壺型吸虫の虫卵(105-120×70-90μm)は、やや大きめのきれいな楕円形を呈し、黄褐色で表面に亀甲状の紋理をもち、壺のような形をしていることが名前の由来です。終宿主は猫で、十二指腸から空腸上部に寄生します。
猫がカエル、ヘビなどを捕食して感染します。本院では外猫の来院が少なく、発生は希で、感染しても無症状なことが多いです。軟便、食欲不振、栄養障害、削痩など専門書に記載されている臨床症状を呈する場合は、喧嘩、ネコカゼなどストレスをうけた状態で多く診られます。
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■外に行く猫の症例、
壷型吸虫・マンソン裂頭条虫・猫回虫の3種類の混合感染
壺型吸虫・マンソン裂頭条虫、猫回虫の混合感染例です。
各寄生虫 虫卵の大きさがわかるとおもいます。
■生活史
糞便とともに排泄された壺型吸虫卵は水中で孵化しミラシジウムに成ります。
ミラシジウムは第一中間宿主の小さな淡水産巻き貝のヒラマキガイモドキの中でスポロシスト、レジア、セルカリアへと発育し遊出します。
次に第二中間宿主であるカエル、ヘビ、オタマジャクシなどの体内へ侵入し、その筋肉内でメタセルカリアになります。そしてこの第二中間宿主を猫が捕食することにより寄生が成立します。
猫では壺型吸虫(写真右)はマンソン裂頭条虫(写真左)と
第一、第二中間宿主は共に田んぼ等に多い為、自然豊かな屋外で遊ぶ猫でないと感染しません。そのため室内飼育では診られず、自宅内の同居猫への感染はありません。
また壺型吸虫はヒトへの感染は現在報告されていません。
(備考・マンソン裂頭条虫と猫回虫はヒトに感染例はあります。)
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本院のある神奈川県内の保有状況は不明ですが、埼玉県内全域におけるネコに関する寄生虫類の保有状況 (2011年)では壺型吸虫は10.6%の感染が診られています。
■治療
プラジクアンテルの投与と中間宿主との接触をさけることです。 駆虫しても外で遊ぶ猫は再感染する場合はあります。
(壺型吸虫の駆虫には注射剤もしくは力価の高い経口薬剤の使用しやすいです。)
■犬の診療
■猫の診療
■ウサギの診療
■ハムスターの診療
■フェレットの診療
■小鳥の診療
■モルモットの診療
■マンソン裂頭条虫
■イヌの回虫症
■セキセイインコのジアルジア症
■イヌのジアルジア症