■ヨークシュテリア、東洋眼虫(Thelazia callipaeda)の感染
ご注意
このホームページに記載されている疾患の予後、
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インターネットに記載されている薬剤などの
電話相談は診療の妨げになりますので
お断りしています。
当院での診察、薬剤希望の方はペットをつれて来院ください。
14歳のヨークシュテリアが最近眼を気にしているので、オーナーが注意深く見たら寄生虫がでてきたので持参してくれました。
拡大するとこんな様子です。
頭頂は長円形型の口腔が見られました。
寄生虫の大きさ、拡大所見の特徴から東洋眼虫と診断しました。
東洋眼虫は主に眼の中の結膜嚢、瞬膜下に寄生し、眼球上は蛇行運動します。雄1-1.5cm、雌1cmの大きさです。
マダラショウジョウバエが中間宿主です。眼ヤニや涙液に含まれる『たんぱく質』が好きなハエです。春から秋にかけて野山、公園、ハイキングに行くとまとわりつく黒い虫のことです。コバエ、メマトイとも呼ばれています。
家庭内では腐敗した果物・野菜、フルーツジュース、ビールなどの酒類、パンといった発酵物が好きで繁殖します。一人暮らしで綺麗好きの方はみることは少ないとおもいますが、家族の多い家では排水溝のあたりを飛んでいる場合もあります。掃除はこまめに、清潔に保つことが大切です。どこで感染したか特定は無理です。
生活史
東洋眼虫のき感染仔虫をもったマダラショウジョウバエがイヌの涙液を吸うとが口器からイヌの眼内の結膜嚢入り感染が成立します。約20日で成虫に成長し(雄、雌)になります。この成虫が眼表面で発見されます。成虫(雄、雌)から仔虫含有卵ができます。仔虫含有卵は涙液ととも再びマダラショウジョウバエに吸引され、体内で感染仔虫(温度25-30度の条件で10-14日位)になります。マダラショウジョウバエはイヌの涙液を吸すとき感染をおこします。
この繰り返しで増殖します。
処置
東洋眼虫に駆虫薬はありません。人工涙液などの点眼液を多く入れるか、また局麻の点眼で虫を弱らせ、虫体を眼科用ピンセット、綿棒で摘出するしかありません。この症例は当院では1匹捕まえられました。眼科検査で二次感染、角膜の傷もなく、幸いこの症例はオーナーが同様の処置が可能なので自宅で摘出してもらうことにしました。自宅でできない場合は繰り返し来院してもらうしかありません。その後オーナーの方は8匹捕まえたそうです。そのようなことを繰り返していたら、初診時から2週間位で虫はみられなくなっりました。
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