小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.06.02更新

あdog犬のジアルジア(Giardia)症


 
camera写真① バイエル社資料より

 ジアルジア症はヒト(Giardia.Intestinalis、Giardia.Lamblia)、イヌ(Giardia.canis)、ネコ(Giardia.cati)などで種は異なるとされてましたが、最近、遺伝子研究が進み、何れも性質が似てる点が多い結果からすべてGiardia.Intestinalis様の感染に起因する疾患と定義されるようになりました。
 よって犬から人へ感染する場合も理論所は希にあります。(camera写真①) 

 栄養体(トロフォゾイト)と嚢子(シスト)の2形態からなる原虫です。感染様式は糞から口へシストを経口摂取することによりおこります。ジアルジアはもともと水中で生活した関係で、水分の多い環境では長期に生存しますが、乾燥には弱い特徴があります。

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dire診断

あ
camera写真②(アイデックス社資料より)

あ
camera写真③ 便を直接鏡検したジアルジア、
トロフォゾイト(アメーバ状)とシスト(台形状)

ジアルジアの直接鏡検法の検出率(院内検査法)は
camera写真②のアイデックス社資料を引用よると

感度27%、特異性31%しかありません。

あcamera写真④、特異抗原の検査(スナップ・ジアルジア)陽性例

 そこでG.Intestinalisの特異抗原が使用されているスナッツプ・ジアルジアを使用すると、camera検出率は感度90%、特異性96%と有意に上昇します。(写真②アイデックス社資料)
 そのため診断には直接鏡検に加え、特異抗原の検査が大切です。

 スナッツプ・ジアルジアを使用した別の報告でも、ジアルジアは全国14ヶ所371頭27種類の犬種の調査では、陽性率は6.7-59.3%と高い値を示しています。
年齢別では1-9ヶ月 54.9%、成犬では30.9%がジアルジア陽性でした。
 幼犬を中心に一番犬が感染する寄生虫と推測されます。

 スナップ・ジアルジアは犬限定なため、犬以外の動物で便が多くとれた場合は検出率をあげるため、直接鏡検に加え硫酸亜鉛7水和物による浮遊法を使用する場合もあります。下記詳細。
 硫酸亜鉛7水和物33.3g/水道水100ml(比重1.18)①液を作成、スピッツ管に便O.5gと①液を1/3-1/2位加え十分攪拌する。
 ガーゼ1枚で別のスピッツ管にろ過し、ろ過液に①液を加え管口から1cm位に調節する。
 2000-2500rpmで5分遠心すると虫卵、シストは最上層に浮遊する。管口よりかずかに盛り上がる程度まで①液を加え、ただちにカバーガラスを乗せて5-10分間後に鏡検する。硫酸亜鉛12水和物の使用は意味なし、必ず7水和物を購入のこと。

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dire症例
 
先日の症例は購入したばかりの子犬が下痢が止まらず来院しました。検便では陰性でしたが、特異抗原検査(スナップ・ジアルジア)では陽性を示し、(camera写真④)メトロニダゾールの投与でよくなりました。
 ジアルジアの吸着円盤が消化管の管腔内壁に付着すると、腸管の栄養を吸収する上皮に吸盤が付着するため、食べ物の吸収がうまくいかず、浸透圧下痢をおこし脂肪便になることがあります。
 この症例は下痢の症状がありましたが、特異抗原検査が陽性でも無症状な犬もいます。子犬のジアルジア感染は90%が1歳位になると自己の免疫力で自然治癒する意見もありますが、最近は遺伝子検査によりヒトに希に感染する可能性が指摘されているので、駆虫した法が良いと本院では考えています。

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dire生活環
 生活環は単純でトロフォゾイトとシストの2形態からなります。
感染様式は典型的な糞から口への感染で,シストを経口摂取することにより感染します。

 顕微鏡ではトロフォゾイトは直進性運動をしますが、シストは台形様に診られます。(camera写真②)感染の能力があるのはシストのみです。下痢の激しい疾患では、シストの形成ができずトロフォゾイトのみ排泄される場合もあります。
 トロフォゾイトは外界で死滅しますが、シストは排泄と同時に感染力を獲得しますので家庭では早めに便の処置が必要です。特に水分の多い環境では長期に生存します。環境中のシストの除去のため、トイレ、床は可能なら熱湯消毒がベストです。熱湯消毒できないものは日光消毒、アイロンの噴霧機能がお薦めです。犬に下痢便が付いた場合は、シャンプーもよい方法です。なおシストも乾燥には弱く、短時間で感染力はなくなります。
 犬猫における生活環の詳細日数は不詳ですが、ヒトではジアルジアはシストの経口感染で、感染後6-15日で典型的な症状がでて、急性期2-4日経過、その後治るか、慢性期に移行するそうです。プレパテント・ピリオドは実験例で犬、5-12日(平均8日)、猫、5-16日(平均10日)と報告されています。

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dire治療(駆虫薬)
 抗原虫薬フラジール®(成分名、メトロニダゾール )camera写真⑤)の投与で70%はよくなります。
 効果ない場合はチニダゾールcamera写真⑤)、ドロンタールプラス®camera写真⑥)また一部の抗生剤を使用しています。しかし原虫の感染数が多かったり、飼育環境が劣悪だと、次から次と感染がおこり、駆虫薬も効果を示さない場合もあります。そのため上記した消毒との併用は大切です。
 単独飼育のときは7日位で回復することをが多いです。多頭飼育の環境(約20頭位)にいるジアルジア駆虫を診療したことがありましたが、同時駆虫薬の使用をおこない、熱湯消毒を徹底させましたが、完全駆虫には半年ぐらいかかりました。 

 あ
camera写真⑤) 抗原虫薬フラジール®(成分名、メトロニダゾール Metronidazole)と
ハイチジン(成分名、チニダゾール、Tinidazole

あ
camera写真⑥)ドロンタールプラス®

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【他の動物の原虫疾患は】

 


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

あ dog犬の糞線虫


  私の開業している地域では糞線虫まず診ません。東京・神奈川では少ないのかもしれません。
 犬では九州・沖縄地方が多いことが記載されている本もありますが、東北地方の動物病院の研究報告も診ます。
 犬はしつこい下痢で来院します。粘膜に穿孔している寄生虫ではないので、血便は殆どありません。診断は新鮮便でラブジチス型幼虫をみつけます。(L1・雌2mm)しかし検出率は良くなく、複数検便が必要な場合もあります。

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■寄生は雌のみ  
 この寄生虫は動物(犬・人にも)感染しすると、ラブジチス型幼虫(R型)という形式で小腸に感染します。寄生すると雄は必要なくなり、処女生殖で数時間で卵内に幼虫が形成され孵化していきます。この孵化した幼虫をラブジチス型幼虫(L1)と呼び、腸腔に出て糞便を食べて成長しラブジチス型(L2)になり外界へ排便と共に出されます。

■外界での発育  
 ラブジチス型幼虫(L2)は、その時の環境で二つの道(①寄生世代・②自由世代)のいずれかをとって発育します。
 おおまかな検討はされていますが、どちらの世代をとるか詳細はよくわかっていません。

■外界での発育①  
 ①不利な条件下では24時間で寄生世代(別呼・直接発育)になることが多いです。
 ラブジチス型幼虫は二回脱皮をして古い皮を被ったフイラリア型(F型・L3)の感染幼虫になります。フイラリア型の特長はラブジチス型幼虫と異なり、口が閉ざされ栄養物を取れないので、一定期間しか生きられないことです。
 その間に犬・人の皮膚から侵入したり、また経口感染できればフイラリア型から動物体内でラブジチス型幼虫になり、次の世代を残せますが、感染の機会がなければ死んでしまいます。

■外界での発育② 
 ②食事が十分にあって、温度も適温で(20-30度)、混み合っていないときは自由世代(別呼・間接発育)を選ぶ傾向が多いです。
 この経路はラブジチス型幼虫(L2)のまま4回脱皮を重ねて36時間前後でラブジチス型幼虫(L5)にまでなり、雌雄の各々の成虫に変化し交尾します。しかし雄はすぐに死亡し、雌も同様卵を産むとすぐに死亡します。寿命は二日間ぐらいしかないそうです。
卵はすぐ孵化してラブジチス型幼虫(L1)として生まれますが5-6日でラブジチス型幼虫(L2)を経て、フイラリア型幼虫(L3)となり、寄生世代との共通経路に入り同様の運命を辿ります。

■その他の発育
 ③他にラブジチス型幼虫が腸内で自家繁殖する経路が知られています。この経路が活発になると人では重傷化します。

 以上糞線虫はこのようなバリエーションの多い生き方をしているので、駆虫薬が効きにくい訳です。

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dire他の寄生虫
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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

おdog犬のバベシア症


 犬のバベシア症は主にマダニの媒介犬の赤血球内に寄生する原虫疾患です。本邦では西日本に多い病気です。しかし①西日本からの引越し、②また犬と一緒に西日本への旅行したあと、③闘犬の多い地では関東・東北などでも稀に発生あり注意は必要です。
本邦での感染は病原性の高いBabesia gibsoniがほとんどで、病原性の低いBabesia canisが沖縄のみにいる程度です。
 神奈川の当院では以前、大阪から引っ越してきた犬で診た経験が数例ある位です。


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●感染様式
 マダニに刺されるか、闘犬で感染します。
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●症状は
 3週間の潜伏期間をへて、元気消矢・食欲低下・発熱・体重減少・溶血性貧血などをおこします。
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●診断
 血液塗抹標本から赤血球内のバベシアを探します。しかし効率のよい診断法ではないため疑われる疾患では、遺伝子診断が使用されています。またマダニの予防歴や、西日本への旅行歴も診断の補助になります。
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●治療
  犬のバベシア症はヒトのマラリア症に似ている関係で、マラリア症に使用されるクリンダマイシンの単独投与や、またメトロニダロール、ドキシサイクリンとの3剤併用療法があります。しかし以上の抗生物質療法は効率のよい方法ではありません。あくまで補助療法になります。
 駆虫には2009年ごろに再発売されたジミナゼンジアセチュレート注射剤(カナゼック®)の使用、またアジスロマイシン・アドバコン(日本なし・本院も取り扱いなし)の併用投与があります。しかしどんな薬剤を使用してもバベシアを完全に除去できる治療薬はありません。増殖を抑え、症状を緩和させる治療が限界です。免疫力がおちると再発する場合もあります。一度罹患した犬は通年のマダニ予防と定期的な通院が必要です。またこれら駆虫剤は 副作用も多く、投薬後は注意が必要です。

 


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2018.06.02更新

おsheep子犬の下痢


a子犬が急に下痢になりました。昨日、川崎市の夜間で処置をしてもらい下痢は止まっていました。今朝確認のため来院しました。

aウサギの酵母菌⇩

本院の検便ではウサギの酵母菌が診られました。right arrowウサギの酵母菌は時々犬でみますが、ひどい下痢になった記憶はありません。

aジアルジア検査(陽性)

 子犬の下痢で多い疾患に原虫疾患のright arrowジアルジアがあります。このジアルジアの特長は、顕微鏡での糞便検査ではなかなか発見されません。そのため抗原検査が必要です。

 この症例は遺伝子検査は陽性でしたが、本日は下痢は止まっているので、right arrowジアルジア駆虫は行いませんしでした。

 陽性でも便が普通ならright arrowジアルジア駆虫は行わなくてもよいケースもあります。その理由は1年位たつと免疫で自然治癒することも多い原虫のためですが最近は駆虫する傾向になっています。

しかし最近はヒトの感染する可能性が示唆されており、駆虫を推進する意見が多いです。


 

dire他の寄生虫疾患は
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2018.06.02更新

あdog犬鉤虫症(Ancylostoma caninum)とは


あ camera1)犬鉤虫 虫卵 長径65μm
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 ■症状
 本院では殆ど診ない寄生虫です。犬鉤虫の成虫は体長約1-2cmの寄生虫が小腸の絨毛に咬みついて寄生しています。
 鉤虫は口に3対の大きな鉤があるのが特徴です。吸盤状の鉤が腸の中について吸血し、小腸壁に傷がつき血便を呈して来院します。また栄養の吸収不全がおき削痩して来院するケースもあります。

■感染様式

 犬鉤虫は①被嚢子虫の経口感染、②経皮感染、③経乳感染、④胎盤感染、⑤待機宿主の補食で感染します。
 犬回虫は卵殻が硬く虫卵ごと捕食されますが、犬鉤虫卵は外界に出ると卵殻が薄いため夏場なら半日から分裂が始まり、約7日間で幼虫が出現します。そのため①被嚢子虫の経口感染は幼虫の捕食になります。幼虫は腸管で成虫になり、気管型移行、体内型移行はおこなわず、経口感染の場合は腸管のみで生活環を過ごします。

 外界で幼虫になるため、②のように犬の皮膚から感染して、気管型移行を行い、腸管に感染する特徴があります。
 母犬から胎盤や母乳を介して感染することがあるため、子犬でも発症することがあります。希に健康診断どき、検便で虫卵が診られますが、体の未熟な子犬が鉤虫に大量に寄生すると、重い貧血を起こし、命に関わることもあります。(③経乳感染、④胎盤感染)
⑤待機宿主の補食については多くは事例は報告されてません。
実際あったケースで、地域のOO公園に散歩にいく犬は犬鉤虫に感染するケースがありました。短期間でこの寄生虫によく罹患する場合は定期的駆虫、散歩コース、飼育環境の変更が大切です。

■治療
 線虫なので、犬回虫と同じ薬剤になります。本院ではドロンタールプラス®を主に使用しています。裸錠ですが大抵の犬に投薬は可能です。
味に敏感な場合は嗜好性のよいイベルメック®などのチュアブル錠をフィラリア予防とリンクして使用しています。
また最近販売されたプロコックス®も犬鉤虫の対称になります。
本院ではイベルメック®とプロコックス®の使用の際はフィラリア陰性を確認しています。

あdireドロンタールプラス®

あdireイベルメック®

あdireright arrowプロコックス®

 駆虫薬は成虫には効いても、卵には全く効きません。そのため犬鉤虫のプレパテントピリオド(経口感染15-26日、経皮感染17-21日、経乳感染10-14日、胎盤感染10-14日)、(参考 猫鉤虫は経口感染で14-21日)を考慮して駆虫薬を再投与が大切です。
ヒトには感染幼虫が皮膚から侵入し、皮膚炎を起こすことがあります。幼虫移行症に発達する場合もあります。

 


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2018.06.02更新

あ■私の開業している地域で診る
dog犬の消化管寄生虫を説明します。


 都市近郊の動物病院では、寄生虫疾患は最近はあまり見なくなりました。
当院では線虫・条虫は減少傾向ですが、原虫類の感染は多く診ます。
またいろいろな施設の結果をみるとまだまだ寄生虫はいるようです。

 ペットショップ・愛護施設などで1-2回検便が終了していても、生活史の関係で購入してから発見される寄生虫もいます。
また屋外で保護された動物は寄生虫はいることが多いです。
 まれにヒトに感染する寄生虫もいますので、必要に応じて、かかりつけ獣医師で複数回の検便(直接法・遠心法など)また特殊検査を受けることをお勧めします。
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◆駆虫とは
 ペットショツプで一般的言はれる「駆虫」は犬回虫・犬鉤虫・原虫類の駆除を指す場合が多いです。しかし限られた期間で駆虫できない寄生虫もあります。

●本院では寄生虫の種類により下記の3つのグループに分けて考えおこなっています。
①犬回虫・犬鉤虫はともに線虫類に属し同じ薬剤で効果があります。
 線虫類の駆除に必要な概念で、宿主に感染した後、虫卵を排出するまでの日数をプレパテント・ピリオドと言います。みせかけの陰性の期間を示し。この期間は感染していても検便で虫卵は見つけられません。
 期間はdogright arrow
犬回虫dogright arrow犬鉤虫は2-4週間、dogright arrow犬鞭虫で2-3ヶ月
です。以上の理由で線虫類の駆虫にはこの期間を開けてして再投与が必要です。
 なお犬鞭虫も線虫類ですが犬回虫・犬鉤虫と駆虫薬の種類と用量などが一部異なります。
 
 ②原虫類のdogright arrowジアルジア・トリコモナス・dogright arrowコクシジウム、その原虫に適した薬剤を1-2週間短期集中に使用します。他に便の処置を早くおこなうことが大切です。適した薬剤を使用しても、再発の多い厄介なケースもあります。

③最近、犬では殆どは診ませんがright arrow条虫right arrow吸虫類は適した駆虫薬に加え、中間宿主と隔離が大切です。

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あdog犬回虫(Toxocara canis)
 dogright arrow犬回虫は本院でもときどき診ます。成虫は「そうめん」状で雄雌がいて、
交尾して写真のような形状の卵(顕微鏡所見)を生みます。

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あdog犬鉤虫Ancylostoma caninum  
  dogright arrow犬鉤虫体長約1-2cmの寄生虫が小腸の絨毛に咬みついて寄生しています。

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a■犬鞭虫Trichuris vulpis) 
dogright arrow犬鞭虫は7ヶ月以上の犬で感染が診られます。後天的感染です。

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あ

■犬のコクシジウム(Isospora canis、Isospora obioensis 
 犬のdogright arrowコクシジウム
①頻回の下痢で発見されたり、②また偶然検便で診られることもあります。
 特に子犬で下痢が続く場合は、脱水して死亡する場合もありますので注意が必要です。
 

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あ■犬ジアルジア症は
Giardia.Intestinalis類に起因します。

 dogright arrow犬のジアルジア症は全国14ヶ所371頭27種類の犬種の調査では、陽性率は6.7-59.3%と高い値を示しています。
(年齢別では1-9ヶ月 54.9%、成犬では30.9%がジアルジア陽性です。 だぶん一番犬が感染する寄生虫と推測されます。)
◆注意 人にも感染する可能性があります。犬ちゃんを飼育の際は検査をお薦めします。

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2018.06.02更新

あdog犬回虫症(Toxocara canis)とは


 ヒト回虫は、戦後はヒトにも多くいましたが、現在、殆どみられなくなりました。
しかし当院では、犬回虫は幼少期に時々診ます。

あ
camera1)犬回虫 虫卵 75-80×65-70μm

検便にて顕微鏡で上記のような虫卵が診られます。
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あcamera2)犬回虫 成虫  雄3-10cm 雌5-18cm 

また 糞便中に上記(camera2)のように肉眼で成虫を見つけて来院されるケースもあります。
検便の方が感度は良いです。
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■症状

 犬回虫は感染数が少なければ症状はありません。
しかし多数が寄生すると症状は一変し、嘔吐、下痢はじめ、回虫が消化管内で縺れることで腸閉塞になった例もあります。
少数の感染では宿主に害を及ぼしませんが、一度に大量寄生があると命を落とす状態まで進行することもある寄生虫です。

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dire他の動物の回虫症は
tigerright arrow猫回虫
chick
right arrow烏骨鶏の回虫症
chickright arrow
ハト回虫虫卵と成虫標本



■感染様式

 幼犬期の寄生虫疾患です。
犬回虫は①被嚢子虫の経口、②経乳感染、③胎盤感染、④待機宿主の補食で感染します。
鶏の回虫と異なり産卵の季節性はありません。
被嚢子虫の経口感染について解説します。


あ camera3)直後の便 子犬は、未分化卵で回虫卵を排泄します。

あcamera4)2週間後の便(上記写真2枚は本院の庭での実験)

 犬回虫卵は25度2週間で感染力をもつ幼虫包嚢卵になります。鶏の回虫と異なり産卵の季節性はありません。 
排泄直後の便より、このような便を犬ちゃんが臭いを嗅いかいた場合の方が犬回虫の経口感染は心配です。
また土の中でも幼虫包嚢卵は1-2年生存し、冬場に排泄されても、卵は春先まで生存して新たな感染源になります。 稀に人にも感染します。
待機感染はネズミなどが、幼虫包嚢卵を食べると筋肉内に被嚢します。そのネズミを犬が食べた場合におきる感染様式です。
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 生後3ヶ月未満の若い犬が虫卵を摂取すると気管型移行を採ります。(腸管―肝臓―心臓―肺―気管―咽頭―腸管)感染後約2週間で再度腸管に戻り、その後2週間で成熟し虫卵を排泄します。プリパテントピリオド(資料B)は3-4週です。

 しかし3ヶ月以上の犬は体内型移行を採り、肺までは移動した後、その後気管へと上行せず、そのまま全身へと血流に乗って拡散される。そして1週間後全身の臓器や筋肉内で肉芽腫に囲まれて被嚢してします。体内型移行が完了した雌犬が妊娠すると、被嚢した幼虫が賦活化して胎盤を通じて、胎子内の肝臓へ移行する(胎盤感染)。こうして生まれた子犬は生後21-24日で虫卵を排出します。また出産後4日目で母体にいる被嚢幼虫は乳汁に移行し、子犬が乳汁を飲み腸管内で成虫になります(経乳感染)。

 以上が犬回虫の虫卵は幼犬では出やすいが、成犬からは出にくい理由です。
但し気管型移行から体内型移行への変更時期は必ず3ヶ月前後で変わる訳ではなく、イヌの環境・性差・栄養状態などにより広い幅があります。
 なお犬回虫の寿命はおよそ1-2年です。 

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■治療

 本院ではドロンタールプラス®(資料C)を主に使用しています。裸錠ですが大抵の犬に投薬は可能です。しかし味に敏感な場合は嗜好性のよいイベルメック®(資料D)などのチュアブル錠をフィラリア予防とリンクして使用しています。また最近販売されたプロコックス®も犬回虫の対称になります。
プリパテントピリオド(資料B)が3-4週はなので、1ケ月後に必ず再駆虫してもらっています。


あcamera5)プロコックス®(バイエル薬品)

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資料A 
●犬回虫の産卵能力と検便の検出率について。
 犬回虫卵は1日の10kg雌犬の推定便量130g中に900-2000個の犬鞭虫卵を産みます。糞1gあたり154-1540個に相当します。直接法で検便を診るとプレバラート1枚当たり便量は2-3mgになり、0.3個-4.6個の犬回虫卵が見れる計算になります。そのため直接法で検便をしても検出率はまずますです。 浮遊法・遠心法の中で最も検出率のよいとされる硫酸亜鉛遠心法(その1・その2)は便0.5gの回収率を50%として計算するとプレバラート1枚当たり39-390個の犬回虫卵が見れる計算になります。
 以上犬回虫は単回の検便では検出ができない場合もあり、診断には複数回の検便と硫酸亜鉛遠心法を併用することがベストです。試験的に回虫の駆虫剤を投与して様子を診ることも可能です。
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資料B
 子犬に犬回虫が経口感染した場合、プレパテントピリウド注1)は50-60日です。このプレパテントピリウドの期間中に検便してた場合、虫卵は検出されません。感染は成立しても検便では陰性になる訳です。また糞便は、均一分布して、回虫がいる訳ではありませんので、直接糞便検査、集卵法をもちいても見逃す可能性はあります。
 

注1) 宿主に感染後、虫卵や幼虫を排泄できるまでの期間をさします。犬回虫の場合、卵に効果ある薬剤はないので、卵から成虫になる約30日後に再駆虫します。寄生虫の種類により異なります。
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資料C


あドロンタールプラス錠®(バイエル薬品)

 犬用の裸錠で本品1錠中にプラジクアンテル50mg(5-10mg/kg)、パモ酸ピランテル144mg(14.4-28.8mg/kg)、フェバンテル150mg(15-30mg/kg)を含有する。2週齢以上の500g以上の子犬で認可。
パモ酸ピランテルが犬回虫、犬鉤虫を、パモ酸ピランテルとフェバンテルの相乗作用で犬鞭虫を、プラジクアンテルが瓜実条虫を駆除する。メトロニダゾールの誘導体フェンベンダゾールのプロドラックがフェバンテルである。フィラリア陽性犬でも使用可能。
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資料D

あ イベルメック®(フジタ製薬)
 

 イベルメクチン(5-11μg/kg)でフィラリア予防、パモ酸ピランテル(14.4-28.8mg/kg)で犬回虫、犬鉤虫駆除が可能な合剤でチュアブル錠。イベルメクチンはミクロフィラリアの陰性を確認後投与のこと。チュアブルとは『噛むこと』のチュア(chew)と『できる』の(able)造語です。普通の錠剤は胃で溶けて小腸から吸収されて薬効を示しますが、チュアブル錠は薬剤を噛んでも小腸から吸収できる薬剤形態です。水無しでも投与でき、苦味がなく、嗜好性が良い(イベルメック®で98%)薬剤形態です。なお食事アレルギーの既往歴ある場合はアレルゲンとチュアブル錠内容物の確認が必要になります。美味しいため犬舎の上など犬が届く場所にチュアブル錠を置くと、オーナーの目を盗んで、すべてのチュアブル錠を犬が誤食してしまう恐れがあるため、薬剤管理は大切です。

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●症例

あポメラニアン 雄 4ヶ月です。ペットショップから購入後1週間で、混合ワクチン接種とフィラリア予防で来院した例です。

 検便をオーナーに切り出したところ、「便の状態は正常で、検便はペットショップで済んでいる。」との理由で行わず、フィラリア予防薬にはイベルメック®(資料D)を処方しました。そしてこの薬剤は犬回虫、犬鉤虫にも効果のある点も強調しました。

 翌朝、オーナーが「お尻から、そうめんのような虫が便と一緒に出た」(camera2)ことに驚いて再来院しました。
「検便はペットショップで済んでいるのに何故いるのか。」という質問があったため、回虫など消化管寄生虫は検便の回数が少ないと検出され難いこともあり、そのため昨日検便を薦めた理由も再度伝えました。(資料A、B)
またイベルメック®がフィラリア予防のみではなく回虫の駆虫薬である旨も再度伝え、その後も月1回投与を続けることを指示した。
 『検便はペットショップで済んでいる。』を100%虫はいないと勘違いしてしまうオーナーはよくみかけます。ここに示したようなからくりはありますますので注意が必要です。

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

べ
犬鞭虫症とは Trichuris vulpis 


dog犬鞭虫、虫卵
 大きさ70-80×37-40μmのグラタン皿様です。

あ
dog犬鞭虫、成虫
雄40-50mm 雌50-70mmの長さになります。
(目黒寄生虫博物館より)

●感染
 感染様式は後天的感染のみです。虫卵の経口感染でおき、腸管で成虫になり虫卵を排泄します。気管型移行、体内型移行はなく、腸管のみで生活環を過ごします。 (胎盤感染、経乳感染、待機宿主からの感染もありません。)
 当院のある川崎市多摩区では、鞭虫感染は7ヶ月以上の犬でときどき診られる位です。
 
●症状
 軽度では無症状ですが、重症では頻回の下痢、血便を呈し、ひどい場合は死亡します。

●疫学
 郊外の自然豊かな場所で発生は多いですが、
注意点として犬鞭虫は少数寄生で下痢が長く続くと虫卵の検出が厄介な場合もあります。
 
都市近郊の動物病院は「犬鞭虫はいない」ことを前提に考える傾向が強く、慢性下痢が治らず二次診療施設を訪れた際、意外に検出されるのがこの犬鞭虫です。そのため犬の慢性下痢には検便は数多く行う必要があります。15回検便を行って始めて検出されたケースも研究会で報告されてました。鞭虫駆虫剤を試験的に投与することも大切かもしれません。
 なお同様に検便で発見が難しい寄生虫例は猫ではright arrowトリコモナTrichomonas fetusで、ヒトでは横川吸虫、right arrow糞線虫が報告されています。

 

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犬鞭虫卵
 
 犬鞭虫卵の厄介な点は、外界に強く比較的高温下で発育します。しかし4度以下では発育はしません。
土壌では5年間は感染能力がある報告もあります。
 家の庭、犬が集まる近所の公園が汚染源になり、1回の駆虫では完全に除去はできないことが多いです。そのため犬鞭虫のプリパテントピリオドの2-3ヶ月を考慮したり、フィラリア予防薬ミルベマイシン(下記参照)を増量して、エンドレスで駆虫薬を投与する必要があることも経験しています。
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犬鞭虫卵、理論上の検出率 
 犬鞭虫卵に感染すると1年間は虫卵の排泄がみられ、10kg雌犬の1日推定便量130g中に犬鞭虫卵は975-1950個の卵を産みます。
 糞1gあたり犬鞭虫卵は7-15個に相当し、直接法で検便を診るとプレバラート1枚当たり便量は2-3mgになり、犬鞭虫卵で0.01個-0.05個の見える計算になる。そのため直接法で検便をしても検出率は高くありません。
浮遊法・遠心法の中で最も検出率の高い硫酸亜鉛遠心法は便0.5gの回収率を50%として計算するとプレバラート1枚当たり犬鞭虫卵は1.8-3.8個の見える計算になります。
以上の理論上では犬鞭虫は単回の検便では検出ができない場合もあり、診断には複数回の検便と硫酸亜鉛遠心法を併用することがベストです。----------------------------------------------------------------------

犬鞭虫駆虫薬について

 
ドロンタールプラス錠®(バイエル薬品株式会社)

 ドロンタールプラス錠®は犬用の裸錠で本品1錠中にプラジクアンテル、パモ酸ピランテル、フェバンテル(フェンベンダゾールのプロドラック)を含有します。2週齢以上の500g以上の子犬で認可がありright arrowフィラリア陽性犬でも使用可能です。
 パモ酸ピランテルが犬回虫、犬鉤虫を、パモ酸ピランテルとフェバンテルの相乗作用で犬鞭虫を、プラジクアンテルが瓜実条虫を駆除します。

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フェンベンダゾールFenbendazole

 本院では犬鞭虫の駆虫によく使用する薬剤でright arrowフィラリア陽性犬でも使用可能です。
1日1回で3日間投与が必要です。
 写真の左側が日本製です。大動物用のメイポール10®(meiji seikaファルマ株式会社)、右側はアメリカ製のPanacurc®です。日本製は投与量が多くなり使用が大変です。

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ミルベマイシン®(第一三共製薬) 

 この薬剤の使用はフィラリア陰性が条件ですright arrowフィラリア予防薬の中でフィラリア予防量と鞭虫駆虫量の差が少ない薬剤です。家庭の庭や散歩コーズが犬鞭虫卵に汚染されている場合は月1回投与のミルベマイシンを増量してright arrowフィラリア予防と鞭虫駆除が同時にできます。鞭虫駆除量は犬ちゃんへは過剰な量ではありません。

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トリサーブ®  

 鞭虫の注射用駆虫薬、トリザーブ®(成分名メチリジン)は製造中止です。今はありません。

 
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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.01更新

あdogイヌのコクシジウム


 生後4ヶ月のダックスフンドが東京都世田谷区からみえました。
 下痢など臨床症状はありませんが、幼イヌなため検便もしたところright arrowコクシジウムが発見されました。

 この寄生虫は原虫類に属し、イヌの糞便中に排出したコクシジウム卵がイヌの口から入ることで感染します。幼イヌに多く、そのため子犬を多頭飼育している施設では水平感染がおきる可能性が高く注意が必要です。

 right arrowコクシジウムはアイメリアとイソスポラと呼ばれる2種類があり、イヌでは後者が原因となります。
 

 急性の場合は、水様性の下痢をする場合が多く、粘液や血がまじった下痢もすることもあり脱水で死亡する個体もいます。しかし本症例のように目立った症状が現れないケースもいます。


あcamera検便でみられたコクシジウム

 治療はサルファ剤を投与しました。またイヌちゃんがright arrow使用しているものは可能なものは熱湯消毒してもらいました。
 サルファ剤は駆虫には1-2週間(またそれ以上)薬剤を飲ます必要があります。最近販売されたトルトラズリル(商品名 プロコッカス®)は1回の投与で駆虫可能です。(念のため2週後、もう1回投薬が良好です。)
あ


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2018.05.03更新

あtigerネコ、瓜実条虫(Dipylidium caninum)


a 

あ

 便に白く、小さな虫(2-3mm)が混ざって出てきたため来院した1歳雄の日本猫です。(が虫体)
このネコは、外にもでる環境で飼育されています。

 視診と虫体を押捺した標本中に卵黄と中に六鉤条虫が診られright arrow瓜実条虫と診断しました。
また検便では他の寄生虫は診られませんでした。
 
  処方はright arrow瓜実条虫駆虫に【プロフェンダー®スポット】(線虫駆除に効果を発揮するエモデプシドと条虫駆除に効果を発揮するright arrowプラジクアンテル、2つの成分を配合)とright arrow瓜実条虫の中間宿主right arrowノミの駆除のため、【マイフリーガード 猫用】(有効成分:フィプロニル、ノミ・マダニに対して約1ヵ月の駆除効果があり。)を皮膚に2cm開けて滴下したところ、翌日には瓜実条虫は診られなくなりました。
 同居猫にも同様な症状がみられるため、同様の薬剤を処方しました。また今後、right arrowノミの駆除は長めのおこなっていただくよう指導しました。

 


 

dire 寄生虫疾患
dogtiger条虫類、瓜実条虫、マンソン裂頭条虫の診断と駆虫薬の相違
bookコクシジウムの駆除剤


 

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