最近の調査では世田谷区、国立市で約15%の陽性率があります。
(朝日新聞より)
猫のフィラリア症は犬と同様、犬糸状虫(Dirofilaria immitis)の感染でおきます。
一昔前まで、猫のフィラリア症は殆どないと考えられてきました。
最近になって有病率(成虫寄⽣率)を調べる調査がおこなはれました。
本院近郊の東京の世田谷、国立では約15%も感染が診られています。
また日本全国の猫のフィラリア症の約30%が室内飼育のみの猫で起きています。
犬のフィラリア寄⽣率が5-20%なので、陽性率も高いです。
難点は、猫のフィラリアは犬と異なり診断が厄介な点です。
⾝体検査では異常を検出することは多くありません。
あえてあげれば、元気消失、⾷欲不振、体重減少が診られますが、特異的な症状がないため、喘息と鑑別は難しいこともあります。報告では急性症状として急性呼吸器障害、また慢性症状として嘔吐、発咳・呼吸困難があります。また突然死も診られます。
診断はこれら臨床症状と胸部レントゲン、猫フィラリア抗体検査、猫フィラリア抗原検査、心臓エコーを組み併せておこないますが決定的な検査はありません。
そこで、唯一、猫のフィラリア症を予防できるのが予防薬です。
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■(写真1)
猫のフィラリア症予防薬 レボリューション®(成分名セラメクチン)
このセラメクチンははもともとはイベルメクチンを進化させた薬剤です。
■(写真2)
フィラリア予防法は写真1のレボリューション®を
月1回 5-11月の間、背中に垂らすのみです。
■(写真3)
レボリューション®(成分名セラメクチン)はフィラリアのみではなく、
ノミを含め(ハジラミ、ツメダニ、ミミダニ)など多くの外部寄生虫に効能を示します。
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犬猫では6週齢から使用可能です。
イベルメクチンに敏感なコリー、ジェパードなども規定量であれば安全に使用できます。
またウサギはじめエキゾチック動物にも使用可能です。
この薬剤はイソプロパノール(アルコールの1種)中に溶解したセラメクチン製剤が含有されています。そのためアルコールに敏感な動物は滴下した部位がはげる副作用が希にあります。
(写真4)猫の副作用症例。
セラメクチンの滴下部位にリンクして脱毛します。
治るには1ケ月位かかりました。
犬、猫、ウサギ、モルモット、ハムスター、合計して本院では約千匹位使用しています。
写真4のような脱毛の副作用を猫で2匹、ウサギで1匹経験はしています。
この薬剤は動物用医薬品で処方には診察が必要になります。
また犬猫を除きこの薬剤は効能外使用になります。
使用の際は処方した獣医師とよくインボームドコンセントを取って使用してください。
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【break time】
ブルームーン(生田緑地バラ園、5月)
青いバラの花言葉は「不可能」です。理由はバラには青色素がなく、いろいろ育種を試みても真っ青なバラはできないからです。
このブルームーンも薄紫です。
2009年サントリーが遺伝子組み換え技術により青色素をもつバラ「アプローズ」が発表され話題になりました。