小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.05.02更新

あtiger検便で発見される猫の寄生虫・原虫


  私の動物病院のあるright arrow川崎市多摩区はJR川崎駅から16キロ位離れた川崎市北部に位置しています。川崎駅や武蔵小杉駅に代表されるような大きな複合商業施設はある場所ではありません。また付近に田畑は多くありませんが、昔ながらの商店会があり、多摩川が流れに沿って遊歩道が整備され、藤子不二雄ニュージアムに代表される緑地公園のある場所で開業しています。

 このような地域なためネコの寄生虫疾患の来院は多い訳ではありませんが、関東付近の施設の結果をみると、まだ感染は診られますので注意は必要です。

①埼玉県の動物愛護施設のデーターですと、ネコの寄生虫陽性率は全体の42.1%(456/1079)で。(1999-2007年調べ)tigerright arrow猫回虫tigerright arrow猫鉤虫tigerright arrowマンソン裂頭条虫tigerright arrowコクシジウム・クリプトスポラジウム・tigerright arrow壷型吸虫の順に多いそうです。
 
②東京都中野区周辺では、寄生虫陽性率は48%で、tigerright arrow猫回虫のみ50.1%、tigerright arrow猫回虫+コクシジウム33.3%、tigerright arrow猫鉤虫+コクシジウム8.3%、tigerright arrowコクシジウムのみ8.3%あり、猫はtigerright arrow回虫コクシジウムが多いみたいです。

 川崎市多摩区の本院ではtigerright arrow猫回虫tigerright arrow瓜実条虫tigerright arrowマンソン裂頭条虫tigerright arrow壺型吸虫の症例が時々来院します。tigerright arrow猫鉤虫は殆ど診ません。6ヶ月令からtigerright arrowトリコモナス性の下痢がよく診られます。

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■ヒトと寄生虫 
 医学部の寄生虫学教室(医学部では医動物の呼称)も10年前より減少していてマイナーに考えられがちですが、ヒトの大学病院にときどき「寄生虫外来」の看板をみるように、油断していると動物の寄生虫疾患はヒトに罹患します。そして罹患した場合は重傷化した状態になっています。下記紹介する寄生虫では猫回虫、猫鉤虫、right arrowマンソン裂頭条虫、瓜実条虫はヒトに感染した記録はありますが他の寄生虫も注意は必要です。 

そして猫回虫原因は ①西日本に多いと聞きますが、ヒトが豚・鳥・牛の生レバーや正規ルートでない鹿の肉を食べたり、②ペットとキスしたり、同じ食器で食事を食べる、オーナーの顔を平気で舐めさせるなど過度なスキンシップによる感染、③内部寄生虫・外部寄生虫(ノミ、ダニ)がいても駆虫しない。④不明以上4点でヒトに動物の寄生虫の感染がうつると分析されています。減少はあっても絶滅はできないのが寄生虫の特長です。また①②③の原因は未然に防げます。ペットから寄生虫感染する場合は多くありませんが、大切なことはペットとは節度ある関係を保って生活することです。

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あ

tiger猫回虫Toxocara cati 
 tigerright arrow猫回虫は ①直接被嚢子虫の経口感染、②経乳感染、③待機宿主の補食から感染し幼猫期に多い寄生虫です。 直接被嚢子虫経口感染した場合、猫は犬と異なり、年齢に関係なく気管移行型、体内移行型の両方が起こることが特徴です。回虫はズーノ-シスと言って、希に人のも感染しますので、注意してください。

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あ

tiger猫鉤虫 
 猫鉤虫はright arrow本院の付近では多くは診ません。猫鉤虫は犬鉤虫と極めて似ています。成虫は♂10-11mm、♀12-15mmで犬鉤虫よりやや小型で細長く、交接刺が長いことが特徴です。小腸粘膜に食いついて猫の血液を吸って栄養にしています。重症化すると貧血、栄養不良を伴い子猫は死亡する場合もあります。
■感染経路 
 糞便とともに外界に排出された虫卵が第3期感染幼虫となり経口感染し小腸に寄生します。
■診断
 検便で可能です。(写真は検便で診られた猫鉤虫卵です。)
■駆虫
回虫と同様の薬剤で可能です。

 一般的な駆虫済みは、上記した猫回虫、猫鉤虫の駆虫を指します。すべての寄生虫の駆虫ではありません。

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あ

 tiger猫コクシジウム
 駆虫はtigerright arrowトルトラズリルやサルファ剤の投与になりますが、サルファ剤はtigerright arrowコクシジウムの特異的駆虫剤ではなく、無性生殖のtrophozoiteからschizontの発育最終段階の抑制をおこない生活環を遮断して増殖を抑制します。
 そのため 駆虫は最低7日はかかると推測されます。下痢の症状なく糞便検査で偶然に発見されるケースは1-2週間の駆虫でよくなることが多いですが、環境整備が不十分だったり、ネコの免疫力が低下していると駆虫日数が月単位かかることもあります。
 仔猫で頻回の下痢が診られると、サルファ剤が効果を示す前に脱水等で死亡することが多い怖い病気です。
 筆者はサルファ剤の種類はスルファジメチキシン(アプシード®)よりスルファモノメトシキン(ダイメトン®)製剤が良いように感じています。他にトリトラズリルの投与も可能とおもはれます。


■環境 
猫の糞に残っている
right arrowコクシジウム卵が猫の足につき、卵の付いた足を舐めることで、再感染がおきます。
糞は1日経たないと感染型になりませんが、早く始末することは大切です。
 また消毒薬には抵抗を示すので、使用したトイレなどは熱湯などかけることが最適です。

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あ

tiger猫トリコモナス Trichomonas fetus  
 tigerright arrow猫トリコモナスは動物病院の現場では、慢性の大腸性下痢になり来院します。
 本院では6ヶ月-1年の間の猫がこのような症状で来院します。
 
◆良く動物病院で使用する直接検便ではトリコモナスはやっかいなことに14%と検出率がよくありません。 
  そこでright arrowRealPCR検査という遺伝子検査は86%のトリコモナスは診断可能です。(希望の方は1週間以内の便を5g持参のこと。可能なら要冷蔵がベスト)しかしやや高額な検査のため、オーナーの了解がとれないケースもあります。そこでオーナー了解のもとトライアル治療も試みている場合が多いです。
 
 このトリコモナスがなぜ大変かといえば、抗原虫薬の定番メトロニダゾールが効能を示さないことが殆どです。 海外の文献で紹介されているロニタゾール(日本未発売、本院もありません)が良い意見もありますが、一旦改善しても、また下痢がおこることもあり100%治る駆虫剤はないと筆者は考えています。right arrow本院ではチニダゾールを治療薬として使用しています。
 
 まtigerright arrowトリコモナスの排泄便はすぐに処理する必要があります。シストはないので、乾燥下での状態で長く生きられませんが、猫が湿った糞便に足底が触れると舐めて次世代の感染につながります。多頭飼いの場合は特に注意が必要で、動物系専門学校などで発生すると駆除が大変です。
 
 写真の症例はタイミングが良く、検便でtigerright arrowトリコモナスとおもはれる虫体が発見されました。動きが早く確定には至らなかったので、確定診断のためライトギムザ染色を行いました。

 right arrowトリコモナス臨床症状がないときは、感染猫の90%が無治療で2年以内に改善しますが、その後生涯キャリアとなります。また併発疾患により再度下痢を主訴に来院するケースもあります。

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あ

tigerウリザネ条虫 Dipylidium caninum  
 ウリザネ条虫は円葉条虫類に属します。体壁に子宮孔(産卵孔)がなく、片節内に虫卵は貯まり、組織内の代謝活性が低下して、老熟片節が写真のように契れて、便と共に排泄されます。すなわち殆どが体節の中に卵が含まれたまま体外に出されます。そしてこの体節が外界で壊れて虫卵が露出します。

 この寄生虫の診断はこの排泄された体節を「米粒のような虫が糞についてきた」というオーナーの稟告て発見されます。
 この寄生虫は犬猫に感染します。臨床症状は少なく診断は検便ではなくオーナーの主訴が中心なので、感染率が過小評価されています。なお腸管内でこの体節が壊れ、検便で検出可能な場合も希におきます。
 ノミが中間宿主になり重要なウエイトを示します。排泄された虫卵はノミに補食され体内で育ちます。犬猫はノミが感染すると皮膚を口でグルーミングし経口感染します。よってノミとウリザネ条虫の2つの駆虫剤が必要です。
 ウリザネ条虫の駆虫にはbookright arrowプラジクアンテルが最適です。注射・経口・皮膚滴下などの方法が可能です。
ノミはフィプロニール・セラメクチンなど皮膚滴下剤またスプノシドなど経口剤を投与がお薦めです。人のも感染する可能性があり、積極的な定期駆虫が理想です。 

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あ

tigerマンソン裂頭条虫 Diphyllobothrium mansoni
 tigerright arrowマンソン裂頭条虫tigerright arrow擬葉条虫類に属し、頭節の背腹両面中央に縦に走る扱溝があることが特長です。
 吸盤、吻など固着器官はありませんが、体壁に子宮孔(産卵孔)があり虫卵が腸管内に排泄されます。
 そのため診断には体節が排泄されるウリザネ条虫のようにオーナーの目視ではなく検便が必要です。虫卵は未発育の状態で排泄されます。 
◆生活史 
 中間宿主は2つもちます。虫卵から出た幼虫はミジンコの体内で成長し(第一宿主)、次にカエルの体内で成長し、犬猫に食べられることを待ちます。(第二宿主)また、カエルがヘビに食べられた場合はも同様に、理論上は犬猫へに食べられることを待ちますが、ヘピを食べる犬猫に遭遇した経験は私はありません。(待機宿主)
◆注意点 
 駆虫はtigerright arrowプラジクアンテルを使用します。瓜実条虫の約6倍量で可能です。1回の駆虫でほぼ完治はします。投与量が多くなるので、注射液の使用が最適です。しかし再寄生がら虫卵排出まで7-10日と早く、外に出てカエル・ヘビを食べる癖のある犬猫は注意が必要です。tigerright arrowマンソン裂頭条虫卵が前の動物病院の駆虫後、14日たって検便で診られた為、効果ないと勘違いして本院に転院してきた症例もありました。プラジクアンテルの6倍量は駆虫剤としては治療費は高額になりますので、可能なら外に出ないなど、この点は十分な配慮が必要です。
◆人への感染 
 犬猫から直接感染ではなく、待機宿主として感染します。主にカエルの刺身・加熱が不十分なヘビ料理を食べておきます。ヒトの腸はマンソン裂頭条虫の生育には適していません。そのため腸管から逸脱して、皮膚や肝臓、酷いときは眼などに感染します。この状態をマンソン孤症と定義されています。駆虫薬プラジクアンテルは効果なく、処置は外科のみになります。                                                                                                                                     

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あtiger壺型吸虫
◆生活史 
 壺型吸虫は中間宿主を2つもちます。 
◆駆虫 
 駆虫はbookright arrowプラジクアンテルを使用します。瓜実条虫の約5倍量で可能です。投与量が多くなるので、注射液の使用が最適です。水田地帯や湖沼川のある地域では第二中間宿主が類似しているためマンソン裂頭条虫と混合感染がよく診られます。                                                                                      
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あ

tiger参考 クロストリジウム属(Clostridium)の増殖疑い
 クロストリジウムは腸内の細菌で寄生虫ではありません。下痢便をグラム染色すると、グラム陽性の長桿菌・芽胞菌が多く診られクロストリジウム属(Clostridium)の増殖で腸内細菌の異常がおきている考え、抗菌剤を使用しています。再発の多い場合は基礎疾患を考慮しなければなりません。

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.05.02更新

a
tiger猫鉤虫 (Ancylostoma tubaeforme)

 本院の地域では猫鉤虫の感染は希です。今回は保護された仔猫で発見されました。症状は軟便のみが診られました。
 
■成虫
  猫鉤虫は犬鉤虫と極めて似ています。成虫は♂10-11mm、♀12-15mmで犬鉤虫よりやや小型で細長く、交接刺が長いことが特徴です。

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■虫卵
顕微鏡 100倍

 
顕微鏡 400倍

 虫卵の大きさは55-76×34-45umで顕微鏡所見では犬鉤虫とは区別はできません。
 感染様式は犬鉤虫とほぼ同様ですが胎盤感染は証明されていません。猫鉤虫の成虫寿命は約2年で、雌は最盛期に1日5千-2万個の虫卵を排泄します。ただし虫卵の排泄は変動がある点、また糞便中に均等に分布しているわけではないため1回の検便で必ず検出が可能ではありません。排泄した虫卵は7-10日で感染型幼虫(第3期フィラリア型子虫)になります。土壌や湿った環境に存在し、猫では鼻粘膜、皮膚の毛穴など経皮感染が主要な経路と考えられていますが、専門書によっては経皮感染は否定的で経口感染が主な意見もあります。寄生部位は小腸です.
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■駆虫剤

皮膚滴下タイプ
 
経口薬
 
 猫鉤虫の駆虫は線虫類のright arrow猫回虫と同じ薬剤になります。猫鉤虫が経口感染したときプレパテント・ピリオドは14-21日と報告されており、この期間を目安に再投薬が必要です。
 
  以前は猫に使用しない方がよいとされてきいたなジゾフェノール製剤(商品名 アンサイロールなど 製造中止)が多く駆虫剤として使用されていましたが、最近の薬剤はネコに副作用は殆ど心配なく行えるようになりました。

 


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2018.05.02更新

あtiger猫へモプラズマ
(旧名 猫ヘモバルトネラ、猫伝染性貧血)



 あ
猫の赤血球に寄生したヘモプラズマ(青い点)

 写真のヘモプラズマは、以前リケッチア類による猫ヘモバルトネラ症と考えられてきました。また猫伝染性貧血とも呼ばれていました。しかし、遺伝子研究の発達で、真正細菌のマイコプラズマの遺伝情報を受け継ぐことが多いことが発見され、現在猫ヘモプラズマ症と名称変更になりました。
 
 猫がヘモプラズマに罹患した場合、元気消失・食欲低下・黄疸・間歇的な発熱、溶血性貧血などの臨床症状を呈します。なお犬でもヘモプラズマ感染はありますが希な疾患です。
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■感染様式 
 また不明な点も多くありますが、ノミ・ダニの媒介、輸血、喧嘩で感染が可能性が示唆されています。そのため屋外の猫に多く診られます。実験では猫がノミに刺された場合、数週間で感染が診られる場合もあります。
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■診断 
 血液塗抹標本で写真のように赤血球の膜表面上に単一、症例によっては連銭した、青~紫色の好塩基性に染色される斑点(0.3~0.8μm)がヘモプラズマです。この血液塗抹標本から探す方法は古くから行われていますが、ヘモプラズマは周期的(2-7日間隔の報告も)にしか赤血球に染色されないため、33-50%の感度しかないことが欠点です。
 
 そこで最近は遺伝子診断が使用されています。すると感度は87%に上昇します。
ヘモプラズマは3種類の菌種、Mycoplasma haemofelis、Candidatus Mycoplasma turicensis、Candidatus Mycoplasma haemominitusの混合また単独の寄生しておきます。この中でMycoplasma haemofelisが最も病原性が高い菌種です。Mycoplasma turicensis、Mycoplasma haemominitusは病原性は低く、感染があっても、症状がひどくなるケースは少ないです。血液塗抹標本上ではこれら3つの区別はつきませんが、 遺伝子診断では3種類の区別も可能です。しかし検査費は高くなる点、結果がわかるまで7日位かかる点が短所です。
 検査センターで集計した遺伝子診断の結果は、約33%(個体数91例)も陽性がありましたが、重度の貧血の症状を示すのはそのうちのわずかでした。以前は猫白血病・猫エイズに関係して発症あると考えられてきましたが、Mycoplasma haemofelisはこれらに関係なく感染します。

あヘモプラズマ遺伝子診断の結果

 本院の経験では春から夏に診られ、冬場は殆ど来院はありません。喧嘩のよる感染が示唆される場合や、また猫白血病、猫伝染性腹膜炎、猫エイズ陽性の症例は重傷化しやすい傾向はあります。年齢別に考察すると4歳未満の猫は、重傷例、再発症例が多いですが、4歳以上になると重傷例は多くはありません。
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■治療 
 臨床症状がない猫はヘモプラズマが発見されても1-2週間で自然治癒する場合もよくあります。また殆どの症例は1-2週間の投薬で駆除されることが多いです。
 治療剤はテトラサイクリン系抗生剤、第二世代のドキシサイクリンがファーストチョイスになります。ドキシサイクリンの投与ができない症例はニューキノロン系のエンロフロキサシンも考慮します。症例によっては赤血球の溶血を抑制する目的でプレドニゾロンの短期投与も必要です。
 重傷化するケースは進行が早く2-3日でDIC(急性ショック症状)を併発して死亡する症例もあり、上記の抗菌剤・プレドニゾロンに加えてや輸液、輸血の併用が必要な場合もあります。
 以上ヘモプラズマの治療は診断後、重症度に関係なく、臨床症状、赤血球数やHt、Hbを測定をして、経過を追った対応が大切です。
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■ドキシサイクリン塩酸塩(doxycycline hydrochloride, DOXY)とヘモプラズマ
 ドキシサイクリン塩酸塩の商品名はビブラマイシン®が有名です。分子量は大きい薬剤ですが油性で、細胞内に入り蛋白合成を阻害する特徴があるため、細菌のみではなくヘモプラズマ、クラミジア、リケッチア、マイコプラズマなどに対しても活性が認められます。半減期が長く、元祖テトラサイクリン抗生剤に比べて少ない回数で効能が期待できます。

◆治療の注意点
①猫は食道の運動が弱い為、ドキシサイクリン塩酸塩の錠剤を飲ませたあと水をあげないと、食道狭窄の原因のひとつになります。
②粉砕投与は薬剤の味が悪く、嘔吐、流涎、食欲不振の原因になり、うまく投与できないことが多いです。
③幼少期(筆者は犬猫では6ヶ月以内と考えている。)ではテトラサイクリン系の抗菌剤の投与は歯のエナメル質に付着するため普通控えたほうが良いです。(参考・ヒトでは8歳以内の子供にはそれなりの理由がないと投与しない薬剤です。)
④元祖テトラサイクリン抗生剤は腎臓排泄ですが、ドキシサイクリン塩酸塩は肝臓、腎臓が多少悪くても使用できます。
⑤元祖テトラサイクリン抗生剤は吸収の関係で同時に投与できない薬剤もありますが、ドキシサイクリン塩酸塩は殆ど影響をうけません。
⑥元祖テトラサイクリン抗生剤は猫に対して発熱の副作用がある見解もありますが、筆者の経験上ドキシサイクリン塩酸塩ではおきていません。

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■エンロフロキサシン(Enrofloxacin)とヘモプラズマ
 ニューキノロン系抗菌剤のエンロフロキサシンもヘモプラズマに効能はあります。商品名は犬猫用バイトリル®が有名です。錠剤のみでなく、フレーバー錠があるので、猫には食べやすく工夫されています。なお他のニューキノロン系抗菌剤のヘモプラズマへの治療効果はよくわかっていません。
◆治療の注意点
①猫はエンロフロキサシンの投与量を多くすると、10万分の1の確率で眼に盲目の障害がおきる可能性があります。残念ですが盲目の発生は投与前はだれも予想はつきません。
②能書に「猫は開始および使用年齢に制限なし」の記載があるように 猫は犬・ラット・マススと異なり幼少期に投与しても軟骨に異常を示さないと考えられています。エンロフロキサシンを幼少期投与したときの軟骨の形成異常は動物差があります。
③腎臓排泄なので、腎臓が悪い場合は投与量の減量が必要です。
④ニューキノロン系抗菌剤は吸収の関係で同時に経口投与できない薬剤もあり、時間を変える必要があります。
◆参考・ベージック講座 ニューキノロン抗生剤と幼少期
 ニューキノロン系抗菌剤は犬、ウサギ、ハムスターでは幼少期に軟骨形成が異常になる場合があり使用はしない方が良いです。
 ヒトでも基本的に犬、ラット・マススの実験報告からニューキノロン抗生剤は幼少期は使用を慎んでいます。しかしヒトは幼少期の軟骨形成異常の発生はなく、一部のニューキノロン製品は必要な場合は幼少期に認可されている製品もあります。猫はヒトと同様の傾向があるよう筆者は考えています。

 


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投稿者: オダガワ動物病院

2018.05.01更新

オダガワ
tiger仔猫の健康診断❶
(内部寄生虫、外部寄生虫、フィラリア予防について)

 
あ
tiger近所で保護した猫を飼いたいので健康診断にみえました。
 
 仔猫が必要な検査、注意点を記します。
この項は内部寄生虫、外部寄生虫、フィラリア予防のことを記します。

tigerネコの検便(消化管寄生虫) 

あtigerright arrow検便で猫で診られる主な消化管寄生虫、原虫

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tigerネコの外部寄生虫


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あtigerright arrow仔猫の疥癬(Sarcopte scabiei

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tigerネコのフィラリア予防

フ

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【break time】

a
flower百合 (ハイブリッド イエローウィン)ところざわゆり園

 参考 百合は美しい花ですが猫では中毒物質です。
腎臓毒性があり致死率の高い状態になります。
猫を飼育してる方は自宅に持ち込まないことが一番の対策です。
やもない事情のある方は百合を食べられないように、家中、お庭などをチェックして下さい。
(ヒトでは百合根の天ぷら料理があります。)


 

投稿者: オダガワ動物病院

2018.04.28更新

お
        rabbitウサギのエンセファリトゾーン
                                                (Encephalitozone Cunicrli)
 

ウサギのエンセファリトゾーン斜頚を主訴によく診られる疾患です。この疾患は特に全容が解明されている訳ではなく、獣医師により、診断基準は様々です。この項目は本院の治療経験 ・文献をもとに私感を述べます。

 
Encephalitozoneミクロスポーシアに属します。細胞内寄生原虫でミトコンドリアと中心体を欠き、細菌とカビの中間に入る生命体で、Encephalitozone Cunicrli(感染部位・脳腎、感染動物・広範囲動物)、Encephalitozone hellem(感染部位・角膜、感染動物・鳥)、Encephalitozone intestinalos(感染動物・犬)、Encephalitozone bienus(感染動物・豚)など約100種ぐらいあります。
 
今回のテーマのEncephalitozone Cunicrliは伝染病表示でレべル2に入り、別名「微胞子虫」とも呼ばれ、以前は「寄生虫」に分類されましたが現在はゲノムの解析も進み「真菌」に分類されます。広範囲動物に感染能力はありますが、小動物臨床では、うさぎを中心に1990年ごろより感染が診られる疾患です。実験動物のうさぎより感染したとされていますが、正式な感染経路は不明です。Encephalitozone Cunicrliは
 
人での感染報告はありませんが、HIVの人は感染する可能性もあるとされています。

 うさぎのエンセファリトゾーン(Encephalitozone Cunicrli)疑いのうさぎは、
斜頚症状の場合、本院の経験で約70%は治りますが、奥の深い疾患です。
 
 
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うさぎのEncephalitozone Cunicrliライフサイクル
感染したうさぎが胞子を尿中に排泄します。別のうさぎが感染うさぎの尿に感染したフードや水の摂取する「経口感染(経気道感染もあり)」します。体内では、白血球の単球に感染して血液を流れ標的臓器の脳。腎臓 水晶体に運ばれ、マクロファージに変化する。末梢でマクロファージが崩壊して胞子をだします。感染後①臨床症状を出す。②不顕性感染、③ストレスを受けたら発症にわかれます。統計上は②が多いとされています。臨床症状を出すうさぎはエンセファリトゾーン感染より、その部位における肉芽腫性の炎症反応で悪くなるとされています。

 臨床症状は炎症を生じた部分に依存します。斜頚(小脳症状はなので疑問な意見もある。)・白内障・後肢の不全麻痺・完全麻痺、尿失禁・腎不全・てんかんをおこすとされています。
また毛玉症などすべての疾患に関係していると主張する方もいます。
 E.cuniculiの病原体の同定は不可能です、剖検でも不明です。病理では過去の非特異的炎症からE.cuniculiを推察しているとされています。

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●うさぎのエンセファリトゾーン(Encephalitozone Cunicrli)の疑われる症状

斜頚

白内障

後肢の完全麻痺

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うさぎのエンセファリトゾーン(Encephalitozone Cunicrli)の診断
うさぎの斜頚の原因には①末梢性と②中枢性があります。

①末梢性 内耳・中耳疾患
 エンセファリトゾーンは中耳に感染はしません。斜頚は末梢性の場合は内耳・中耳を経由している第8脳神経の異常でおきると考察されています。


②中枢性
 中枢神経が原因で、斜頚を起こす場合は、病変部は小脳にあります。小脳異常なら、振戦・不全麻痺・PCの欠損がみられるはずです。うさぎの斜頚にはこのような小脳中枢性の症状はありません。
 
エンセファリトゾーンはおもに大脳に感染することされています。もしうさぎの大脳にエンセファリトゾーンが感染したなら活動低下、精神の異常、振戦、 不全麻痺があります。また神経学的に大脳疾患では斜頚はみられないことです。エンセファリトゾーン大脳には時間的に少ししかいないので病原体の検出は不可能です。
 しかし
エンセファリトゾーンを疑う疾患をみていると、横転などがみられ中枢性の疾患を疑う場合も多くあります。剖検では延髄よりエンセファリトゾーンを推測する病変が検出されています。

●ではどうする
 うさぎのエンセファリトゾーンは斜頚だけでなく、その他、振戦など中枢神経系症状、腎疾患のある場合により厳密に神経検査をおこないます。

臨床症状         中枢性       末梢性

 バランスの欠如  ある        ある
 斜頚  ある        ある
 横転  ある        なし
垂直眼振   ある        なし
 精神状態  たぶん抑制    たぶん抑制なし
 企図振戦  可能性ある    なし




 




 末梢性・中枢性は身体検査で判断が可能な場合もあり、「末梢性は予後よい。」「中枢性は予後悪い」とされています。
 そのほか本院では頭部レントゲン検査で鼓室胞の状態の把握。
エンセファリトゾーンIgG抗体を測定してエンセファリトゾーン症の診断をおこなっています。
 

 正確にはCT・MRI検査により、中耳・内耳を除外しなければなりませんが、料金などの面もあり、現実性が低い検査になっています。エンセファリトゾーンの診断は本当に難しのが現状で、判断がつきにくい症例は、メロキシカムのような非ステロイドを投与して様子をみる方法も提案されています。

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 抗体価の測定 IgG抗体の解釈
 IgG抗体は過去に病気にかかった証明で今を反映する検査ではありません。
●抗体価 IgG抗体陽性
 IgG抗体は感染3-4週に上昇して9週でピークになります。
IgG抗体は現在の病気の存在より、過去の暴露を示唆します。しかし「E.cuniculiの臨床症状あり、抗体価陽性なら」 E.cuniculiと仮診断しても良いという意見も多くあります。
●抗体価 IgG陰性なら否定も
 しかし
IgG抗体は感染3-4週で上昇するので、4週間後には再測定をすすめています。(ペア血清)

●抗体価IgG抗体の解釈はさまざまです
陰性が陽性で症状に変化。→エンセファリトゾーン不顕性感染型
陽性が高くなり臨床症状ある→エンセファリトゾーン臨床症状型
抗体価かわらない→エンセファリトゾーンと別の疾患を疑う。
抗体価陰性。>40以下パスツレラを疑う

など獣医師により様々。抗体価の倍率は関係ない話も

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E.cuniculi、IgG抗体の全国調査
  北海道、沖縄まで全337羽のうち約62%位が陽性でした。単独飼育の175羽のうち42%位が、複数飼育では162羽中62%位が陽性でした。

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IgG抗体単独飼育の飼育状況と病気
 
無症状74羽中22%位、神経症状あり75羽中78%、その他疾患26例中40%が陽性でした。
無症状121羽中70%。神経症状は30羽中88%、その他疾患11例中30%が陽性でした。

IgG抗体複数飼育の飼育状況と病気

  新規購入兎(7例陰性、2例陽性)従来うさぎ(17例陽性、2例擬陽性、2例陰性)新規の場合は陰性高い。複数飼育の場合、無症状でも不顕性感染がおおく、発症時の胞子排泄により、感染の拡大がある。隔離してかうことが重要であるかもしれない。

IgG抗体30羽飼育している方の結果

IgG抗体新規購入兎(7例陰性、2例陽性)従来うさぎ(17例陽性、2例擬陽性、2例陰性)新規の場合は陰性高いです。しかしその後新規購入兎の陰性も多く陽性に転回しました。複数飼育の場合無症状でも不顕性感染がおおく、発症時の胞子排泄により、感染の拡大があり、隔離して飼うことが重要と推察されます。尚、胞子は水環境に弱く、塩素で不活化します。

E.cuniculi
IgG抗体は東京のモノリスにて測定可能です。

 


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投稿者: オダガワ動物病院

2018.04.27更新

あrabbitウサギの消化管寄生虫


 本院の診療でみられたウサギの消化管寄生虫を説明いたします。


■ウサギの腸のコクシジウム(Coccidia

あ

 コクシジウムはアイメリアとイソスポラに分かれます。うさぎはコクシジウム感染が多い動物ですが最近は減少傾向になっているように感じます。コクシジウム類は動物の消化管などの細胞内に寄生する原虫類です。
 うさぎはアイメリア(Eimeria,sp)の感染になります。うさぎのアイメリアは12種以上の属が同定されています。アイメリアは肝臓と腸に感染します。肝臓の感染は動物病院では確定診断はできません。(肝コクシジウムEimeria,Stiedai

 腸に感染するコクシジウムは種によって異なります。(腸コクシジウム Eimeria,Perforans・Eimeria,Magna・Eimeria,Media・Eimeria,Irresidueなど)
 しかし顕微鏡所見では「種」までの同定はできないので、コクシジウム虫卵を発見したら駆除します。子うさぎではコクシジウムで下痢が始まってからでは、薬剤投与しても体力がもたず、死亡するケースが多いです。

 診断は検顕微鏡検査(直接検便・ショ糖浮遊法など)でオーシスト (oocyst)の発見でできます。 コクシジウム卵の検便での検出率は方法、日時で虫卵の排泄が変わる場合もあり70%前後とされています。この症例は購入先のペットショップの専属獣医師は陰性とのとこでしたが、本院ではコクシジウム卵が検出された例です。そのため検便は可能なら2-3回行うことをお勧めします。以上、複数回の検便などの併用で、コクシジウムの診断はある程度可能ですが100%の診断は存在しないので、下痢が続く場合は必要に応じてトライアル治療もおこなっています。
 
  治療にはサルファ剤を使用します。尿がアルカリ性のうさぎではサルファ剤は殆ど副作用のない薬剤です。サルファ剤は直接コクシジウムに作用する特異的駆虫剤ではありませんが 、、真核動物であるコクシジウムの染色体への浸透がよい薬剤です。コクシジウムの無性生殖生活環の最後、無性生殖の二期のtrophozoiteからschizontへの発育段階を遮断し、抗体産生を待ちます。駆虫にはサルファ剤が必要ですが1週間位たたないと効果は表れません。また希にサルファ剤に抵抗性が疑われるうさぎの診療をしたこともあります。種の相違のよる治療法の変更はありません。

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■うさぎの蟯虫 (Passalurus ambiguus
 rabbitright arrow蟯虫(Passalurus ambiguusは肉眼で確認できる5ミリ位の寄生虫です。便の中に「シラス」のようにみえます。検便をすると虫卵が検出される場合もあります。犬猫の回虫の方法で駆虫は可能ですが、生活史が複雑なので駆虫しても、時間がたってまたでてくることはあります。 この寄生虫は一見、気持ち悪いですが、うさぎと共存しているとされており、うさぎには被害がないことが殆どです。

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■ジアルジア (Girdia duodenalis) 
 まれにうさぎの健康状態が悪いと、ジアルジア(Girdia duodenalis)が診られます。
 ジアルジアは約7~13×5~10μmで上記したコクシジウムの数千分の一の大きさで、顕微鏡検査で偶発的に発見されます。

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■酵母様真菌(Cyniclomyces guttulatulus

あ

消化管寄生虫ではありませんが、ウサギの便の特徴は、酵母様真菌Cyniclomyces guttulatulus)正常で検出される点です。ウサギでは消化管の常在菌です。

 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.04.03更新

あrabbitウサギの蟯虫について(Passalurus ambiguus)


あ
camera、生後5ケ月のrabbitウサギの糞に白い虫が見つかったので
地元川崎市多摩区から来院しました。
ウサギでは蟯虫の虫体と便が一緒に排泄されて動物病院を訪れることが多いです。


 

あ

あ
cameraこの2枚の写真は他の症例(宮前区から来院)ですが、
このように濃厚感染している場合もあります。

あ
camera肉眼所見、便から虫体を分離すると先が細い形態になります

う
camera虫体の顕微鏡写真(虫体が長いので顕微鏡40倍2枚を合成)

 この特徴的な成虫の形態からこの症例はウサギ蟯虫と診断しました。

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あ
camera小学校のときおこなったセロハンテープをお尻に付けた蟯虫検査

 蟯虫はウサギのみでなく、ヒトでも診られます。お尻に小学校のときセロハンテープをお尻付けた検査(上記)を記憶している方も多い想います。あれが蟯虫検査です。
(備考・蟯虫検査は子供の検出率が1%以下のため2015年度限りで廃止)

ほかに本院に来院する動物ではmouseright arrowハムスターにも蟯虫は診られます。

 rabbitウサギ蟯虫(Passalurus ambiguus)、mouseハムスター蟯虫(Syphacia mesocriceti )、ヒト蟯虫は(Enterobius vermicularis) は肉眼では似てますが、学名の英語スペルが異なるように、属が異なりお互い感染し合うことはありません。

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 ■rabbitウサギの蟯虫の特長
  本院では来院年齢は比較的若い1-2才が多いです。見た目『気持ち悪い』と感想を述べられるオーナーが多いですが、ウサギと蟯虫は、片利寄生性という共存関係にあり、食欲不振、下痢など臨床症状をだすことはまずありません。
 夕方から夜に肛門付近に出現するため、夜間に虫体が発見されるケースが多いですが、上記した理由で急いで動物病院に行く必要はない疾患です。本院では朝一番で来院するケースが多いです。

rabbitウサギの蟯虫の診断
  診断は上記したように成虫の虫体に特徴があるので、持参された虫の視診が主です。夕方から夜に肛門付近に出現する習性を利用してその時間帯にセロハンテープをウサギの肛門付近にあてると発見されやすい場合もあります。また検便で虫卵が診られる場合もときどきあります。

あrabbit別の症例で検便で虫卵が診られたケースもありました。

rabbitウサギの蟯虫の駆虫について
  片利寄生性という共存関係にあり、駆虫はしなくてもいいのではという意見もあります。
薬剤は蟯虫は線形動物門に属するのでright arrow回虫駆虫と同じになります。
right arrow経口投与剤が主に使用されてますが、嫌がるウサギも多く、本院では写真のような皮膚にたらすright arrowスポットタイプを使用しています。
 プレパテント・ピリオドが55-60日なので、2ヶ月後に再駆虫で来院してもらっています。しかし生活史が複雑なため駆虫薬を投与しても、希に蟯虫が再発する場合もあり、
その度駆虫薬が必要になることがあります。この点が注意点です。

 本院はこのウサギの蟯虫をこれまで何百例か診てますが、約9割のオーナーは駆虫を希望します。追跡調査が可能の範囲で、駆虫薬を投与して、再発のあったのは2例です。

あcamera皮膚にたらすスポットタイプの回虫駆虫剤

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rabbit
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投稿者: オダガワ動物病院

2018.04.03更新

あrabbitウサギのコクシジウム症について


  ウサギのコクシジウム症は最近ペットショツプが衛生的になり殆どみなくなりました。

 症例はウサギ 雌 6ヶ月 雑種で健康診断で川崎市多摩区からの本院を訪れました。『ウサギの専門店』での検便で『異常なし』とのことで購入しましたが、本院でコクシジウムを発見したケースです。コクシジウムは便に均一に寄生している訳ではんく、検便はだれが診ても100%はありません。

あrabbit1)本症例のコクシジウム

あrabbit2)別症例のコクシジウム

  コクシジウムはアイメリア科とイソスポラ科に分かれます。
 ウサギはアイメリア科(Eimeria、spp)の感染になり、12種以上の属が同定されています。
 肝臓(主に胆管)と腸に感染します。

 肝臓(主に胆管)に感染するE.stiedaiは最も病原性が強いとされています。オーシストは胆管上皮で形成された後に胆汁とともに腸管腔に排泄されます。発育分裂がさかんな時期には胆管上皮を破壊し、胆汁の刺激等で炎症を生じ、胆管炎を併発します。すると継続的に胆管は肥厚し胆汁のうっ滞を招き、その結果消化障害や下痢などの臨床症状もおこします。通常の検便で検出は可能です。

  腸に感染するコクシジウムは検便で診断します。コクシジウムの病原性は種によって異なりますが、顕微鏡所見では(rabbit1)のような円形の形態と(rabbit2)のような楕円形の形態が診られますが、顕微鏡所見では強弱の判断はつかないため、虫卵を発見したら駆除することがベストの選択です。

●ウサギのコクシジウム症

●肝臓(主に胆管)コクシジウム Eimena Stiedai
●腸コクシジウム Eimena Perforans、Eimena.Magna、Eimena Media Eimena.Irresidue など
 
●治療
 サルファ剤を使用します。尿がアルカリ性のうさぎではサルファ剤は殆ど副作用のない薬剤です。
 紹介した症例はサルファ剤のスルファモノメトキシン(sulfamonomethoxine)を処方して、その後よくなりました。サルファ剤は1-2週間の投薬治療が必要でまた状態によってはもっと時間のかかる場合もあります。
 サルファ剤は直接コクシジウムに作用する特異的駆虫剤ではありませんが 、真核動物であるコクシジウムへの浸透がよい薬剤です。
 bookright arrowトルトラズリルToltrazuril)を使用も可能です。投与が1回ですむので便利ですが、日本ではウサギに多く使用されていない点が欠点です。牛用・豚用、dogright arrow犬用の効能外使用になります。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.04.01更新

あchick烏骨鶏のコクシジウム症


あ便の色が変わったので、診てもらいたいと川崎市宮前区から1ヶ月令の烏骨鶏の来院がありました。
 あ検便でコクシジウムが検出されました。

このオーナーは他にも4羽を飼育しています。1羽を駆虫しても他の烏骨鶏からの再感染が心配です。全羽に効果あるまで約2週間位必要なright arrowサルファ剤投与はオーナーが体力的には厳しいです。
そこで全羽に1回で駆虫が終わるright arrowトルトラズリルを処方しました。2週間後の検便でコクシジウムはいなくなりましたが、念のためトルトラズリルの再投与は行いました。その後は良好です。

 今回の症例は烏骨鶏でしたが、他の動物でも多頭飼育している場合は、同様な処置が必要になります。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.03.03更新

あchick文鳥(学名:Padda oryzivora)の条虫(Taenia)感染


あ

right arrow条虫感染は文鳥で稀に診られます。写真のように便に『しらす』がついた状態で、家庭で発見されて、来院するケースがほとんどです。

■条虫と中間宿主
 条虫感染は中間宿主の昆虫類の経口摂取で成虫になります。犬猫のright arrowウリザネ条虫はノミ、鶏条虫(膜用条虫)ではアリ・ゴミムシ・トビムシ・ミミズが中間宿主であることが判明しています。しかし文鳥は中間宿主が不明です。

■文鳥条虫の予後  
 条虫駆虫には駆虫剤と中間宿主の撲滅が大切です。この症例は駆虫剤投与で条虫はいったんいなくなりましたが、3ヶ月後に再発し、その後何度か駆虫剤処方を繰り返しました。


 

dire他の動物の条虫症、駆虫剤は
right arrow条虫吸虫駆虫剤 プラジクアンテル
dogtigerright arrowマンソン裂頭条虫
dogtigerright arrow瓜実条虫
right arrow小動物の条虫類


 

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投稿者: オダガワ動物病院

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