小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2022.09.03更新

 

あ tigerネコの瓜実条虫、屋外飼育例
(うりざねじょうちゅう、 学名 : Dipylidium caninum


padご注意
このホームページに記載されている疾患の予後、
薬剤の説明、他の動物病院の処方薬剤、

インターネットに記載されている薬剤などの
電話相談は診療の妨げになりますので
お断りしています。

当院での診療、薬剤希望の方はペットをつれて時間内に来院ください。


あ
(写真1)70%アルコールの入った試験官の中の瓜実条虫。(写真では70%の文字が切れてますが)

 ネコの便から寄生虫がでていることでオーナーのみ来院しました。
 半分野良状態で飼育しているため、とてもネコを捕まえて来院できません。

 そこで70%アルコールの入った試験官を渡し寄生虫を入れてくるよう指示いたしました。70%アルコールに入れると寄生虫の形態が安定してよい診断が下せるためです。

 翌日、持参してくれました。(写真1)


 

あ
(写真2)左は瓜実条虫の押捺標本、右は実物です。


 

あ
(写真3)押捺標本40倍の顕微鏡写真です。六鉤幼虫がたくさん発見され確定診断がつきました。

あ
(写真4)押捺標本100倍の顕微鏡写真です。よりはっきりと六鉤幼虫が見られます。 


 駆虫薬プラジクアンテルは注射、錠剤、滴下と3つの薬剤形態があります。
この症例は半分野良状態で飼育しているネコなので捕まらないため、背中に滴下する薬剤、注射剤は使用できません。
そのため錠剤を粉にして食事に混ぜておこなってもらいました。

 なお瓜実条虫はノミがいないと感染しません。ノミ予防、ウリザネ条虫予防を兼ねて、今月から経口ノミ駆虫剤、ロチナレルを月1回食事に混ぜて投与してもらうことにしました。

 このネコはチュウル®に薬剤を混ぜると、ロチナレルは問題なく食べてくれましたが、プラジクアンテルはあまりたべてくれませんでした。


 bookリンク

rabbitウサギの蟯虫(Passalurus ambiguus

rabbit ウサギの蟯虫について

dogtigersnake瓜実条虫(Dipylidium caninum) について

tigerネコ、瓜実条虫(Dipylidium caninum)

tigerネコの瓜実条虫、室内飼育例?

tigerネコのマンソン裂頭条虫感染、セカンドオピニオン症例

chick鳥類の検便(文鳥の条虫)


  

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投稿者: オダガワ動物病院

2022.02.14更新

あ tigerネコの瓜実条虫、室内飼育例?


 

あ

 15歳、8歳、1歳の3匹のネコを飼育している便に診られた瓜実条虫(Dipylidium caninumです。
どのネコの便かは不明です。
そのため飼育している3匹すべてに瓜実条虫の駆虫薬、プラジクアンテル (praziquantel)を背中に滴下しました。

 bookリンク
■条虫、吸虫駆虫剤 プラジクアンテル(Praziquantel)とは

 瓜実条虫は中間宿主のノミがいないと感染できません。そのためノミの駆除もおこないました。

 bookリンク
dogtiger犬猫用のノミ・ダニ製剤について
■ノミの生態

しかしこのオーナーは室内のみでネコを飼育しているので、どこからノミの感染おきたか不明です。
私が獣医学部を修了し社会にでたころは、瓜実条虫は毎週見ていた疾患ですが、ノミの薬剤がよくなり、最近は殆どみることがなくなりました。瓜実条虫は他にイヌにも感染します。文献ではフェレットに感染したケースもあるそうです。

尚、寄生虫疾患で当院に来院希望の方は可能な場合は、この写真のように実物をお持ちください。

 bookリンク 寄生虫疾患

dogネクスガード®を飲んだら犬回虫(Toxocara canis)
tigerネコのマンソン裂頭条虫感染、セカンドオピニオン症例
tigerネコ、瓜実条虫(Dipylidium caninum)
dogイヌ回虫のゴールデンレトリバー


  

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投稿者: オダガワ動物病院

2021.09.15更新

あ dogネクスガード®を飲んだら犬回虫(Toxocara canis


 

1

(写真1)4ケ月のビーグル犬から排泄された犬回虫(Toxocara canis)の成虫

 このワンチャンはフィラリア予防を兼ねてネクスガード®を処方しました。
すると犬回虫が排泄され来院しました。(写真1)
 ネクスガード®はフィラリア予防ほか、犬回虫、犬鈎虫、犬鞭虫、ノミ、マダニの駆除効果があります。
  ペットショツプで購入したワンチャンで、駆虫は済んでいると説明されていたらしいですが、稀に駆虫エラーはあります。


  

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投稿者: オダガワ動物病院

2020.09.01更新

あ dogイヌ回虫のゴールデンレトリバー


 

1
(写真1)イヌ回虫、学名:Toxocara canis

 

4ケ月雌のゴールデンレトリバーです。

1ケ月前、当院での検便では異常ありませんでした。

2日前、フィラリア予防のためネクスガード®を飲ましました。すると大量の回虫が排泄され来院しました。
(写真1)

 ネクスガード®はフィラリア予防薬ですが、同時にノミ、マダニ、犬回虫、犬鉤虫、犬鞭虫の駆除が可能です。

 この症例がなぜ事前の検便が陰性なのにネクスガード®の経口投与で虫体が排泄されました。実際はイヌ回虫に感染していた訳です。なぜこのようなことがおきたかを説明します。

  まず糞便は、均一に虫卵が分布している訳ではありません。虫卵は排泄する日としない日があります。

 均一に虫卵がいると仮定して犬回虫の産卵能力と検便の検出率について説明します。犬回虫卵は1日の10kg雌犬の推定便量130g中に900-2000個の犬鞭虫卵を産みます。糞1gあたり154-1540個に相当します。直接法で検便を診るとプレバラート1枚当たり便量は2-3mgになり、0.3個-4.6個の犬回虫卵が見れる計算になります。そのため直接法で検便をしても検出率はまずますですがエラーは生じる可能性はあります。
 浮遊法・遠心法の中で最も検出率のよいとされる硫酸亜鉛遠心法を使用すると便0.5gの回収率を50%として計算するとプレバラート1枚当たり39-390個の犬回虫卵が見れる計算になります。
 
 またプレパテントピリウドといって宿主に感染後して虫卵や幼虫を排泄できるまでの期間を指します。この時期に検便をしても、感染は成立していても、検便では陰性になります。犬回虫のプレパテントピリウドは専門書により異なりますが50-60日前後です。

 以上の理論で犬回虫は単回の検便では検出ができない場合もあり、診断には複数回の検便と硫酸亜鉛遠心法を併用することがベストです。

 この症例のように試験的に回虫などを駆虫可能な薬剤を投与して様子を診ることが現実的です。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.14更新

あdog犬用コクシジウム駆除剤、プロコックス®が販売されました。


 2017年9月に日本初、犬用コクシジウム駆除剤プロコックス®が販売されました。
有効成分はトルトラズリル(コクシジウムの抗Isospora作用)にエモデプシド(犬回虫、犬鉤虫、犬鞭虫駆除剤)を配合した合剤です。コクシジウム感染犬は犬回虫も混合感染しているケースが比較的おおいので2種類が配合されています。日本で犬用コクシジウムは初の認可薬です。

 トルトラズリルの単独製剤は、すでに大動物用でバイコックス®という商品名で2008年に販売されています。

 コクシジウムにはイソスポラ科(オーシスト内のスポロシスト2つ、スポロシスト内のスポロゾイト4つ)とアイメリア科(オーシスト内のスポロシスト4つ、スポロシスト内のスポロゾイト2つ)の2種があります。
 犬猫はイソスポラ科の感染でおき、ウサギはアイメリア科でおきます。
 
 当院ではこれまで、効能外使用の承諾を取ったうえでバイコックス®を、犬、猫。うさぎ、文鳥、ニワトリのコクシジウム症に投与して、副作用もなく、良好な成績を上げてきました。トルトラズリルはコクシジウムのイソスポラ科のみではなく、アイメリア科にも効果があるよう考えています。


 

あ 
犬用、プロコックス

dog犬のコクシジウム

 犬のコクシジウムはIsospora canisIsospora obioensisの2種類の感染でおきます。
 臨床症状として、嘔吐、頻回の下痢、血便が診られます。軽度な場合は回復可能ですが、重症なケースでは食欲不振から栄養障害、成長障害をおこし、最悪、悪液質になり死亡したケースもあります。
なお不顕性感染(虫卵の感染は診られるが、下痢など臨床症状がない状態)も多く、ワクチン接種時、偶然検便で発見されるケースもよくあります。
この臨床症状があるなし、重傷化は、感染年齢、摂取オーシシトの数、全身の健康状態により決まります。
また鶏では病原性の強いコクシジウム(Eimeria.tenellaの一部の株)と、弱いコクシジウム(Eimeria.acervulinaなど)が存在します。
 一般的に、検便のみで臨床症状の重症化や、強弱の鑑別は不可能なため、コクシジウムを発見したら駆虫剤の投与がベストです。

  コクシジウム生活環の特徴は無性生殖と有性生殖のステージをとることです。(camera1参照)
  胎盤、経乳感染はなく、臨床例で多いケースでは、生後3-13週令の犬がオーシストを経口して感染は成立します。感染したオーシストはまず無性生殖を行います。腸管でスポロゾイト、トロフォゾイトとなり、腸管粘膜上皮細胞に感染しシゾントを形成します。シゾントはメロゾイトを放出し腸管粘膜上皮細胞を破壊します。多くの遊離したメロゾイトが、再び残存している腸管粘膜上皮細胞侵入し第2代シゾントになります。第2代シゾントは大量にあり、より多くの腸管粘膜上皮細胞に寄生し、第2代メロゾイトを放出し多くの腸管粘膜上皮細胞を破壊します。
  このシゾントからメロゾイトの形成は栄養状態により異なりますが2-4代繰り返しおきます。
この時点で感染している犬はコクシジウム虫卵の排泄はありませんが、臨床症状として下痢がおきることがあります。(動物病院ではまた日を改めての検便が必要です。数回でコクシジウムは除外できません。)
 その後メロゾイトはマクロガメート、ミクロガメートに発育して、有性生殖をしてザイゴートからオーシストを形成します。便ととも未成熟オーシストが排泄されます。排泄した虫卵は3日以内に成熟オーシストになります。


あcamera1) コクシジウムの生活史(バイエル社の資料より引用)

 オーシストの経口感染でおきるため糞便を素早くかたずけることが大切です。コクシジウムの環境の整備は下記(book1)を参考ください。消毒薬には普通の使用濃度には殆ど抵抗します。
そこで、自宅では床などは、熱湯100度で1-2秒で死滅データーを引用しますが、沸騰させてから床にかけても、床の温度で冷やされ実際の温度は100度でなく低下しています。何度か行うか、熱湯後、洗い流すなどの追加処置が必要です。
また犬ちゅん使用のタオル等は洗濯機で洗浄したあと、コインランドリーまたアイロンの噴射機能の使用をお薦めします。
 なお犬の皮膚に糞がついた場合はシャンプーをして、虫卵を洗い落してください。

■(book1)コクシジウムの環境の整備
環境           生存期間

砂地(陽当たり)      4ヶ月
荒地(陽当たり)      6ヶ月
湿地             9ヶ月
樹木の多い陽影    18ヶ月
清水中            24ヶ月
乾燥鶏糞(陽影干し) 10ヶ月
乾燥鶏糞(天日干し )  7ヶ月
熱湯   60度       30分

熱湯   80度         1分
熱湯   100度      1-2秒
熱風   80度         5分

熱風   100度        3分


 ■プロコックス®の詳細

●トルトラズリル(Toltrazuril

 これまでコクシジウムの駆除に使用してきたサルファ剤はコクシジウムを直接殺滅する訳でなく、無性生殖ステージのシゾントからメロゾイトになる部分の発育をとめ、コクシジウムの免疫が成立するまで増殖を抑える目的で使用されてました。しかし動物により免疫状態は異なるため、薬用量・期間の報告は様々で、一般的に2-3週間位はかかりました。
 今回発売されたプロコックス®は無性生殖と有性生殖の両方のさまざなステージに対して、極めて広く作用を及ぼします。基本的には1回の投与で駆虫可能ですが、2週後、経過によっては再投与が必要な場合もあります。
 注意点としてコクシジウムで下痢がおきている場合は、この薬剤は下痢に効能を示す訳ではありません。特に仔犬の場合、下痢に対する対称療法は大切です。 


●エモデプシド(Emodepside

 エモデジプトはdogright arrow犬回虫(Toxocara canisdogright arrow犬鉤虫(Ancylostoma caninumdogright arrow犬鞭虫(Trichuris vulpisに効能を示します。前記しましたが、統計上、犬回虫はコクシジウムとの混合感染が多いのでこの薬剤は重宝です。
 欠点は、MDR1に変異(脳脊髄門の機能が他の犬より弱い体質)のあるコリー種、およびその系統には注意が必要です。
 
 私感ですが、犬種によってはエモデプシドが入っていない牛用、豚用バイコックス®をオーナー承諾のもと使用するか、サルファ剤を使用した方が安全かもしれません。

あ犬用、プロコックスと牛用、バイコックス

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 【他の動物へのプロコックス®効能外使用例】
tigerright arrowプロコックス、猫のコクシジウムへの使用例
chickright arrow文鳥(学名:Padda oryzivora)のコクシジウム(Coccidium


 

 【消火器の寄生虫】

 


 

【関連記事】
dogright arrow犬の診療
tigerright arrow猫の診療
rabbitright arrowウサギの診療
mouseright arrowハムスターの診療
snakeright arrowフェレットの診療
chickright arrow小鳥の診療
boarright arrowモルモットの診療


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

あdog犬小回虫(Toxascaris leonina


 
本症例
 
犬小回虫・虫卵 顕微鏡写真(×1000)

 4月に田舎に帰省していたら、『便の中に虫が診られたり』、『胃の中から白い虫のようなものを吐くことがある』との稟告で、1歳のワイマラナーが多摩区南生田から来院ました。検便で犬小回虫が発見されました。

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■生活史
 犬小回虫は犬猫はじめ、多くの犬科、猫科動物に感染します。年齢抵抗性もなく、原則的に気管移行はなく、胎盤感染、乳汁感染もありません。

小腸内の雌成虫は未分化卵を産み、糞便中に虫卵がでます。外界の虫卵は7日位で感染虫卵になります。

この感染虫卵を犬猫が摂取すると、十二指腸で仔虫が孵化し、腸壁に侵入し、そこで14-18日までに、第四期感染仔虫になります。
35-42日目に小腸に成虫が診られ、感染後60日位で虫卵が排泄されます。

待機感染あり
 感染虫卵を齧歯類など(ネズミ、ウサギ、ニワトリなど)が待機宿主にをたべられると、仔虫は腸壁に侵入して、ネズミではそこにとどまったのち、体内移行を行って主として骨格筋にはいります。これを犬猫など固有宿主が摂取すると、腸管で直接発育して、8週間後虫卵が排泄されます。

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■治療
 
 駆虫薬としてドロンタール・プラス®を処方しました。上記で説明したように、犬小回虫はプレパテント・ピリウドは約2ヶ月なので、その時期に2回目の投与のため来院を指示しました。

あ ドロンタール・プラス®

 この犬はレボリューション®でフィラリアの予防はしてました。レボリューション®の欠点として、犬回虫の駆虫には弱いことが挙げられます。そのため犬小回虫も駆虫できず感染してしまったと考えています。
 臨床症状を頻度に示すようなら、定期的な犬小回虫の駆虫薬投与や、散歩コースの変更が必要になります。 


 

【他の動物の回虫症は】
dogright arrow犬回虫
tigerright arrow猫回虫
chickright arrow烏骨鶏の回虫症
chickright arrowハト回虫虫卵と成虫標本 

 


 

【関連記事】
dogright arrow犬の診療
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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

あdog犬のジアルジア(Giardia)症


 
camera写真① バイエル社資料より

 ジアルジア症はヒト(Giardia.Intestinalis、Giardia.Lamblia)、イヌ(Giardia.canis)、ネコ(Giardia.cati)などで種は異なるとされてましたが、最近、遺伝子研究が進み、何れも性質が似てる点が多い結果からすべてGiardia.Intestinalis様の感染に起因する疾患と定義されるようになりました。
 よって犬から人へ感染する場合も理論所は希にあります。(camera写真①) 

 栄養体(トロフォゾイト)と嚢子(シスト)の2形態からなる原虫です。感染様式は糞から口へシストを経口摂取することによりおこります。ジアルジアはもともと水中で生活した関係で、水分の多い環境では長期に生存しますが、乾燥には弱い特徴があります。

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dire診断

あ
camera写真②(アイデックス社資料より)

あ
camera写真③ 便を直接鏡検したジアルジア、
トロフォゾイト(アメーバ状)とシスト(台形状)

ジアルジアの直接鏡検法の検出率(院内検査法)は
camera写真②のアイデックス社資料を引用よると

感度27%、特異性31%しかありません。

あcamera写真④、特異抗原の検査(スナップ・ジアルジア)陽性例

 そこでG.Intestinalisの特異抗原が使用されているスナッツプ・ジアルジアを使用すると、camera検出率は感度90%、特異性96%と有意に上昇します。(写真②アイデックス社資料)
 そのため診断には直接鏡検に加え、特異抗原の検査が大切です。

 スナッツプ・ジアルジアを使用した別の報告でも、ジアルジアは全国14ヶ所371頭27種類の犬種の調査では、陽性率は6.7-59.3%と高い値を示しています。
年齢別では1-9ヶ月 54.9%、成犬では30.9%がジアルジア陽性でした。
 幼犬を中心に一番犬が感染する寄生虫と推測されます。

 スナップ・ジアルジアは犬限定なため、犬以外の動物で便が多くとれた場合は検出率をあげるため、直接鏡検に加え硫酸亜鉛7水和物による浮遊法を使用する場合もあります。下記詳細。
 硫酸亜鉛7水和物33.3g/水道水100ml(比重1.18)①液を作成、スピッツ管に便O.5gと①液を1/3-1/2位加え十分攪拌する。
 ガーゼ1枚で別のスピッツ管にろ過し、ろ過液に①液を加え管口から1cm位に調節する。
 2000-2500rpmで5分遠心すると虫卵、シストは最上層に浮遊する。管口よりかずかに盛り上がる程度まで①液を加え、ただちにカバーガラスを乗せて5-10分間後に鏡検する。硫酸亜鉛12水和物の使用は意味なし、必ず7水和物を購入のこと。

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dire症例
 
先日の症例は購入したばかりの子犬が下痢が止まらず来院しました。検便では陰性でしたが、特異抗原検査(スナップ・ジアルジア)では陽性を示し、(camera写真④)メトロニダゾールの投与でよくなりました。
 ジアルジアの吸着円盤が消化管の管腔内壁に付着すると、腸管の栄養を吸収する上皮に吸盤が付着するため、食べ物の吸収がうまくいかず、浸透圧下痢をおこし脂肪便になることがあります。
 この症例は下痢の症状がありましたが、特異抗原検査が陽性でも無症状な犬もいます。子犬のジアルジア感染は90%が1歳位になると自己の免疫力で自然治癒する意見もありますが、最近は遺伝子検査によりヒトに希に感染する可能性が指摘されているので、駆虫した法が良いと本院では考えています。

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dire生活環
 生活環は単純でトロフォゾイトとシストの2形態からなります。
感染様式は典型的な糞から口への感染で,シストを経口摂取することにより感染します。

 顕微鏡ではトロフォゾイトは直進性運動をしますが、シストは台形様に診られます。(camera写真②)感染の能力があるのはシストのみです。下痢の激しい疾患では、シストの形成ができずトロフォゾイトのみ排泄される場合もあります。
 トロフォゾイトは外界で死滅しますが、シストは排泄と同時に感染力を獲得しますので家庭では早めに便の処置が必要です。特に水分の多い環境では長期に生存します。環境中のシストの除去のため、トイレ、床は可能なら熱湯消毒がベストです。熱湯消毒できないものは日光消毒、アイロンの噴霧機能がお薦めです。犬に下痢便が付いた場合は、シャンプーもよい方法です。なおシストも乾燥には弱く、短時間で感染力はなくなります。
 犬猫における生活環の詳細日数は不詳ですが、ヒトではジアルジアはシストの経口感染で、感染後6-15日で典型的な症状がでて、急性期2-4日経過、その後治るか、慢性期に移行するそうです。プレパテント・ピリオドは実験例で犬、5-12日(平均8日)、猫、5-16日(平均10日)と報告されています。

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dire治療(駆虫薬)
 抗原虫薬フラジール®(成分名、メトロニダゾール )camera写真⑤)の投与で70%はよくなります。
 効果ない場合はチニダゾールcamera写真⑤)、ドロンタールプラス®camera写真⑥)また一部の抗生剤を使用しています。しかし原虫の感染数が多かったり、飼育環境が劣悪だと、次から次と感染がおこり、駆虫薬も効果を示さない場合もあります。そのため上記した消毒との併用は大切です。
 単独飼育のときは7日位で回復することをが多いです。多頭飼育の環境(約20頭位)にいるジアルジア駆虫を診療したことがありましたが、同時駆虫薬の使用をおこない、熱湯消毒を徹底させましたが、完全駆虫には半年ぐらいかかりました。 

 あ
camera写真⑤) 抗原虫薬フラジール®(成分名、メトロニダゾール Metronidazole)と
ハイチジン(成分名、チニダゾール、Tinidazole

あ
camera写真⑥)ドロンタールプラス®

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【他の動物の原虫疾患は】

 


 

【関連記事】
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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

あ dog犬の糞線虫


  私の開業している地域では糞線虫まず診ません。東京・神奈川では少ないのかもしれません。
 犬では九州・沖縄地方が多いことが記載されている本もありますが、東北地方の動物病院の研究報告も診ます。
 犬はしつこい下痢で来院します。粘膜に穿孔している寄生虫ではないので、血便は殆どありません。診断は新鮮便でラブジチス型幼虫をみつけます。(L1・雌2mm)しかし検出率は良くなく、複数検便が必要な場合もあります。

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■寄生は雌のみ  
 この寄生虫は動物(犬・人にも)感染しすると、ラブジチス型幼虫(R型)という形式で小腸に感染します。寄生すると雄は必要なくなり、処女生殖で数時間で卵内に幼虫が形成され孵化していきます。この孵化した幼虫をラブジチス型幼虫(L1)と呼び、腸腔に出て糞便を食べて成長しラブジチス型(L2)になり外界へ排便と共に出されます。

■外界での発育  
 ラブジチス型幼虫(L2)は、その時の環境で二つの道(①寄生世代・②自由世代)のいずれかをとって発育します。
 おおまかな検討はされていますが、どちらの世代をとるか詳細はよくわかっていません。

■外界での発育①  
 ①不利な条件下では24時間で寄生世代(別呼・直接発育)になることが多いです。
 ラブジチス型幼虫は二回脱皮をして古い皮を被ったフイラリア型(F型・L3)の感染幼虫になります。フイラリア型の特長はラブジチス型幼虫と異なり、口が閉ざされ栄養物を取れないので、一定期間しか生きられないことです。
 その間に犬・人の皮膚から侵入したり、また経口感染できればフイラリア型から動物体内でラブジチス型幼虫になり、次の世代を残せますが、感染の機会がなければ死んでしまいます。

■外界での発育② 
 ②食事が十分にあって、温度も適温で(20-30度)、混み合っていないときは自由世代(別呼・間接発育)を選ぶ傾向が多いです。
 この経路はラブジチス型幼虫(L2)のまま4回脱皮を重ねて36時間前後でラブジチス型幼虫(L5)にまでなり、雌雄の各々の成虫に変化し交尾します。しかし雄はすぐに死亡し、雌も同様卵を産むとすぐに死亡します。寿命は二日間ぐらいしかないそうです。
卵はすぐ孵化してラブジチス型幼虫(L1)として生まれますが5-6日でラブジチス型幼虫(L2)を経て、フイラリア型幼虫(L3)となり、寄生世代との共通経路に入り同様の運命を辿ります。

■その他の発育
 ③他にラブジチス型幼虫が腸内で自家繁殖する経路が知られています。この経路が活発になると人では重傷化します。

 以上糞線虫はこのようなバリエーションの多い生き方をしているので、駆虫薬が効きにくい訳です。

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dire他の寄生虫
tigerright arrowウリザネ条虫の猫
rabbitright arrowウサギのコクシジウム症
chickright arrowハト回虫 虫卵と成虫標本
bookright arrowマンソン裂頭条虫
dogright arrow犬回虫症
tigerright arrow猫回虫

 


 

【関連記事】
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2018.06.02更新

おdog犬のバベシア症


 犬のバベシア症は主にマダニの媒介犬の赤血球内に寄生する原虫疾患です。本邦では西日本に多い病気です。しかし①西日本からの引越し、②また犬と一緒に西日本への旅行したあと、③闘犬の多い地では関東・東北などでも稀に発生あり注意は必要です。
本邦での感染は病原性の高いBabesia gibsoniがほとんどで、病原性の低いBabesia canisが沖縄のみにいる程度です。
 神奈川の当院では以前、大阪から引っ越してきた犬で診た経験が数例ある位です。


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●感染様式
 マダニに刺されるか、闘犬で感染します。
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●症状は
 3週間の潜伏期間をへて、元気消矢・食欲低下・発熱・体重減少・溶血性貧血などをおこします。
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●診断
 血液塗抹標本から赤血球内のバベシアを探します。しかし効率のよい診断法ではないため疑われる疾患では、遺伝子診断が使用されています。またマダニの予防歴や、西日本への旅行歴も診断の補助になります。
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●治療
  犬のバベシア症はヒトのマラリア症に似ている関係で、マラリア症に使用されるクリンダマイシンの単独投与や、またメトロニダロール、ドキシサイクリンとの3剤併用療法があります。しかし以上の抗生物質療法は効率のよい方法ではありません。あくまで補助療法になります。
 駆虫には2009年ごろに再発売されたジミナゼンジアセチュレート注射剤(カナゼック®)の使用、またアジスロマイシン・アドバコン(日本なし・本院も取り扱いなし)の併用投与があります。しかしどんな薬剤を使用してもバベシアを完全に除去できる治療薬はありません。増殖を抑え、症状を緩和させる治療が限界です。免疫力がおちると再発する場合もあります。一度罹患した犬は通年のマダニ予防と定期的な通院が必要です。またこれら駆虫剤は 副作用も多く、投薬後は注意が必要です。

 


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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

おsheep子犬の下痢


a子犬が急に下痢になりました。昨日、川崎市の夜間で処置をしてもらい下痢は止まっていました。今朝確認のため来院しました。

aウサギの酵母菌⇩

本院の検便ではウサギの酵母菌が診られました。right arrowウサギの酵母菌は時々犬でみますが、ひどい下痢になった記憶はありません。

aジアルジア検査(陽性)

 子犬の下痢で多い疾患に原虫疾患のright arrowジアルジアがあります。このジアルジアの特長は、顕微鏡での糞便検査ではなかなか発見されません。そのため抗原検査が必要です。

 この症例は遺伝子検査は陽性でしたが、本日は下痢は止まっているので、right arrowジアルジア駆虫は行いませんしでした。

 陽性でも便が普通ならright arrowジアルジア駆虫は行わなくてもよいケースもあります。その理由は1年位たつと免疫で自然治癒することも多い原虫のためですが最近は駆虫する傾向になっています。

しかし最近はヒトの感染する可能性が示唆されており、駆虫を推進する意見が多いです。


 

dire他の寄生虫疾患は
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