■ウサギのコクシジウム症について
ウサギのコクシジウム症は最近ペットショツプが衛生的になり殆どみなくなりました。
症例はウサギ 雌 6ヶ月 雑種で健康診断で川崎市多摩区からの本院を訪れました。『ウサギの専門店』での検便で『異常なし』とのことで購入しましたが、本院でコクシジウムを発見したケースです。コクシジウムは便に均一に寄生している訳ではんく、検便はだれが診ても100%はありません。
(1)本症例のコクシジウム
(2)別症例のコクシジウム
コクシジウムはアイメリア科とイソスポラ科に分かれます。
ウサギはアイメリア科(Eimeria、spp)の感染になり、12種以上の属が同定されています。
肝臓(主に胆管)と腸に感染します。
肝臓(主に胆管)に感染するE.stiedaiは最も病原性が強いとされています。オーシストは胆管上皮で形成された後に胆汁とともに腸管腔に排泄されます。発育分裂がさかんな時期には胆管上皮を破壊し、胆汁の刺激等で炎症を生じ、胆管炎を併発します。すると継続的に胆管は肥厚し胆汁のうっ滞を招き、その結果消化障害や下痢などの臨床症状もおこします。通常の検便で検出は可能です。
腸に感染するコクシジウムは検便で診断します。コクシジウムの病原性は種によって異なりますが、顕微鏡所見では(1)のような円形の形態と(2)のような楕円形の形態が診られますが、顕微鏡所見では強弱の判断はつかないため、虫卵を発見したら駆除することがベストの選択です。
●ウサギのコクシジウム症
●肝臓(主に胆管)コクシジウム Eimena Stiedai
●腸コクシジウム Eimena Perforans、Eimena.Magna、Eimena Media Eimena.Irresidue など
●治療
サルファ剤を使用します。尿がアルカリ性のうさぎではサルファ剤は殆ど副作用のない薬剤です。
紹介した症例はサルファ剤のスルファモノメトキシン(sulfamonomethoxine)を処方して、その後よくなりました。サルファ剤は1-2週間の投薬治療が必要でまた状態によってはもっと時間のかかる場合もあります。
サルファ剤は直接コクシジウムに作用する特異的駆虫剤ではありませんが 、真核動物であるコクシジウムへの浸透がよい薬剤です。
トルトラズリル(Toltrazuril)を使用も可能です。投与が1回ですむので便利ですが、日本ではウサギに多く使用されていない点が欠点です。牛用・豚用、犬用の効能外使用になります。
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