小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.06.05更新

あ

 

 
 
 
 ●犬の「ドライアイ」
 

   他院でドライアイと診断された犬です。最初の動物病院でシクロスポリン点眼のオプティミュンを処方されて、良好に維持されたそうです。
遠かったので、動物病院を変えたところ、そこにはシクロスポリン点眼は自家調合しかなく、病変が再現した疾患です。本院でオプティミュンを再処方しました。
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●本院での眼科検査
 STT-1検査      
        
         右眼    左眼          正常
STT-1      9     11               20-25mm
フルオル試験  陰性    陰性     陰性
ローズベンガル 陰性    陰性      陰性
細胞診     好中球あり 好中球あり 陰性
眼圧      16     18            10-25mmHg
また瞬きもすくなく。
以上の所見よりドライアイと診断しました。
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 このオプティミューン(シクロスポリン眼軟膏)は広く犬の眼科診療(色素性角膜炎・慢性表在性角膜炎・角膜上皮ジストロフィ・乾燥性角膜炎時(KCS))などに使用されています。
■薬理作用
 シクロスポリンは催涙作用があります。正常な眼に点眼しても涙が沢山でてきます。しかし涙腺刺激作用はありますが、涙液組織に移行はしません。シクロスポリンは特異的にT細胞の活性を阻害する潜在的免疫作用により、リンパ球浸潤による涙腺組織の破壊抑制があるので薬効をしめすと考えられています。
 免疫介在性ドライアイのみ有効です。2週間位で涙がでてきます。効果ないようなら4週間以上は使用しない法がよい薬剤です。
********************************************************************
●犬の「ドライアイ」
 眼は涙によって外界の異物とか菌から保護されています。
ドライアイになると瞬きが無くなり、涙が減少して眼の表面が乾い黄色い物質が角膜に付着します。
 涙が少ないことにより角膜の乾燥し、眼が疲れたり痛んだりしている状態がドライアイです。
 
 しかし犬ではこのような初期ではなかなか動物病院には来院しません。
 人の文献を参考にすると、軽いドライアイなら少々疲れを感じる程度です。しかし症状が悪化すると角膜までが傷ついて激しい痛みを感じたり、また炎症が出てきたりしますので注意が必要です。
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●2週間後の来院
 
涙量も戻り良好です。その後回数を減らして、オプティミューンの眼軟膏を2日に1回目に塗布することで、3年になります。ドライアイが解消されて、良い生活ができています。
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flower2

 

 


投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.04更新

あ
dog薬剤を多くして維持しているアジソン病(副腎皮質機能低下症)

 副腎皮質ホルモン(グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド)は生命の維持に必要なホルモンで、健康なイヌでは体の状態に合わせて適切に分泌されています。

 副腎皮質ホルモン低下症はイヌではほとんどは原発性で副腎皮質の免疫介在性の障害による副腎萎縮で副腎皮質ホルモンの産生・分泌が低下することによっておきる疾患です。

  まれに下垂体からのACTH欠乏による二次性や医原性(投与した薬の影響による)でおきることもあります。

 原発性の慢性副腎 不全は1855年英国の内科医であるThomas Addisonにより初めて報告された疾患であることから、Addison病とも呼ばれています。ヒトではアジソン病は症例が少なく、国の難病指定を受けています。犬での発生率は1/1000匹以下で、著しく高い訳ではありませんが、ヒトに比べると発生率は高いです。発見が遅くなると危篤状態となり、そのまま亡くなってしまうケースもあります。

 原発性の副腎皮質機能低下症は副腎の球状層、束状層、網状層、どの部位が壊されているかにより不足するホルモンの相違が出ます。
 理論的にはグルココルチコイドとミネラルコルチコイドの両方が不足する場合をアジソン病、グルココルチコイドだけが不足する場合を非定型アジソン病、ミネラルコルチコイドだけが不足する場合を選択的低アルドステロン症との記載もありますが、明確に分けられる訳ではありません。

 主な症状としては、食欲の低下や、徐脈、嘔吐、下痢などが多く診られ、なんらかのストレスを受けると発症します。
 当院の経験では、これまで川崎の実家に犬を連れてきて発症したケースや、(オーナーは実家に帰省して、くつろげるが、犬ちゅんにとっては他人の家)また隣で工事が始まり、それらがストレス要因で、発症したケースの症例を診ました。

 診断は上記した症状に加え、血液検査と血液生化学検査で低Na、高K、低グルコースが診られることが多いです。診断にはACTH負荷試験が必要です。


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あ 

今回の症例は雄、7歳のヨーキーです。ここ数日、嘔吐、下痢、元気なく、脱力感や疲労感が生じ、座わる時間が多く来院しました。
最初聴診で不性脈に気づきました。そこで血液検査、生化学検査、心電図検査おこないました。

あ血液・生化学検査では、低Na、高Kが診られました。

あ心電図では洞停止が診られました。


以上の見解より、ACTH負荷試験をおこない判断しました。

この症例はACTH負荷試験は注射後(post値)のみ測定でしたが、0.2μg/dl以下でした。

以上の理由でアジソンと診断しました。

治療はフルドロコルチゾンの投与が主になります。またプレドニゾロンの併用も必要です。
ストレスの少ない環境下で、一生薬剤と付き合っていかなくてはならない病気です。

殆どの症例はフルドロコルチゾンを規定量で維持可能ですが、この症例は規定量で処方すると、電解質のバランスが崩れ、元気がなくなります。そのままほっといて高K血症になると、生命に危険にさらされることもあります。

薬剤吸収が悪い場合は、規定量から増量して、電解質のバランスを正常にしていく必要があります。フルドロコルチゾンは増量してよい薬剤ではありませんが、副作用は少ない薬剤です。

現在、この症例は、規定量の4倍量で電解質を維持して、副作用もなく、元気にしています。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.03更新

あdog進行性網膜萎縮(PRA)のダックスフンド


ダックスフンドの雄、10歳で3年前より家の中での動きがおかしいことで来院しました。

 ヒトの網膜は明るいところで働きますが、イヌの網膜は暗いところで働けるように眼底にタペタム{日本語訳では輝板(きばん)}という構造があります。そのためイヌは暗所でも目が光ってみえます。タベタムは1歳になるまでは青く、1歳以後は個々に黒、オレンジ、黄色など様々な色になります。

  網膜は硝子体側より内境界膜、神経繊維層、神経節細胞層、内網状層、外網状層、外境界膜、視細胞層、(以上感覚網膜)網膜色素上皮層の10層からなります。網膜は5種類の細胞があり、各層複数の細胞が存在して、他の組織とは異なる形態を示します。これら5種類の細胞は外からの刺激(光)を吸収し電気信号へと変換して脳に伝えます。最も重要な視細胞は視細胞層から外網状層あたりに存在し、明所で機能する錐体細胞と暗所で機能する杆体細胞があります。この視細胞に障害を及ぼし視力障害を呈するのが、進行性網膜萎縮という疾患です。

 

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行動の変化と、眼底所見で診断したダックス・フンド 

 進行性網膜萎縮はダックスフンドが好発犬種ですが他の犬でも発生します原因は常染色体劣性遺伝でおきます。これまでいくつかの遺伝子が発見されています。将来的には遺伝子の種類に分けて病名が変更になるかもしれない疾患です。これら遺伝子があるイヌ同志は交尾させないことが対策です。この進行性網膜変性はこれら遺伝子の異常で、視細胞(錐体細胞、杆体細胞)にアポトーシスが徐々におき発症します。発症時期は早発型と遅延型があります。

 診断は行動の変化と、眼底所見で判断します。
 行動の変化はダックスフンドの多くの場合、最初薄暗い場所で行動に変化がでます。早発型は1歳ごろから行動に変化が診られ、2-3才で眼がみえなくなることが多いです。遅延型は5歳ごろから行動に変化が診られ、7-8才で眼がみえなくなることが多いです。
 眼底検査では網膜が全体に薄くなるため、網膜の血管の狭細、タペタムの反射亢進、ノンタペタムの色素沈着が診られます。

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治療

 残念なことに進行性網膜変性は診断できても、有効な治療があるわけではありません。抗酸化剤の投与で、気持ち進行が抑えられるぐらいです。


アスタキサンチン含有サプリメント
 

 アスタキサンチンは、自然界が生み出す代表的な色素の1つです。脳関門を通過することができるため、目の病変の予防と治療に効果があるとされています。 犬では進行性網膜萎縮の初期、また白内障、緑内障の進行予防に期待されてますが、個人の感想では使用して効能はいまいちです。

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ルティン製剤含有サプリメント

 この症例はルテインを使用しましたが、効能は同様にいまいちでした。



bookright arrow緑内障とは
bookright arrow正しい点眼法
bookright arrow眼軟膏とは

 


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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.03更新

o

bookオーナーの不注意で薬物の多量の誤飲例
以下は本当のあったケースです。
犬用・人用の薬剤は必ず犬の届かないところで保管してください。



●リマダイルのケース
 


  写真のリマダイルは犬用の非ステロイドの薬剤です。他院で骨関節症と診断され、毎日リマダイルをのんでいたそうです。
 1日1回飲めばよい薬剤ですが、ある日買い物から帰ると90錠近くあった薬の中が空で「びっくり」して本院に電話してきたケースです。
 その後かかり付けの先生と連絡がとれて、そちらの動物病院に来院したらしいので予後は不明です。
理論的には致死量になりますので予後は心配です。
 犬ちゅんが飲みやすくしたチュアブル製剤を犬舎の上においたままの状態で保管してたそうです。
犬ちゃんはこの薬剤をオーナーが買い物にいけばチャンスとおもい飲んでしまいます。



●フィラリア予防薬のケース

 


 この薬剤はフィラリア予防薬のチュアブル製剤です。ビーフジャキーを連想させる作りになっているチュアブル製剤なので美味しそうにできています。
 本院ではフィラリア予防は5月から11月まで月1回予防薬を飲むことを薦めています。(合計7錠)
  これも同様のケースで、犬ちゅんが飲みやすくしたチュアブル製剤を犬舎の上においたままの状態で保管してたそうです。
 やはりある日買い物から帰ると7錠の薬剤を全部のんでしまい「びっくり」して本院に電話してきたケースです。
 フィラリア予防薬のイベルメクチンは7錠飲んでも、理論上は大丈夫ですが、気をつけてもらいたいものです。この事件は毎年1-2件起こります。 この犬はなんの異常も見られませんでした。



●ヒト用の非ステロイドのケース

 
 ヒトは1錠が適用量の頭痛・生理痛薬を10錠飲んだ柴犬です。回りが糖衣錠で甘くできています。オーナーがハンドバックがら出して、美味しそうに薬剤を飲んだ振りをしていたら、オーナーの眼を盗んで、ハンドバックをあけて10錠近く飲んでしまいました。
 夜間の緊急動物病院で落ち着きましたが、帰宅したら痙攣が止まらなくなり、以前から診ていた本院に来院しました。
 抗痙攣薬を使用して痙攣をとめ、、輸血をして回復には2週間かかりました。最初の1週間は生死をさまよいました。

 


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2018.06.03更新

adog犬の代表的な外部寄生虫


a

■犬のノミ症 
 犬にノミが感染すると、皮膚は「黒こしょう」のようにつずつずが診られます。
 日本では犬も猫ノミが殆どです。

 ノミが犬の体に寄生すると、かゆみのためにひっかいたりかんだりして皮膚炎を起こします。
 犬だけでなく、飼い主を刺すこともあり、激しいかゆみや皮膚炎を起こすことも少なくありません。
 またマンションなど密閉された環境で飼育している場合も最近ノミを診ることも多くあります。

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a

■犬のマダニ症(dog tick right arrow詳細はこちらへ
 写真のようなマダニが皮膚に寄生します。

 マダニは川沿い、野山の草に潜んでいて犬に感染します。
 新聞、ワイドショーで報告のあるright arrowSFTSウイルスはこのマダニの中に潜んでいます。
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a■犬の疥癬 sarcoptieccanisright arrow詳細はこちらへ
 犬の疥癬は皮膚の角質層に感染して、激しい痒みを示す疾患です。
 耳、鼻、腹部など皮膚の薄いことろにが好発部位です。
20年前はよくありましたが、最近は殆ど診なくなりました。--------------------------------------------------------------------

a■犬の耳ダニ 
  
耳の中から黒い耳垢がでてききて、犬ちゃんが異常に耳を痒がる場合は耳ダニがいることが多いです。
 早く来院すればほぼ治る病気です。経過が長いと内耳に炎症が及ぶこともあり、その場合は大変で,耳ダニはいなくなっても内耳障害は残ることもあります。
 
 また犬の耳ダニはヒトへの感染がある意見もあります。また耳の中が黒くても他の耳疾患のこともありますので、早く動物病院で診療をお薦めします。
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a

■犬のニキビダニ症Demodex canis) 
 生まれたときはニキビダニはいませんが、母犬から子犬は感染します。そのため殆どの犬はニキビダニはもっています。
 
 若い犬は(主に1歳未満)自然治癒する場合もありますが、また十分な免疫ができていないため、個体によっては皮膚病になることがあります。この場合は1歳位で自然治癒する場合もあります。

 年齢(主に1歳以上)が経ってからのニキビダニは基礎疾患を考えなければなりません。しかしみつかりにくいのが現状です。

 


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2018.06.03更新

あ■白内障の薬剤


  白内障は卵の話に例えられます。普通の眼が生卵なら、白内障の眼は目玉焼きです。
だれでもわかりますが、目玉焼きは生卵に戻せません。
そのため薬剤は効果ないか、進行を遅らせることがやっとで、
治せる薬剤はありません。
 

唯一治せる可能性があるのは手術のみです。
(筆者の動物病院では白内障の手術はできません。動物の眼科専門病院の紹介になります。)



■人の眼科の看板 
 みなさんも町を歩いていると、このような看板はよく見るとおもいます。
 この眼科病院に限らず、どの人の眼科の看板をみても、「日帰り白内障手術可能」の記載はありますが、白内障が点眼で治る看板はありません。
 残念ながら人も犬も完治には手術しかありません。

 しかし動物では白内障の手術は高額でことも事実です。
術後併発症の説明や、年齢が高いと他にも持病があり、麻酔にリスクが生じて手術できない場合もあります。



 白内障はオーナーもよく目に付き、そのためなにかしてあげたいというオーナー心理で、サプリメントや簡単に手に入る点眼が重宝しすぎる傾向があります。
 
 また人は老年性の白内障が主で進行が遅いですが、動物の白内障は遺伝性など若いうちにおき進行が早いケースもあります。

 ◆サプリメントや手に入る点眼をおこなっても良いですが、必ず動物の眼のことを知っている獣医師を受診して進めてください。
 オーナーがよしとしてやったケースが悪化したと推定されるケースを以下にあげます。
①動物用に販売されている薬剤をどこからか手に入れ悪化したケース
②白内障点眼をしていて安心してしまって悪化したメース
③また緑内障で「眼が白い」のを白内障と勘違いして来院が遅くなったケースなどがあります。

 ケースにもよりますが以上の理由で動物の眼科が好きな獣医師はサプリメントや簡単に手に入る点眼は薦めないケースが多いです。未熟白内障までなら、無処置もひとつの選択肢です。

 ◆進行して成熟白内障からは水晶体誘発性ブドウ膜炎との戦いになり、使用する薬物は医療用薬品になりますので、獣医師の指導が必要です。

 ◆なお犬では稀に水晶体誘発性ブドウ膜炎が調節されて見た目白内障が治ったようにみえることもあります。
 ネットなどではこのことを「000サプリメントで白内障が治ると」形容していると推測していますが、この状態は水晶体は萎縮して良い状態とはいえません。
 また水晶体嚢は残っているので、この先なにかおきる可能性はあると筆者は推測しています。




■未熟白内障の薬剤

◆人の研究ですが水晶体の成分は55-65%が水です。
◇そして白内障がおきると増加する成分として
水分、不溶性蛋白(ピノレキシンで低下)、過酸化脂質、Na、Ca(唾液腺ホルモンはCa低下)、アルドース還元酵素(ソルビトール産生阻害剤でアルドース還元酵素を抑える。

◇減少する成分では、水溶性蛋白(チオプロニン製剤で増加)、還元型グルタチオン(タチオン点眼で増加)、K、ビタミンC、Na-kATPアーゼ、Ca-ATPアーゼ

◇抗酸化剤で(唾液腺ホルモン・アスタキサンチン・ルティン)が使用されています。

が報告されています。

なお赤い字は人の白内障に使用されている薬剤名を示します。
他にも使用された薬剤はあります。

◆しかし
このようにたくさん薬剤があげるのは、著効な薬剤がない証拠でもあります。


■成分名 ピノレキシン  
 写真の白内障点眼のピノレキシンの作用機序 
 白内障発症のメカニズムで1960年代の「キノイド仮説」が注目されました。
 
 ◆トルプトファンやチロシンの有機アミノ酸の代謝異常で生じるキノイドが、水晶体の水溶蛋白であるクリスタルが変性して不溶化することで水晶体が濁る考え方です。
 そこでキノイドの蛋白変性阻害できれば、水晶体は透明に維持できると考えできたのでピノレキシンです。
 水晶体の水溶蛋白であるクリスタルと結合することを競合的に結合して、水溶性蛋白クリスタルの変性を防止する効果があります。
 
 ◆この薬剤は人の老化性の白内障が適応です。老化性の白内障は作用がゆっくりなタイプです。
 そのため人では水晶体が少し白くなった位の白内障には効果がある場合も考えられます。
 
 ◆動物で遺伝性など幼犬より白内障は診られ、進行が早いことが特徴でこの薬剤は不向きと考えられます。
 また長期投与は防腐剤のことも考慮しないといけません。

■アスタキサンチンAstaxanthin
 アスタキサンチンはルティンの2.75倍の抗酸化力があるとの報告もあり、その高い抗酸化力から、人同様にペットの健康維持、老化防止の効果も期待されています。
 臨床的に白内障が治ることはありません。

■ルテイン 
 ルテインは、カロテノイドという色素の一種で野菜や果物、海草などの食品に含まれます。
 
 眼は特に活性酸素の害を受けやすいところです。ルテインは強力な抗酸化剤として活性酸素を抑え、眼の健康補助食品として注目されています。

■その他抗白内障薬
 セレン、ビタミンE、オルゴテイン、アスコルビン酸亜鉛、アセチルカルノシリンなど色々なサプリメント・薬剤の記載はありますが

◆臨床効果を示す証がなく、試験管内のみのデーターが主体です。
 
 未熟白内障での使用なら可能ですが、進行が早い場合もあり、眼の診療が好きな獣医師によく診せる必要はあります。
 
 しつこいようですが、白内障は手術で治る病気です。
抗白内障薬の点眼やサプリメントで絶対安心しないでください。

 成熟白内障からは使用する薬物は医療用薬品になりますので、獣医師の指導が必要です。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.03更新

おdog犬疥癬はヒトに接触感染します。


あ

 世田谷区からセカンドオピニオンで来院したケースです。2歳の雄のプードルです。家庭に来た時から、耳介、ひじやかかとなど被毛の薄い部分が『粉をまいたような皮疹疹』ができて、犬はひどいかゆみに悩まされていました。そして次第に病変は拡大していき、全身が激しい痒みがおき、皮膚は厚くなり悪化傾向になったため、本院を訪れました。

あ診断は皮膚の掻爬検査で疥癬を見つけます。


あ オーナーの腕です。オーナーも犬を飼育してから、慢性の痒みに悩まさせていました。疥癬はヒトにも一時的に感染します。

腕などが吸血されやすい部位です。

この症例は疥癬の駆虫剤で犬もヒトもよくなりました。


 

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2018.06.03更新

あ

■犬のアレルギー 
皮膚の角層(表皮の最も外側)は
①皮脂を含む皮脂膜
②スポンジのように水分をためるセラミドはじめ角層細胞間物質
③水分を閉じ込めておく天然保湿因子
という3つの因子があります。

◆これらの3因子は
 アレルギーになると減少するため、皮膚は乾燥し、痛みやすくなります。

 そのため治療には、保湿、またセラミドの投与が必要になります。

治療のゴールは
症状がないか、またあっても軽微、日常生活に支障のない薬物療法のあまり必要としない状態を指します。

 


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.03更新

あdogアメリカンコッカスパニエルの難治性外耳炎の治療法の考察


 

あ

 耳漏がみられた10歳雌のアメリカンコッカスパニエルの症例。培養検査よりproteus属が分離されました。薬剤感受性試験より分離菌はペニシリン、セロスポリン、カルバペナムが感受性を示しました。従来の点耳薬、また耳の酵素剤では良化はありませんでした。

 アメリカンコッカスパニエルは難治性外耳炎の多い犬種です。普通の犬は外耳の線維化が主な病変ですが、アメリカンコッカスパニエルは耳垢腺過形成などの変化により慢性経過をとります。

 治療は通常の内科療法では予後が良いとはいえません。外科による鼓室法切開、耳道切除もありますが、かならず長期予後が良いとはかぎりません。数ケ月、数年後に再発を認める症例も中にはあります。
 
 そこで、いろいろ書物をしらべてたり学会に参加してみると、何例かは内科的治療で管理できる状態まで持ち込める症例あらわれたので、ここに紹介します。

 時間は早くて2-3ケ月かかります。まず耳道を開く必要があるので、局所ステロイドを点耳使用します。また必要に応じて可能なら、経口ステロイドも併用します。耳道が開いたらカテーテルを使用して耳中を洗浄します。耳道が開けば薬剤の浸透もよくなり、必要に応じて抗生剤の点耳薬などの併用も加えています。この状態までいくと膿もなくなり、耳垢も減少して良好な状態を保てる症例もいます。しか中耳炎を併発している場合もあり、すべての症例が良い方向になる訳ではありません。

アメリカンコッカスパニエルの外耳炎は難治性のことが多く、担当獣医師とよくインホームドコンセントをとって進めていくことが大切です。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

あdog犬小回虫(Toxascaris leonina


 
本症例
 
犬小回虫・虫卵 顕微鏡写真(×1000)

 4月に田舎に帰省していたら、『便の中に虫が診られたり』、『胃の中から白い虫のようなものを吐くことがある』との稟告で、1歳のワイマラナーが多摩区南生田から来院ました。検便で犬小回虫が発見されました。

----------------------------------------------------------------------
■生活史
 犬小回虫は犬猫はじめ、多くの犬科、猫科動物に感染します。年齢抵抗性もなく、原則的に気管移行はなく、胎盤感染、乳汁感染もありません。

小腸内の雌成虫は未分化卵を産み、糞便中に虫卵がでます。外界の虫卵は7日位で感染虫卵になります。

この感染虫卵を犬猫が摂取すると、十二指腸で仔虫が孵化し、腸壁に侵入し、そこで14-18日までに、第四期感染仔虫になります。
35-42日目に小腸に成虫が診られ、感染後60日位で虫卵が排泄されます。

待機感染あり
 感染虫卵を齧歯類など(ネズミ、ウサギ、ニワトリなど)が待機宿主にをたべられると、仔虫は腸壁に侵入して、ネズミではそこにとどまったのち、体内移行を行って主として骨格筋にはいります。これを犬猫など固有宿主が摂取すると、腸管で直接発育して、8週間後虫卵が排泄されます。

----------------------------------------------------------------------

■治療
 
 駆虫薬としてドロンタール・プラス®を処方しました。上記で説明したように、犬小回虫はプレパテント・ピリウドは約2ヶ月なので、その時期に2回目の投与のため来院を指示しました。

あ ドロンタール・プラス®

 この犬はレボリューション®でフィラリアの予防はしてました。レボリューション®の欠点として、犬回虫の駆虫には弱いことが挙げられます。そのため犬小回虫も駆虫できず感染してしまったと考えています。
 臨床症状を頻度に示すようなら、定期的な犬小回虫の駆虫薬投与や、散歩コースの変更が必要になります。 


 

【他の動物の回虫症は】
dogright arrow犬回虫
tigerright arrow猫回虫
chickright arrow烏骨鶏の回虫症
chickright arrowハト回虫虫卵と成虫標本 

 


 

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投稿者: オダガワ動物病院

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