小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.05.02更新

おtiger猫、高用量フェノバルビタール投与による転院症例


 

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フェノバルビタール錠剤


 10歳雌の避妊猫で、この年になって初めててんかん発作をおこしたことで、近獣医を受診しました。血液、生化学検査は異常ないため、フェノバルビタールを高用量(8mg/kg)を投与されてました。すると腰が砕けたような症状になったため投薬を中止しました。
 指示された量を飲ませれば「腰砕け」、やめれば「てんかん」の再発で困って町田市より来られた症例です。 

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 てんかんには「器質的てんかん」と「症候性てんかん」に分かれます。言葉のみ聞くと難しく聞こえますが、「器質的てんかん」は元々生まれながら「てんかん」の体質があることを示します。「症候性てんかん」は加齢で脳に何らかのダメージがあっておきる「てんかん」を示します。本症例は後者にあたります。

 

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 フェノバルビタールは猫の「てんかん」にはよく使用される薬剤です。猫の約80%の「てんかん」に効果を示します。
 
使用法は少-中用量から様子を見てゆくことが原則です。この症例は最初から高用量のためこれらの副作用がでていると判断して小用量(2mg/kg)の投与に切り替えました。すると副作用もなく良好に維持されました。しかし血中濃度を測ると65μg/ml(理想的な血中濃度15~40μg/ml)と高く、もっと少ない用量に変更しました。その後「てんかん」はなく良好に推移しています。

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 フェノバルビタールの副作用は飲ませ始めてから2週間程度の間に起こる初期副作用と、長く飲ませて起こる長期副作用に分けられます。
 初期副作用は一過性で主な症状は、動きが鈍くなったり、ふらついたり、少し性格がかわったり、食欲が異常にでたりというものがおこります。
 長期副作用は、肝障害、食欲亢進と運動性低下による肥満などが認められます。

 

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フェノバルビタール治療の理想は薬剤モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring, TDM )です。
 これは薬物血中濃度と治療効果や副作用との間に関係が認められるため行われます。
 専門書には猫へのフェノバルビタールの用法・用量の記載は当然記載されてます。同じ用量の薬剤を投与したとしても、猫により効果が違ってくることがあります。これは猫それぞれの体質によるもので、例えば薬物代謝酵素の活性や基礎疾患の有無、体型、年齢、性別などの因子が絡んできます。そのため薬物の効果がきちんと表れているか、また副作用の早期発見のために、薬物血中濃度の測定が大切です。有効血中濃度内にも関わず「てんかん」がコントロールされていなければ他の薬剤に変更しなければなりません。また有効血中濃度を長期に渡り大きく上回った場合の副作用として、肝障害(肝細胞毒性)があげられます。これらは定期的な血中濃度の測定と血液化学検査で予測あるいは発見でききます。

 治療費の関係もあり、すべて上記のような検査が行われる訳ではありませんが、オーナーからの要望があれば、本院では行っています。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

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