小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.05.31更新

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 動物の皮膚糸状菌の治療
ご注意
他の動物病院の処方薬剤、インターネットに記載されている薬剤、
の電話説明はお断りしています。
当院での薬剤希望の方はペットをつれて診療時間内に来院ください。

 
  皮膚糸状菌は病変部が小さいと自然治癒する場合もあります。
薬剤を使用する場合は抗真菌薬の経口投与が中心です。
ヒトにも感染しますので注意は必要です。
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cameraイトラコナゾール錠剤

 写真のアゾール系真菌剤のイトラコナゾールの経口投与を行っています。2-3週間位投与で70%位は外見上はよくなります。その時点で培養が陰性なら治療終了でよいと考えています。培養すると陽性になる場合は、4週間の期間の薬剤投与で約90%はよくなります。(学術誌による)またこの薬剤(錠剤・粉末に限る)は食事と共に飲むことが推奨されています。

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cameraケトコナゾール錠剤

 同じアゾール系真菌剤でも写真のケトコナゾールの経口薬は日本にありません。特に猫では抗真菌効果は高くなく、食欲不振になる場合もあり使用は薦められません。代謝酵素P450の抑制するので、肝臓障害や副腎のホルモン産生が減少するため、海外では生産が宿小傾向になっています。胃内が酸性のとき、吸収が良い薬剤で、ヒトの投薬例では食事、コカコーラと共に薬剤を飲むことが推奨されています。動物でも食事と共に飲むことが推奨されています。
 上記の副作用を逆手にとって、猫のクッシング症候群などには使用しているケースはあります。


ケトコナゾールクルーム
ケトコナゾールローション

  camera写真のケトコナゾールはクリームとローションの形態は日本にもあります。副作用の軽減が目的で塗布を希望される方もいますが、塗布後舐めてしまい逆効果になることもあります。
  ローションならバニシング製剤なので、塗布してすぐに乾くからよいと考える方もいますが、この薬剤はヒトの皮膚の角質に感染する皮膚糸状菌を対象に作られました。しかしヒトでも爪・髪の毛に感染する皮膚糸状菌は外用(クリームとローション)では浸透は厳しいので、経口薬が必要です。 動物の皮膚糸状菌は後者の被毛に感染するので、同様にクリーム、ローションの浸透は厳しいと考えています。
 また 『クリーム製剤』と聞くと、やさしいイメージがありますが、軟膏製剤に界面活性剤をいれた製剤で、ヒトでは衣服にべトつかないなど利点もあります。しかし皮膚糸状菌の疾患で皮膚病変が深くまでおよんでいるとクリーム製剤の使用により、界面活性剤の影響を受けて、悪化する場合が報告されています。
 また実際動物を診ても、どこまでの被毛が、皮膚糸状菌が感染しているか、境界は肉眼では不可能で、どの部位まで塗布すればよいか考えさせられます。
 以上が皮膚糸状菌の動物症例に塗布剤を使用しないほうがよい理由です。

 

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 以上の理由で、上記のイトラコナゾールの経口薬の使用がベストです。当院では経験はありませんが、イトラコナゾールの4週間投与でも治らない疾患は、 基礎疾患を探す必要もあります。また長毛種は経口薬を使用しても、毛幹部には薬剤は浸透しますが、毛の先までは浸透しませんので、再発防止のために毛を刈っての投与がベストです。また犬猫では可能なら、抗真菌性シャンプーの併用も考慮してみます。症状・培養結果をみながら投与期間は決めています。イトラコナゾールの投与期間が長くなる場合は、その特性を考慮してパルス療法への変更が良いと考えています。


right arrow皮膚クルーム製剤使用で悪化したウサギの皮膚

 


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投稿者: オダガワ動物病院

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