小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2014.11.08更新

boartigerrabbitsnakemouseノミの生態

 ■ノミの感染
 私の動物病院のある川崎市多摩区ではノミは暑くなる時期(5-6月)より診られ、冬場(11月以後)になると殆ど診ません。 しかし最近はその傾向に変化が見られ、最近マンションで飼育される動物は飼育条件がよい関係で、秋-冬になっても少数ですがノミが診られます。
 また罹患動物はイヌ、ネコが主ですが、ウサギ・フェレット・ハムスターにも時々診られます。
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写真①

 camera写真①のノミ成虫の大きさは大体0.3mm-0.4mmで、ノミから見て1m60-80cmあるヒトはエベレスト山ぐらいに相当します。ノミはジャンプが得意で約1mも跳ねます。これもヒトに例えれば東京タワーの第一展望台まで飛び上がることに相当します。ヒトの走り高跳びは電話ボックスをこえる位が世界新記録(2m45)なのでノミのジャンプ力は驚異です。
 
 写真②、メルク社のポスターより(改) ノミの繁殖サイクル
 
 ■ノミの生活史
 ノミは卵から幼虫、そしてさなぎ、成虫へと形態が変化していきます。卵は約0.5cmの白色卵で約1-10日で孵化して幼虫になります。幼虫は室内の片隅で、脱皮をくりかえし。約4-5mmに成長します。約8-18日で眉をつくりさなぎになります。さなぎは期間は約7日から6ヶ月です。そして温度条件がよいと羽化して成虫になります。これらのライフサイクルの循環するスピードは温度・湿度・環境によりノミの増殖は左右しますが梅雨時期は12-14日、春、秋は3-4週間、冬季は180日かかります。ノミ成虫は通常10-20日間生存でき、雌は1日10-20個の卵を産みます。気温が13度あるとcamera写真②のノミの繁殖サイクルは活性化します。都市のマンションは風通しが悪く、湿気が高く、ノミが増えるには良い条件になっている場合が多く、本院の外来でも、冬場はマンションで飼育している動物でときどきノミを診ます。風通しの良い『田舎のおじいちゃん・おばあちゃんの家』が ノミを繁殖させないとこには理想的な環境です。
 またエネルギー消費量を考慮して卵、幼虫、さなぎ、成虫で形態を考察すると、卵、さなぎの時期はエネルギー消費量は、床をはえまわる幼虫、カップルを求め、交尾したら卵を産むため動き回る成虫の10分-100分の1ぐらいのエネルギーしか必要としない試算もあります。エネルギーを使用すればするぼど、時間は早く進むと仮定すると、卵、さなぎはゆっくりした時間を過ごし、また幼虫や成虫はエネルギー消費が多いため、それらにくらべ早い時間を過ごすと推測されます。ノミは各ステージの目的にかなうよう時間の経過を設定していると考えられています。
 イヌノミは犬に、ネコノミは猫に感染することがノミにとって最も良い環境ですが、猫ノミは犬・うさぎ・フェレット・ヒトなど種を超えて感染します。北半球の日本ではイヌに感染したノミの60-70%位がネコノミです。
 また犬猫の瓜実条虫・ヒトの猫ひっかき病・犬猫ヒトのノミアレルギーなどを媒介します。
 
 感染は跳ねて別の動物の皮膚に移り寄生生活を始めるか、またオーナーの靴底に付着したノミの卵が成長して犬猫に感染します。
                 

 
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ノミに感染していると皮膚は『黒こしょうのようなブツブツ』が診られます。 
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写真③④、猫のノミ成虫感染の皮膚(③④)
これら『黒いブツブツ』はノミおよびノミの糞のことが殆どです。皮膚についた泥との区別は水道水を少々かけると、
ノミ糞は血を吸っていますので写真のように赤くなります。
 

 写真⑤ ノミ取り櫛を使用すると、ノミとノミの糞がこのようにとれました。
 

逆に少数寄生の場合は皮膚を診ただけだは診断不可能な場合もあります。ノミ取り櫛を使用することは診断の補助になります。

 


 camera写真⑥、環境中のノミ成虫の割合
 ノミの診断は皮膚で発見される成虫(写真①)でしかおこなえません。成虫は写真⑥を見るとノミ全体の5%を占めているのみで氷山の一角を見ているに過ぎません。し5匹のノミ成虫が皮膚で発見されたら、環境に95匹の未成熟のノミ(さなぎ・幼虫・卵)がいる計算になります。
そのためノミの駆除には薬剤は長い間使用が必要になります。

■ノミに刺されると
 筆者の経験ですが、ノミに刺されると、ひどい痒みが生じます。
獣医資格をとったころ、庭や廊下にノミが飛んでいるお宅に往診にいって刺されたことがあります。赤く腫れ、虫刺されの薬を塗布しても全く効果なく、1週間は大変でした。
この往診した御宅のように、いつもノミがいる環境で、この状態がずっと続くと考えるとゾットします。
 




 

 
 
 




 

 

投稿者: オダガワ動物病院