小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.03.19更新

あchick尿酸と鳥類 


 尿酸は食事また体内のアミノ酸から作られたプリン体を代謝した物質です。しかしプリン体は悪物ではなく、ATPの原料になりヒトも含めて体内に適量なければなりません。尿酸は、ヒト、鳥類、一部のハ虫類では最終生産物です。
 作られる量(産生)と体の外に出される量(排泄)のバランスにより一定量に保たれ調節されています。そのためこのバランスが崩れ、異常に貯まった場合は痛風という病を起こします。
 しかし犬・猫・ウサギ・フェレット・モルモットなどでは尿酸は最終産物ではなく、通過産物なので、痛風はありません。尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)が尿酸を分解します。(ダルメシアンを除く)
 ヒトの報告ですと食べ物に含まれているプリン体を気にする方が多い聞きますが、食べ物から取り込まれるプリン体からの尿酸は全体の20%ほどに過ぎず、残りの80%は体内にあるアミノ酸からプリン体を原料にしてつくられているそうです。
鳥類は痛風はときどき診る疾患です。また鳥類がプリン体の多い食事を採っているとは考えられないので、体質かたできていると推察しています。


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■鳥類の針状結晶

あ針状物質

 
 細胞診でこの針状物質の所見が得られれば、痛風の確定診断になります。しかし実際は鳥類は小さいため細胞の採取が大変なため、必ず針状結晶が診られるとはかぎりません。血清尿酸値を診ながら総合診断しています。

■ベンズブロマリンBenzbromarone
 治療には主にベンズブロマリンを主に使用します。体の外に出される量(排泄)を多くする薬剤です。

■アロプリノール Allopurinol
 プリン骨格を有するキサンチンオキシダーゼ阻害薬です。簡単に言えば作られる尿酸量(産生)を抑える薬剤です。開発者は40年前にノーベル賞を採ったそうです。尿酸の生成にはプリン基よりヒポキサンチン→キサンチン→尿酸で合成されます。
 →がアロプリノールのキサンチンオキシダーゼ阻害薬の作用部位です。
アロプリノールはヒポキサンチンと化学構造が似ており、(同族体、プリン体を化学構造にもつ)そのため代謝の経路のヒポキサンチンの部位にアロプリノールすんなり入ります。すると尿酸は生成されなくなり、血清尿酸値の低下が可能です。
しかしアロプリノールの代謝産物のオキシプリノールが腎臓排泄なため、腎臓が悪い場合は血中濃度の上昇が診られます。
ヒトでは2011年にフェブキソスタットFebuxostatが開発されました。
鳥類・ハ虫類は私が知る限り使用はしてません。(著者も未使用)。フェブキソスタットはアロプリノールと作用部位は同様だがより活性部位に強く働き、長時間作用します。非プリン剤で、また代謝は肝臓で、腸管、腎臓からほどよく排泄されます。

■ウラリットU® 
 クエン酸Na塩、クエン酸K塩の含有された製品です。痛風時は酸性で尿が結石を作ることがあり、その防止のため尿をアルカリにする薬剤です。

■コルヒチンColchicine 
 コルヒチンとはユリ科のイヌサフランColchicum autumnaleの種子や 球根に含まれるアルカロイドです。
 薬理作用は針状結晶による好中球の遊走を抑え、ヒトでは痛風発作がおきそうな場合に頓服投与します。
 鳥類の場合は使用した報告はないとおもいます。

■メロキシカムMeloxicam
 痛風を直接治す薬剤ではありませんが、ヒトと同様、非ステロイド剤を痛み止めに使用しています。
 
■合成オピオイドOpioid
 痛み止めに、合成オピオイドも頓服で使用しています。

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■ダルメシアンDalmatian
 ディズニーアニメの「101匹ワンちゃん大行進」でおなじみの犬です。
 他の犬と異なり尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)が失活しているため、高尿酸血症をひきおこす可能性はあります。
 抗腫瘍剤投与時に希におこる腫瘍溶解症候群では注意が必要です。




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投稿者: オダガワ動物病院

2018.03.12更新

おchickセキセイインコの痛風、高齢症例


  他院で痛風と診断されましたが、薬があっていないとオーナーが想い、セカンドオピニオンを求めて来院した10歳のセキセイインコです。

1年位前からの発症で、このところ跛行が激しくなるばかりでした。なお他院での使用薬剤は非ステロイド剤を使用していました。

1

1矢印の痛風結節の部位の細胞診をしました。

1すると矢印のような針状接節が診られ、痛風と確定診断がつきました。

 そこで治療ですが、非ステロイドはやめてもらい、ヒトの痛風薬を2種類を毎日と、痛み止めを痛い時に限り、頓服で使用するように指示しました。ヒトの痛風同様、セキセイインコでも痛みにはむらがあるよう感じます。

 その後、1ケ月後に再来院ありました。前回来院後、2週間は跛行は変わりませんでしたが、その後改善が診られ、現在だいぶ質の高い生活ができているとのことです。薬剤は一生必要なので、月1回とりにきてもらっています。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.03.04更新

おchickセキセイインコの痛風


あ  関節に痛風結節が診られた6歳のセキセイインコです。近所の動物病院では治療法がなという理由で2年間放置され増大傾向になっているため麻生区から本院に来院しました。

あ痛風結節を細胞診すると、写真のような組織が採取できました。

あ  顕微鏡で尿酸ナトリウム結晶の針状結晶が診られ痛風と確定診断が出来ました。セキセイインコの場合、痛風結節が小さいとこれらは発見しにくい場合もあります。

 治療は尿酸排泄促進剤を中心におこないます。他に尿酸は酸性尿では溶けにくいため、尿をアルカリにしたり、、尿酸の生産を抑える薬剤が使用されます。

 この症例は重傷症例です予後不良が予想されます。痛風は薬剤の使用で、中程度までの症例なら生活の向上は可能な場合もあります。


 

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 flower2蓮(不忍池、7月)

 

投稿者: オダガワ動物病院

2018.03.02更新

オダガワchickセキセイインコの痛風


  他院で、痛風と診断されたがよくならず、セカンドオピニオンでの来院です。 生後1歳のセキセイインコです。あ

 黄色い結節がたくさんあり、歩行も足を引きずっています。左足の結節が多数みられました。ここ1週間でとにくひどくなったそうです。一説によればヒトの痛風の痛みは洗濯ばさみは夾んだ時の4倍もあるそうです。痛風が進行すると尿酸が尿酸ナトリウムの結晶となって、関節や軟骨の周辺、腱や皮下組織などに沈着し、コブ状の組織をつくります。これを痛風結節といいます。
 
あ

尿酸は白色・無味・無臭の物質です。診断には関節穿刺が必要で、写真のような内容物が診られます。

あこの症例は写真のような針状物質が沢山検出されて、痛風と確定診断しました。しかし痛風結節が小さいと診断に苦労する場合もあります。 

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■処置
 当院ではヒトの痛風の分類法がセキセイインコにも使用可能と考えています。無症状高尿酸結晶、急性痛風関節炎、間欠性痛風、慢性痛風関節炎に4期に分けて処置を考えています。このセキセイインコは他院からの転院であることを考慮して間欠性痛風と診断し、痛み止め、ヒトの痛風薬を併用しました。1週間後、痛みも引きました。その後、痛風剤はずっと投薬を指示しました。その後、間欠性痛風で痛みがあるときのみ、痛み止めを併用し維持が可能だった症例です。
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■参考資料・ヒト、イヌ、ネコと痛風
 
尿酸は、ヒト、鳥類、一部のハ虫類では最終生産物です。分解できないのは人間やサルなどの高等な霊長類と、鳥類、魚類、爬虫類の一部だけです。
 
犬猫ウサギは尿酸をウリカーゼ(尿酸オキシダーゼ)により、5-ヒドロキシイソ尿酸に酸化し水溶性アラトレイン分解して体外に排泄するので痛風にはなりません。(例外、ダルメシアン種と門脈シャント、腫瘍溶解症候群に罹患時は除く)

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投稿者: オダガワ動物病院