ウサギが食べると有害が予想される植物(川崎市多摩区、オダガワ動物病院)
2019.10.08更新
■ウサギが食べると有害が予想される植物
当院のウサギの診療で、有毒植物による中毒は殆ど経験はありません。
この項ではこれまで『ウサギの本』や『ネットに記載された』ウサギが食べると有害が予想される植物を紹介します。なおここに紹介されていなくても、有害が予想される植物もあると考えられています。
また実際、どのくらい食べたら中毒がでるかなど詳細はよくわかいつていません。ヒト、イヌ、ネコで中毒がわかっている植物などもあげないことが賢明です。
現在は動物病院、ペットショップ、ネツトなどで良質のウサギの食事(ペレット、牧草など)はいつでも購入可能です。興味本位で自宅近くに生えている植物をあげることはやめてください。
野生のウサギは親から食べて良い草、悪い草を習うそうです。しかしペットウサギはどんな草でもたべてしまう傾向があるとされています。
ひとたび中毒になれば、ウサギは嘔吐が殆どできないため、イヌ、ネコに比べて治療が大変です。
これら有毒な植物は野草と園芸用植物に分かれます。
ハーネスなどつけて散歩にいかれる方は薬草に注意が必要です。野草の種類も重要ですが、除草剤など行ってないか情報収集も大切です。
余談ですが当院ではハーネスをつけて散歩に行ってネコに襲われたウサギの診療を数例経験しているため、危険が多いと判断して薦めていません。
園芸用植物は購入時に種類に気をつけてください。ウサギに中毒のある植物を購入しなければならない際は手の届かない場所にお願いします。
■ヒガンバナ科(ヒガンバナ、スイセン、キツネノカミオリ)
ヒガンバナ(西方寺、10月)
ヒガンバナの花は、名のごとく彼岸の頃ニョキニョキと生えてきます。花が終わる頃に濃い緑色の葉が出て、翌年の3~5月に枯れます。葉と花が別々の時期に現れる植物です。
二ホンスイセン(吾妻山公園、1月)
スイセンは日当たりのよい砂質土壌の公園などで生育します。球根を秋に植えつけることで、1-2月に彩る代表的な花です。寒さに強い植物で室内でも簡単に栽培できることから園芸用も多くあります。
■ユリ科
ユリ(ところざわゆり園、7月)
ユリはネコで腎臓障害をおこすことは知られてますが、ウサギでも同様のケースが報告されています。季節になると切り花が売っています。
余談ですが私の暮らしている神奈川県の県花はヤマユリになります。
■ツツジ科(シャクナゲ、アセビ)
シャクナゲ(笠取山、6月)
写真は野生のシャクナゲですが、園芸用でも販売されています。
アセビ(高尾山、4月)
同様に写真は野生のアセビですが、園芸用でも販売されています。
■ナス科(チョウセンアサガオ、ヒヨドリジョウゴ)
チョウセンアサガオ(東京都薬用植物園 9月)
チョウセンアサガオは、麻酔時、前投薬剤で使用するアトロピンの原料になります。ウサギの約60%はこのアトロピンを分解する酵素をもっています。そのため他の動物に比べると中毒は起こりにくいと考えられますが詳細は不明です。
■ヒルガオ科(各種アサガオ)
アサガオ(種類は不明、神代植物公園 9月)
アサガオは、種に含まれるファルビチンが下痢、腹痛、嘔吐を起こすされています。種類によっては種、蔓、花、また葉にアルカロイドを含みますので注意は必要です。
■キョウチクトウ科(ニチニチソウ、キョウチクトウ)
ニチニチソウ(東京都薬用植物園 7月)
園芸用でも売られています。抗がん剤ビンクリスチンの原料になった草木で有名です。
■イチイ科(イチイ)
イチイ(星薬科大、6月)
北海道の留萌ではかってニシン漁で栄えたころ、付近の木を伐採して暖房に使用してました。しかしこのイチイは木が硬いため伐採がされず今でも防風木として活躍しています。他にもその特性を利用いて家の垣根にもよく使用されています。このイチイは条件がよければ秋9-10月に赤い実をつけます。有毒物質はこの赤い実を除きがあります。また近年は抗がん剤パクリタキセルの原料になった樹木で有名です。
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