■犬猫の抗てんかん薬について
抗てんかい剤はイヌ、ネコはヒトとは薬剤の代謝が異なり、ヒトで良い薬剤がイヌ、ネコにすべていい訳ではありません。またイヌとネコでも抗てんかい剤は使用薬剤は異なります。
現在使用されている抗てんかん薬は大脳ニューロンの興奮ニューロンを抑えるか、抑制ニューロンをより強化する薬剤が主に使用されています。1つの薬剤でコントロールができない難治性てんかんの症例では作用点が異なる複数の薬剤使用がベストです。しかし併用可能、不可の薬剤がありますので、担当獣医師と相談して注意して使用下さい。
抗てんかん薬は生涯使用するケースが殆どです。てんかんがなくなっても治った訳ではなく、薬剤でうまくコントロールしてるだけです。薬剤をやめるとてんかんが再発しやすくなり、早く死亡するケースが高いことが報告されています。当院でもオーナーが勝手に楽剤をやめて突然死をおこしたケースがありました。
長期の投与になるため抗てんかい薬の副作用を出来るだけ押さえ、十分に効果を引き出すため、必要に応じて血液・生化学検査、血中薬物濃度測定(TDM: therapeutic drug monitoring)を定期的にモニターすることをお勧めします。特に血中薬物濃度は重要で、正常濃度よりオーバーしている場合は将来、副作用がおこる可能性があり、薬剤の用量の調節、別の薬剤への移行を考慮しなければなりません。
血液・生化学検査・血液中薬物濃度測定は治療費が加算される点が欠点で、利点をよく熟知して、担当獣医師と相談して決めてください。
適切な薬物投与にも関わらず良好に維持できない難治性てんかんはイヌでもヒト同様10-20%位存在します。そのため最近は獣医領域でも大学病院などでヒト同様てんかんの手術が行われる時代になりました。
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