小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2014.07.25更新



ウサギと抗生剤
 ますウサギに限ったことではありませんが、抗生剤の投与はその動物が本当に抗菌剤が必要かを見極めることが大切です。
 なんとなく使用しても副作用や耐性菌をますばかりで意味ありません。
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ウサギの抗生剤の使用は注意が必要です。
 ヒト、犬、猫では有効性がある抗生剤でもウサギでは抗生剤の種類を選らんで投与しないと死亡します。
(余談ですがウサギにはとくにこの抗生剤とノミ、ダニ製剤は注意が必要です。)
 
 死亡原因は諸説ありますが、草食動物であるウサギでは、盲腸が消化に非常に大きな役割を果たしています。抗生物質の一部には、その盲腸内の有用な細菌叢を死滅させ、耐性のあるClostridium spiroformでが異常増殖し、毒素を産制して下痢など激しい症状をおこし死亡します。
 
 乳幼ウサギは母兎からのミルクで異常な菌の繁殖をおさえてくれます。4-6週齢の時期のウサギはミルクの影響がなくなる時期なため、なにかストレスが加わると、抗生剤の投与と異なる理由でClostridium spiroform増殖で死亡症例がみられやすい時期でもあります。

 ウサギではClostridium spiroformの他、稀にClostridium perfringensやClostridium difficileも原因菌になります。
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本院でウサギに禁忌と考える抗生剤

リンコマイシン(Lincomycin )とクリンダマイシン(Clindamycin)、
(商品名、動物用リンコシン®、動物用アンチローブ®
など)
  
写真のリンコマイシン、クリンダマイシンのヒト用、動物用は経口剤、注射剤、共に投与後すぐに死亡します。動物用医薬品の名前を勘違いしないで下さい。
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セファレキシン(Cefalexin)、(商品名、動物用リノキシペット®、ヒト用ケフレックス®など)    
 
 ■写真のセフェム系のセファレキシン経口剤は4-5日で消火器症状を示して死亡する場合が多いと報告されています。
 以上の理由で、他のセフェム系経口剤も使用しない法が無難と考えています。
 しかしセフェム系注射液は注意しながら使用すれば投与が可能では主張する獣医師もいます。しかし長期投与など詳細は不明です。
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アセチルスピラマイシン®Acetylspiramycin
 ■写真のマクロライド系抗生剤のアセチルスピラマイシンは経口投与後すぐに死亡すると報告されています。
 著者すべてのマクロライド系抗生剤のウサギへの詳細は知りませんが、死亡率が高い製品が多いため、使用は禁忌と考えます。  
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ンピシリンAmpicillin
(商品名、アミペニックス®、ビクシリン®
など)
  
 ■写真のアンピシリン(経口・注射)は使用禁止抗生剤ですが、ウサギは結構耐える場合もあります。
しかしすぐに死亡したり、1週間位で食欲不振で死亡するケースも報告されています。
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アモキシシリン(Amoxicillin
(商品名、ワイドソリン®、動物用バリチオン®など)
アモキシシリン (経口剤のみ)の禁忌詳細は不明です。
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本院でウサギに比較的安全と考える抗生剤

クロラムフェニコール(Chloramphenicol
(商品名、クロロマイセチン®
  ■写真のクロラムフェニコールの経口剤はヒトでは1970年代以前はよく使用されました。
 想えば、著者も子供のころクロラムフェニコールとおもはれる薬剤を病院で良く処方された記憶はあります。
 しかしその後ヒトへ経口投与すると29000分の1の確率で再生不良性貧血がおき、また幼児ではライ症候群の副作用が報告されたため、1970年代中頃から副作用を上回るの理由がない限り使用されない抗生剤になりました。
 しかしヒトと異なりウサギでは動物種の相違から幼少期より比較的安全に使用できます。
 ウサギ梅毒時には比較的良く効いてくれます。濃度依存性薬剤ため1日3回の経口投与が必要で、原末が茶色なため、薬剤コーテングも茶色になっています。潰すと苦いことが欠点で、この点はウサギへ投薬する場合マイナスに作用します。
 
 以上の性質のある薬剤なので、万が一に備えてウサギにクロラムフェニコールの粉末剤を製薬して渡す場合はオーナーには手袋・マスクをつけて投与してもらう事を指示したほうが良いと考えています。
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ST合剤
(商品名、動物用トリブリッセンン®、バクタ®
  ■微生物体内の葉酸の生合成を阻害するサルファ剤のスルファジアジン(Sulphadiazine)と、葉酸の活性化を阻害する抗菌物質トリメトプリム(Trimethoprim)2種類を5対1の割合で配合した抗菌剤をST合剤と呼びます。
ST合剤は人医ではトリメトプリムの薬用量の記載が一般的です。
リブリッセン®(動物薬)
 写真のトリブリッセン®はウサギでは幼少期から使用可能です。
ウサギの尿pHはアルカリ性のため、弱酸性の犬猫の尿pHに比べて、結石の副作用が少なく、比較的安全に使用できます。細菌のみではなく、原虫類コクシジウムの駆虫にも効能があります。 

バクタ®
 経口のトリブリッセンは製造中止になりました。類似品としてヒト用で写真のバクタ®{サルファ剤のスルファメトキサゾール(Sulfamethoxazole)とトリメトプリム(Trimethoprim)の合剤}があります。
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ニューキノロン系抗生剤(動物薬)
{商品名、左3つ動物用オルビフロキサンシン®Orbifloxacin)、順に動物用エンロフロキサシン®Enrofloxacin)動物用オフロキサシン®(Ofloxacinなど}  
ニューキノロン系抗生剤
 ■写真のニューキノロン系抗生剤は比較的安全に使用できますが、幼少期は軟骨の形成不全を招く可能性があり、使用はできません。 

 注意 どんな薬剤でも副作用なしはありえません。薬剤を処方されていつもと症状が違う場合は担当獣医師にお尋ねください。                                     
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投稿者: オダガワ動物病院