが、大切なことはペットとは節度ある関係を保って生活することです。

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あ

tiger猫回虫Toxocara cati 
 tigerright arrow猫回虫は ①直接被嚢子虫の経口感染、②経乳感染、③待機宿主の補食から感染し幼猫期に多い寄生虫です。 直接被嚢子虫経口感染した場合、猫は犬と異なり、年齢に関係なく気管移行型、体内移行型の両方が起こることが特徴です。回虫はズーノ-シスと言って、希に人のも感染しますので、注意してください。

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あ

tiger猫鉤虫 
 猫鉤虫はright arrow本院の付近では多くは診ません。猫鉤虫は犬鉤虫と極めて似ています。成虫は♂10-11mm、♀12-15mmで犬鉤虫よりやや小型で細長く、交接刺が長いことが特徴です。小腸粘膜に食いついて猫の血液を吸って栄養にしています。重症化すると貧血、栄養不良を伴い子猫は死亡する場合もあります。
■感染経路 
 糞便とともに外界に排出された虫卵が第3期感染幼虫となり経口感染し小腸に寄生します。
■診断
 検便で可能です。(写真は検便で診られた猫鉤虫卵です。)
■駆虫
回虫と同様の薬剤で可能です。

 一般的な駆虫済みは、上記した猫回虫、猫鉤虫の駆虫を指します。すべての寄生虫の駆虫ではありません。

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あ

 tiger猫コクシジウム
 駆虫はtigerright arrowトルトラズリルやサルファ剤の投与になりますが、サルファ剤はtigerright arrowコクシジウムの特異的駆虫剤ではなく、無性生殖のtrophozoiteからschizontの発育最終段階の抑制をおこない生活環を遮断して増殖を抑制します。
 そのため 駆虫は最低7日はかかると推測されます。下痢の症状なく糞便検査で偶然に発見されるケースは1-2週間の駆虫でよくなることが多いですが、環境整備が不十分だったり、ネコの免疫力が低下していると駆虫日数が月単位かかることもあります。
 仔猫で頻回の下痢が診られると、サルファ剤が効果を示す前に脱水等で死亡することが多い怖い病気です。
 筆者はサルファ剤の種類はスルファジメチキシン(アプシード®)よりスルファモノメトシキン(ダイメトン®)製剤が良いように感じています。他にトリトラズリルの投与も可能とおもはれます。


■環境 
猫の糞に残っている
right arrowコクシジウム卵が猫の足につき、卵の付いた足を舐めることで、再感染がおきます。
糞は1日経たないと感染型になりませんが、早く始末することは大切です。
 また消毒薬には抵抗を示すので、使用したトイレなどは熱湯などかけることが最適です。

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あ

tiger猫トリコモナス Trichomonas fetus  
 tigerright arrow猫トリコモナスは動物病院の現場では、慢性の大腸性下痢になり来院します。
 本院では6ヶ月-1年の間の猫がこのような症状で来院します。
 
◆良く動物病院で使用する直接検便ではトリコモナスはやっかいなことに14%と検出率がよくありません。 
  そこでright arrowRealPCR検査という遺伝子検査は86%のトリコモナスは診断可能です。(希望の方は1週間以内の便を5g持参のこと。可能なら要冷蔵がベスト)しかしやや高額な検査のため、オーナーの了解がとれないケースもあります。そこでオーナー了解のもとトライアル治療も試みている場合が多いです。
 
 このトリコモナスがなぜ大変かといえば、抗原虫薬の定番メトロニダゾールが効能を示さないことが殆どです。 海外の文献で紹介されているロニタゾール(日本未発売、本院もありません)が良い意見もありますが、一旦改善しても、また下痢がおこることもあり100%治る駆虫剤はないと筆者は考えています。right arrow本院ではチニダゾールを治療薬として使用しています。
 
 まtigerright arrowトリコモナスの排泄便はすぐに処理する必要があります。シストはないので、乾燥下での状態で長く生きられませんが、猫が湿った糞便に足底が触れると舐めて次世代の感染につながります。多頭飼いの場合は特に注意が必要で、動物系専門学校などで発生すると駆除が大変です。
 
 写真の症例はタイミングが良く、検便でtigerright arrowトリコモナスとおもはれる虫体が発見されました。動きが早く確定には至らなかったので、確定診断のためライトギムザ染色を行いました。

 right arrowトリコモナス臨床症状がないときは、感染猫の90%が無治療で2年以内に改善しますが、その後生涯キャリアとなります。また併発疾患により再度下痢を主訴に来院するケースもあります。

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あ

tigerウリザネ条虫 Dipylidium caninum  
 ウリザネ条虫は円葉条虫類に属します。体壁に子宮孔(産卵孔)がなく、片節内に虫卵は貯まり、組織内の代謝活性が低下して、老熟片節が写真のように契れて、便と共に排泄されます。すなわち殆どが体節の中に卵が含まれたまま体外に出されます。そしてこの体節が外界で壊れて虫卵が露出します。

 この寄生虫の診断はこの排泄された体節を「米粒のような虫が糞についてきた」というオーナーの稟告て発見されます。
 この寄生虫は犬猫に感染します。臨床症状は少なく診断は検便ではなくオーナーの主訴が中心なので、感染率が過小評価されています。なお腸管内でこの体節が壊れ、検便で検出可能な場合も希におきます。
 ノミが中間宿主になり重要なウエイトを示します。排泄された虫卵はノミに補食され体内で育ちます。犬猫はノミが感染すると皮膚を口でグルーミングし経口感染します。よってノミとウリザネ条虫の2つの駆虫剤が必要です。
 ウリザネ条虫の駆虫にはbookright arrowプラジクアンテルが最適です。注射・経口・皮膚滴下などの方法が可能です。
ノミはフィプロニール・セラメクチンなど皮膚滴下剤またスプノシドなど経口剤を投与がお薦めです。人のも感染する可能性があり、積極的な定期駆虫が理想です。 

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あ

tigerマンソン裂頭条虫 Diphyllobothrium mansoni
 tigerright arrowマンソン裂頭条虫tigerright arrow擬葉条虫類に属し、頭節の背腹両面中央に縦に走る扱溝があることが特長です。
 吸盤、吻など固着器官はありませんが、体壁に子宮孔(産卵孔)があり虫卵が腸管内に排泄されます。
 そのため診断には体節が排泄されるウリザネ条虫のようにオーナーの目視ではなく検便が必要です。虫卵は未発育の状態で排泄されます。 
◆生活史 
 中間宿主は2つもちます。虫卵から出た幼虫はミジンコの体内で成長し(第一宿主)、次にカエルの体内で成長し、犬猫に食べられることを待ちます。(第二宿主)また、カエルがヘビに食べられた場合はも同様に、理論上は犬猫へに食べられることを待ちますが、ヘピを食べる犬猫に遭遇した経験は私はありません。(待機宿主)
◆注意点 
 駆虫はtigerright arrowプラジクアンテルを使用します。瓜実条虫の約6倍量で可能です。1回の駆虫でほぼ完治はします。投与量が多くなるので、注射液の使用が最適です。しかし再寄生がら虫卵排出まで7-10日と早く、外に出てカエル・ヘビを食べる癖のある犬猫は注意が必要です。tigerright arrowマンソン裂頭条虫卵が前の動物病院の駆虫後、14日たって検便で診られた為、効果ないと勘違いして本院に転院してきた症例もありました。プラジクアンテルの6倍量は駆虫剤としては治療費は高額になりますので、可能なら外に出ないなど、この点は十分な配慮が必要です。
◆人への感染 
 犬猫から直接感染ではなく、待機宿主として感染します。主にカエルの刺身・加熱が不十分なヘビ料理を食べておきます。ヒトの腸はマンソン裂頭条虫の生育には適していません。そのため腸管から逸脱して、皮膚や肝臓、酷いときは眼などに感染します。この状態をマンソン孤症と定義されています。駆虫薬プラジクアンテルは効果なく、処置は外科のみになります。                                                                                                                                     

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あtiger壺型吸虫
◆生活史 
 壺型吸虫は中間宿主を2つもちます。 
◆駆虫 
 駆虫はbookright arrowプラジクアンテルを使用します。瓜実条虫の約5倍量で可能です。投与量が多くなるので、注射液の使用が最適です。水田地帯や湖沼川のある地域では第二中間宿主が類似しているためマンソン裂頭条虫と混合感染がよく診られます。                                                                                      
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あ

tiger参考 クロストリジウム属(Clostridium)の増殖疑い
 クロストリジウムは腸内の細菌で寄生虫ではありません。下痢便をグラム染色すると、グラム陽性の長桿菌・芽胞菌が多く診られクロストリジウム属(Clostridium)の増殖で腸内細菌の異常がおきている考え、抗菌剤を使用しています。再発の多い場合は基礎疾患を考慮しなければなりません。

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2018.05.02更新

おtiger猫のワクチン


  猫のワクチンには大別すると、猫3種混合ワクチン、猫白血病ワクチン、猫エイズワクチンがあります。

室内単独飼育で、tigerright arrow猫白血病tigerright arrow猫エイズの検査が陰性なら、
特別な場合を除き、これらの病気に罹患する可能性はまずありません。
以上の理由で、本院では猫の殆どが室内飼育のため3種混合のみを使用しています。

 屋外飼育のネコや同居猫に猫白血病、猫エイズ陽性がいる場合、オーナーよく相談して他のワクチン接種が必要か考えて決めています。
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tiger猫3種混合ワクチン

わ 
 猫カリシウイルス感染症・猫ウイルス性鼻気管炎・猫汎白血球減少症の3つのワクチンです。接種してから2週間位たって効力を発揮します。
 先の2つはよくネコカゼと言われているウイルス性疾患で70%位の予防が可能です。また接種した場合重症化しないとされています。
 猫汎白血球減少症(別名、ネコパルボ感染症、ネコデンパー)はパルボウイルスによりおこる嘔吐下痢を主症状の致死的な伝染病です。このワクチンは優秀で98%位予防は可能です。
 ワクチンは0歳時は生後2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月。3回投与その後、年1回の投与を薦めています。

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 tiger最近、ネコカフェではネコパルボ感染症の発生報告があります。(下記参照)

平成30年8月1日のネットより

a

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tiger猫白血病ワクチン

 猫白血病は母子感染また同居の猫同士が舐めあうことで感染します。
初診の猫が来院した場合、猫白血病ワクチンは猫白血病検査が陰性であることを条件に接種します。
しかし猫白血病検査は陰で、外に出なければ、あらたに感染はしません。そのため検査陰性の室内飼育猫には接種しないことが多いです。このワクチンの接種対象は外にでる猫や同居猫が猫白血病に陽性の場合もには薦めています。

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tiger猫のワクチンアレルギー

わ
 猫のワクチンアレルギー は10万頭に1頭の割合でおきます。ワクチンを投与した日はよく見てあげてください。

 


 

dogright arrow狂犬病予防接種
dogright arrow犬の混合ワクチン


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.05.02更新

あtiger遺伝子診断診断した猫ヘルペスウイルス結膜炎


あ

あ

 1歳の避妊済みのアメリカンショートヘアーです。結膜炎を繰り返すため来院しました。涙液量(STT-1)は右眼は25mm/min、左眼は30mm/minで、フルオルテスト、左右眼とも正常、結膜の細胞診は左右眼とも白血球が散在されました。原因の特定につながることを期待して、猫上部呼吸器パネルの検査をおこないました。

あ

 結果は(上記)猫ヘルペスウイルス感染が陽性を示しました。仔猫のとき猫ヘルペスウイルス感染に罹患すると、ウイルスは三叉神経に感染し潜みます。潜んでいたウイルスは『ストレス』、『免疫の低下』などにより、末梢神経を伝わって移動して、眼瞼に到達して結膜炎をおこします。ヒトでいう帯状疱疹に似たような発症をします。

 治療には抗ウイルス剤の投与が大切で本日より始めてもらいました。抗ウイルス剤は初期のほうが効能は診られます。この症例は少し時間がたっているので時間はかかると推測しています。

 


direネコの病気

tigerright arrow猫のカゼ』、FVR感染
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tigerright arrow仔猫の疥癬
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投稿者: オダガワ動物病院

2018.05.02更新

あ
tiger子猫のノミの駆除、生後最短で使用可能や薬剤は

 

 ノミが沢山いる生後40日位の猫が保護しました。まずシャンプーをしましたが、うまくいかず来院した仔猫です。
 まず、シャンプーでは残念ながらノミおちません。(ノミとりシャンプーをふくめ)
シャンプーでは洗い落とす効果はありますが、ノミは失神するのみです。

今回使用したright arrowノミ駆除剤レボリューショは生後6週令から使用が可能でノミ駆除98%です。

 またノミは人にも感染します。早めの駆虫がお薦めです。

 


ノミの感染皮膚 皮膚は『黒こしょう』をまいたように見えます。


ノミ(顕微鏡所見)


ノミ駆除剤レボリューション

レボリューションは背中滴下すれば血中を介して全身に回ります。簡単にできます。

 冒頭の症例は保護して約3週間後に来院しました。その日レボリューションを滴下したところ、翌日にはノミはいなくなりました。

 


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投稿者: オダガワ動物病院

2018.05.02更新

あtiger猫カゼ(FVR感染)、二次感染症例


あ愛護施設から本日つれてこられた生後4ケ月の雌の仔猫です。

外見からright arrow幼少期に多い猫カゼ(FVR感染)の様子がありました。
この疾患はヘルペスウイルスの感染が主な原因です。

この症例は他に結膜の炎症が酷く、鼻汁もでていました。
そのため結膜、鼻汁の検査もしました。

仔猫でよくみられるright arrowノミはいませんでした。
right arrow検便陰性でした。

あ右鼻のぬぐい液の簡易染色、好中球が主体で中毒性変化がありました。(左鼻も同様な所見ため割愛します。)

あ右結膜のぬぐい液の簡易染色、好中球が主体で中毒性変化がありました。(左結膜も同様な所見ため割愛します。)

 食欲はありましたが、熱が40.0度もあり、元気はありませんでした。
以上の所見より、猫カゼ(FVR感染)に、二次感染が加わった症例と診断しました。

 処方は抗生剤の経口投与と点眼薬、点鼻薬として、抗生剤、インターキャット®を使用しました。

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dire1週間後の来院

あ

 体温も38.5度と正常に戻り、鼻・目の臨床症状はたいぶ改善され、この日、3種混合ワクチンを接種しました。

  この症例は回復しましたが、猫カゼになって期間が長い症例や、right arrow猫白血病(FeLV)right arrow猫エイズ(FIV)に仔猫から罹患している場合は回復しないケースや、副鼻腔炎がのこることもあります。

 また似ている疾患として、クラミジア感染があります。鑑別にはright arrow遺伝子の検査が必要になります。

 


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投稿者: オダガワ動物病院

2018.05.02更新

おtiger仔猫の疥癬


 推定、生後5-6週齢の雄猫を保護し、自宅で飼育を希望したいため診察を依頼されました。(体重840g)体温、聴診は正常ですが、両目が結膜炎状態で、またクシャミも診られ所謂 猫カゼ(猫ヘルペス感染)に罹患しました。検便は陰性で、皮膚を診ているとノミが発見されました。本院付近で、保護された仔猫はこの猫カゼ、消化管寄生虫、ノミはよく診られます。
またこの猫はよくみると耳介に左右対称に痂皮が診られました。そこで皮膚を精査すると疥癬が発見されました。猫の疥癬の正式名称は猫小穿孔ヒゼンダニの感染になります。

a(写真1)この仔猫はよくみると、耳介の先に痂皮(黒矢印)が診られ、よく掻くそうです。

a (写真2)耳介の皮膚を調べると、疥癬(黒矢印)が診られました。(100倍)

あ(写真3)拡大すると疥癬はこんな様子です。(400倍)

 そこで治療ですが、ノミ、疥癬に効果あり、幼猫で使用可能な薬剤として、セラメクチンの皮膚滴下療法をおこないました。
この薬剤はノミへの効能は認可ありますが、疥癬は効能外使用になりますが効果あります。
使用の決め手は生後6週齢から使用の認可を得ている点です。
 疥癬によく使用されるイベルメクチンの中用量投与はこの時期、脳脊髄門が未完成で副作用が出る可能性があるため、この薬剤は助かります。ノミ、疥癬はヒトへも感染しますので注意が必要です。

 

dire他の動物の疥癬症
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dogright arrow犬疥癬はヒトに接触感染します
rabbitright arrowうさぎの疥癬

 


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2018.05.02更新

a
tiger猫鉤虫 (Ancylostoma tubaeforme)

 本院の地域では猫鉤虫の感染は希です。今回は保護された仔猫で発見されました。症状は軟便のみが診られました。
 
■成虫
  猫鉤虫は犬鉤虫と極めて似ています。成虫は♂10-11mm、♀12-15mmで犬鉤虫よりやや小型で細長く、交接刺が長いことが特徴です。

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■虫卵
顕微鏡 100倍

 
顕微鏡 400倍

 虫卵の大きさは55-76×34-45umで顕微鏡所見では犬鉤虫とは区別はできません。
 感染様式は犬鉤虫とほぼ同様ですが胎盤感染は証明されていません。猫鉤虫の成虫寿命は約2年で、雌は最盛期に1日5千-2万個の虫卵を排泄します。ただし虫卵の排泄は変動がある点、また糞便中に均等に分布しているわけではないため1回の検便で必ず検出が可能ではありません。排泄した虫卵は7-10日で感染型幼虫(第3期フィラリア型子虫)になります。土壌や湿った環境に存在し、猫では鼻粘膜、皮膚の毛穴など経皮感染が主要な経路と考えられていますが、専門書によっては経皮感染は否定的で経口感染が主な意見もあります。寄生部位は小腸です.
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■駆虫剤

皮膚滴下タイプ
 
経口薬
 
 猫鉤虫の駆虫は線虫類のright arrow猫回虫と同じ薬剤になります。猫鉤虫が経口感染したときプレパテント・ピリオドは14-21日と報告されており、この期間を目安に再投薬が必要です。
 
  以前は猫に使用しない方がよいとされてきいたなジゾフェノール製剤(商品名 アンサイロールなど 製造中止)が多く駆虫剤として使用されていましたが、最近の薬剤はネコに副作用は殆ど心配なく行えるようになりました。

 


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