■難治性の幼猫の下痢、遺伝子検査で発見された
猫トリコモナス症Trichomonas fetus
他院からの転院症例の8ヶ月のスコテッシュフォーールドの雄猫です。
前の動物病院でトリコモナス陽性と診断されメトロニダゾールの投与を受けて、遺伝子検査は陰性になりました。
しかし軟便を繰り返すため東京都小金井市より本院を訪れました。
上記のように本院ではTrichomonas fetusは遺伝子検査で再度陽性でした。
■遺伝子検査はアイデックスRealPCRの下痢パネルを利用しています。
リアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を利用して、猫では8種類のよく見られる病原体を検出することができます。(写真)
ウイルス・細菌・原虫など異なる種類の病原体を一度に検査できることも大きなメリットです。
猫下痢パネル検体必要量:便5g(最低量1g)、可能な限り新しい便が良いですが、ここ1週間以内便の合計でも可能です。 塩からなどの空き容器に入れ、冷蔵保存して本院にお持ちください。結果は7日前後かかります。
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■治療
トリコモナスはメトロニダゾールが効果あることは少なく困った疾患です。
そこで別の抗トリコモナス剤の投与をしました。(写真)
しかし薬剤をやめると2週間で再発しました。薬剤を投与しているときは良いですがこまったケースです。
そこで3ヶ月位の間、徐々に薬剤の投薬期間を延ばしてみたら軟便は収まりました。
トリコモナスは生後2年ぐらい経てば、体の免疫が上昇して、症状はださないようになることが多い疾患です。しかしTrichomonas fetusを完全駆虫できる薬剤もないと考えています。
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