■食物アレルギーを疑う臨床症状
●食物アレルギーを疑う臨床症状
食物アレルギーは食事をたべることで、抗原が腸から吸収されて全身に症状をだします。
食事が関係するアレルギーは
Ⅰ型アレルギー・食物過敏症 と Ⅳ型アレルギー・食物不耐性
があります。
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●Ⅰ型アレルギー・食物過敏症
蛋白質はアミノ酸を30個以上もったものと定義されています。
蛋白質は分子量が8000~15000ダルトンになると、架橋を形成して抗原として認識され、アレルギーをおこします。
この現象は食事アレルギー・食物過敏症と定義され、人では卵・ソバが有名で、食べると発疹がすぐにおきます。しかし犬では少ないとされています。
動物病院でⅠ型アレルギー用の食事を購入される場合は、
分子量が12000ダルトン位にまで分解され抗原性をなくすよう作られた、低分子プロテイン(ロイヤルカナン)・Z/D(ヒルズ)や,またこれまで全く食べたことのない新奇蛋白食(ロイヤルカナン・ヒルズ・その他会社いろいろあり・自家製も含めて)が対象です。
動物病院で市販されている新奇蛋白食
ラム肉とライスはこれまで食した経験のない犬では自家製新奇蛋白食として食事アレルギーの診断に役立ちます。当院ではラム肉とライスとたべると、皮膚が丈夫になると勘違いしているオーナーを多く診ますが、
食事アレルギーの診断に役立つのみで、皮膚は丈夫になりません。またこの食事は栄養バランスがわるく1ケ月位が限界です。
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●Ⅳ型アレルギー・食物不耐性
しかし上記の食事をいろいろ変えてもよくならない症例が診られました。
成犬は蛋白質をアミノ酸まで分解されて消化・吸収をします。
しかし子犬や成犬でも消化の悪い個体は、アミノ酸の分子量まで分解できないため、リンパ球が作用して、嘔吐、下痢、皮膚疾患が現れる個体がいます。1000から1500ダルトンの分子が異物として認識され、リンパ球の攻撃を受けます。これがⅣ型アレルギー・食物不耐性です。
Ⅳ型アレルギーを回避するには、食物を超低分子(1000ダルトン以下が理想)にしなければなりません。
動物病院で食事を購入される場合はアミノペプチド(ロイヤルカナン)、アミノプロテクト(ノバルティス)が対象です。瞬時ではなく、時間をかけておきる現象です。
尚みなさんが経験あるツベルクリン反応はこのⅣ型の応用です。----------------------------------------------------------------------
●皮膚病の好発部位
ブタクサやハウスダストのアレルギーは
一般的に腹部、顔にできることが特徴ですが、
食事アレルギーは 糞便回数が日に3回以上あって便の回数が多い犬、犬の顔面、肛門周囲、背中に多く病変がみられます。
糞便回数が日に3回以上あって便の回数が多い犬は注意が必要です。
犬の顔面、肛門周囲、背中に多く病変がみられます。
とくにⅣ型はリンパ球は感作しやすい部位が背中多いためで、通常のハウスダスト、スギなどのアレルギーと異なる部位に病変が生じ易いです。
また別の症例2例ですがⅣ型アレルギーの症例には便をグラム染色すると、クロストリジウムの芽胞 ・菌が疑われる所見があります。これら症例には抗生剤の投与も併用します。
クロストリジウム芽胞の疑い
クロストリジウム菌の疑い
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●このⅠ型・Ⅳ型を区別するには検査があります。
しかし検査費が高くなる欠点が生じます。また絶対の鑑別は不可能です。
犬ちゃんがいかにしたら楽にすごせるかよく考えて、担当獣医師とご相談ください。。
●そこで、現実的には
上記の症状がみられるようならアミノペプチにドに食事に変えて、最低1ヶ月はみてあげることをお勧めします。よくなったケースも結構みられています。
他社からも上記のようなアミノ酸フードも販売されています。(ドクターズケアー犬用アミノプロテクトケア)
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