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アメリカンコッカスパニエルの難治性外耳炎の治療法の考察
耳漏がみられた10歳雌のアメリカンコッカスパニエルの症例。培養検査よりproteus属が分離されました。薬剤感受性試験より分離菌はペニシリン、セロスポリン、カルバペナムが感受性を示しました。従来の点耳薬、また耳の酵素剤では良化はありませんでした。
アメリカンコッカスパニエルは難治性外耳炎の多い犬種です。普通の犬は外耳の線維化が主な病変ですが、アメリカンコッカスパニエルは耳垢腺過形成などの変化により慢性経過をとります。
治療は通常の内科療法では予後が良いとはいえません。外科による鼓室法切開、耳道切除もありますが、かならず長期予後が良いとはかぎりません。数ケ月、数年後に再発を認める症例も中にはあります。
そこで、いろいろ書物をしらべてたり学会に参加してみると、何例かは内科的治療で管理できる状態まで持ち込める症例あらわれたので、ここに紹介します。
時間は早くて2-3ケ月かかります。まず耳道を開く必要があるので、局所ステロイドを点耳使用します。また必要に応じて可能なら、経口ステロイドも併用します。耳道が開いたらカテーテルを使用して耳中を洗浄します。耳道が開けば薬剤の浸透もよくなり、必要に応じて抗生剤の点耳薬などの併用も加えています。この状態までいくと膿もなくなり、耳垢も減少して良好な状態を保てる症例もいます。しか中耳炎を併発している場合もあり、すべての症例が良い方向になる訳ではありません。
アメリカンコッカスパニエルの外耳炎は難治性のことが多く、担当獣医師とよくインホームドコンセントをとって進めていくことが大切です。
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