■私の開業している地域で診る
犬の消化管寄生虫を説明します。
都市近郊の動物病院では、寄生虫疾患は最近はあまり見なくなりました。
当院では線虫・条虫は減少傾向ですが、原虫類の感染は多く診ます。
またいろいろな施設の結果をみるとまだまだ寄生虫はいるようです。
ペットショップ・愛護施設などで1-2回検便が終了していても、生活史の関係で購入してから発見される寄生虫もいます。
また屋外で保護された動物は寄生虫はいることが多いです。
まれにヒトに感染する寄生虫もいますので、必要に応じて、かかりつけ獣医師で複数回の検便(直接法・遠心法など)また特殊検査を受けることをお勧めします。
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◆駆虫とは
ペットショツプで一般的言はれる「駆虫」は犬回虫・犬鉤虫・原虫類の駆除を指す場合が多いです。しかし限られた期間で駆虫できない寄生虫もあります。
●本院では寄生虫の種類により下記の3つのグループに分けて考えおこなっています。
①犬回虫・犬鉤虫はともに線虫類に属し同じ薬剤で効果があります。
線虫類の駆除に必要な概念で、宿主に感染した後、虫卵を排出するまでの日数をプレパテント・ピリオドと言います。みせかけの陰性の期間を示し。この期間は感染していても検便で虫卵は見つけられません。
期間は犬回虫と犬鉤虫は2-4週間、犬鞭虫で2-3ヶ月です。以上の理由で線虫類の駆虫にはこの期間を開けてして再投与が必要です。
なお犬鞭虫も線虫類ですが犬回虫・犬鉤虫と駆虫薬の種類と用量などが一部異なります。
②原虫類のジアルジア・トリコモナス・コクシジウムは、その原虫に適した薬剤を1-2週間短期集中に使用します。他に便の処置を早くおこなうことが大切です。適した薬剤を使用しても、再発の多い厄介なケースもあります。
③最近、犬では殆どは診ませんが条虫・吸虫類は適した駆虫薬に加え、中間宿主と隔離が大切です。
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■犬回虫(Toxocara canis)
犬回虫は本院でもときどき診ます。成虫は「そうめん」状で雄雌がいて、
交尾して写真のような形状の卵(顕微鏡所見)を生みます。
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■犬鉤虫(Ancylostoma caninum )
犬鉤虫は体長約1-2cmの寄生虫が小腸の絨毛に咬みついて寄生しています。
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■犬鞭虫(Trichuris vulpis)
犬鞭虫は7ヶ月以上の犬で感染が診られます。後天的感染です。
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■犬のコクシジウム(Isospora canis、Isospora obioensis )
犬のコクシジウムは
①頻回の下痢で発見されたり、②また偶然検便で診られることもあります。
特に子犬で下痢が続く場合は、脱水して死亡する場合もありますので注意が必要です。
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■犬ジアルジア症は
Giardia.Intestinalis類に起因します。
犬のジアルジア症は全国14ヶ所371頭27種類の犬種の調査では、陽性率は6.7-59.3%と高い値を示しています。
(年齢別では1-9ヶ月 54.9%、成犬では30.9%がジアルジア陽性です。 だぶん一番犬が感染する寄生虫と推測されます。)
◆注意 人にも感染する可能性があります。犬ちゃんを飼育の際は検査をお薦めします。
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