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イヌの緑内障(Glaucoma)とは
緑内障はイヌに多く、柴・コッカスパニエル・シーズーが好発犬種です。主に眼圧が高くなる病気で、この影響で視神経が束になっている視神経乳頭が障害され、眼が見えにくくなる進行性の病気です。
ウサギ、猫でも時々診られます。緑内障の治療には一部はイヌ用がありますが、ヒト用の緑内障点眼を使用する場合が多いです。
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■参考 ヒトの緑内障
緑内障は日本人の15人に一人はなる疾患です。視野欠損ヒトも動物同様に眼圧は10-20mmHgですがこの眼圧でも耐えられず低眼圧の緑内障もあります。ヒトでは眼のかすみ、光の回り虹が見えたり、頭痛、眼が赤くなることが主訴で来院します。視野欠損はヒトは頭部で補うため、末期で診られることが多いです。ヒトでは眼圧が40-50mmHg位になるとヒトは立っていられないそうです。
そのため眼圧測定、眼底検査を呼びかけ、眼圧が病的に高くなく、臨床症状がない状態で早期発見に努め点眼薬で、早期治療を薦めている地方自治体も多くあります。----
■イヌの緑内障も急性と慢性にわかれます。
急性緑内障
■急性緑内障
急性緑内障は写真のよううに上強膜血管の怒張、角膜が多少白く診られます。この症例は初診時の眼圧は72mmHgありました。しかし緑内障初期は眼圧が正常なこともあり結膜炎と鑑別が難しい症例もあります。犬の目が赤くなったら、根本に緑内障が潜んでいる場合もあり、動物病院から帰宅後、3-4時間位でより悪化したときは再来院が重要です。恐ろしいことに急性タイプの緑内障は、犬では1-2日放置するだけで失明の危険もあります。
諸説ありますが緑内障の「緑」はヒトでは急性緑内障時に瞳が緑色に見えることに由来します。なお著者は犬では瞳が緑色に見えることは経験してません。
慢性緑内障
慢性緑内障
写真は慢性緑内障で、点眼で眼圧を維持している柴犬です。定期検診の眼圧検査で発見されました。初診時の眼圧は55mmHgありましたが、治療に反応してくれて現在は眼圧は35-40mmHgの間で抑えられています。
本院では眼圧が35mmHg位で臨床症状を伴う症例に緑内障点眼薬を薦めています。眼圧35mmHgの状態で、緑内障点眼をしても治る訳ではありません。眼圧が下がるのみでやめればまたあがってきます。しかし点眼薬を使用することで、進行がおさえられて3-4年後の眼圧の維持、視野の確保になります。この状態での来院はオーナーが治療をやめてしまう場合もあり残念です。
ヒトでは眼のかすみ、光の回り虹が見えたり、頭痛、眼が赤くなることが主訴で来院されるそうですが、動物ではそれら症状は気づきにくいため初診時の眼圧は60-70mmHgと重症症例が多いです。そのためなかなか薬物ではコントロールが大変な疾患です。なお眼圧は60-70mmHgあっても動物は四つ足の関係か、普通に歩いていることが多いです。ヒトのように立ってられないことはないみたいです。
牛眼
慢性緑内障はこの状態で来院する場合が動物病院では最も多いです。牛眼といって写真のように目がおおきくなって来院します。緑内障になって時間が経過して来院したことを意味します。残念ながら回復は困難です。この症例の眼圧は84mmHgありました。
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