小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.06.01更新

おdog犬、白内障時の点眼の選択


あ千寿製薬、動物眼科セミナー、ハンドアウトより

白内障を発見した場合、治療法は手術や点眼療法があります。
上記の図は白内障になった場合に、失目するまでの日数を表しています。


 私たちヒトや動物が目で見ている像は、角膜、水晶体を通った光が網膜面で結像したもので、水晶体が濁っていると霞んで見えるようになります。水晶体はイヌでは直径が7mm前後の凸レンズで、水晶体嚢という透明の薄い膜に包まれています。水晶体細胞は辺縁領域から分化を開始して、赤道部(equator)で上皮細胞は水晶体線維細胞に分化し透明になります。しかし、水晶体にはこれら細胞を体外に排除する機序はなく、加齢とともに水晶体は重く厚くなります。
 
 白内障はこの水晶体細胞の分化過程に、異常が生じておきた状態を示します。その原因として、①遺伝性、②先天性、③糖尿病性、④後天性、⑤加齢性があります。ヒトは⑤加齢性が多い関係で、老年期の疾患と思はれがちですが、イヌでは①遺伝性と③糖尿病性がとくに重要視されており、若い時期がら罹患する場合もあります。

 

 グラフの向かって一番右の線は、白内障の手術をした場合の期間を表しています。当然最も成績がよい訳ですが、手術をしている動物病院が少ないこと、またヒトの白内障の手術は初期からおこなうので、点眼麻酔で、比較的短時間で終わりますが、犬では経過が進んでから、手術になってしまうことが多く、全身麻酔が必要です。そしてヒトのように短時間ではおわりません。また費用が高額になってしまう点など欠点もあります。また中ー高齢犬の場合、持病があるケースも多く、全身麻酔に踏む切れない場合もあります。
(当院では白内障手術希望の場合は、知り合いの動物眼科医の紹介になります。)

 そこで、点眼の治療で進行の遅延が可能かどうか検討がされました。グラフの真ん中の線はステロイド、また非ステロイドの点眼を使用したケースになります。一番左の線の点眼薬未使用に比べると、失目までの日数は長くなります。
 
ただし点眼薬による治療は白内障の白い目が治る訳ではありません。上記したように失目までの日数は長くなるのみですが、この論文では点眼をすることが良い選択になります。

あステロイド点眼(左2つ)と非ステロイド点眼(ジクロード®)

 しかし実際使用には注意点があります。ステロイド点眼を長期使用する場合は日頃の経過観察と適時の眼科検査が必要になります。
また非ステロイド点眼と聞くと副作用がないようおもいますが、点眼薬によっては注意が必要です。よく使用されるright arrowジクロフェナック点眼は非ステロイド系の薬剤で、論文で犬の白内障の進行を遅らせることが可能とされてることから、動物病院ではよく使用されています。
しかしright arrow角膜潰瘍の副作用をおこすことが比較的多くあります。ステロイド点眼同様、点眼して眼がしょぼつくようならすぐにやめて来院するとこが大切です。

 あプラノプロフェン(ティアローズⓇ)


  そこで最近注目されているのが、プラノプロフェン(ティアローズⓇ)の点眼です。ステロイド点眼、ジクロフェナック点眼より効能は低いですが、副作用も少なく、白内障の進行を遅らせてくれることが最近、学会で報告されています。
 本院ではオーナーの理解が得られれば、白内障の症例で、進行を遅らせる治療として、毎日の点眼を薦めています。前記したようの副作用は少ないですが、どんな薬剤でも副作用なしはありません。この点眼も定期的な眼科検査、目がじょぼつくようなら即座の来院を条件にしています。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

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