■ウサギにシャンプーをしたところ容態が急変した症例について
4才雌2.8kgのウサギです。このオーナーは2羽飼育しており、人用シャンプーを2倍希釈して毎月1回全身シャンプーしてこれまで何事も無く終わっていました。この日も夕方4時ごろ2羽ともシャンプーをしたところ、1羽が急に虚脱した為、午後5時半ごろ来院しました。来院時、体温は35.7度で、バイタルサインは低下していたました。
点滴ラインを確保した際、キャピラリー2本のみの採血が可能でした。血液生化学の検査は以下の通りです。
・PCV21(%)・TP3.8(g/dl)・TG294(mg/dl)・GGT11(IU/L)
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治療はPCV、TPの低下が見られたため輸血を実施しました。
ウサギの輸血法は確立されてない為、犬猫用の方法に準じて行いました。---------------------------------------------------------------------
深夜12時になり臨床症状も回復して体温も38.1度と平熱に戻りました。。強制給餌・メトクロプラミドの投与を開始し、その後高張性輸液を18時間行いました。
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3病日目の血液・生化学の検査では以下の通りです。。
・RBC432×104(/ul)・PCV25.8(%)・Hb8.1(g/dl)
・MCV60(fL)・MCHC60(g/dl)・TP5.2(g/dl)
・ICT>5
・WBC4050(/ul)(Hetero3483・Lmy527
・Plat十分
・TP5.2(g/dl)・Alb2.9(g/dl)・AST305(IU/L)
・ALT256(IU/L)・ALP79(IU/L) ・GGT13(IU//L)
・CPK>2000(IU/L)・T-Bil 1.6(mg/dl)
・BUN49.2(mg/dl) ・CR1.5(mg/dl)・Amy301(IU/L)
・Lip202 (IU/L)・Ca11.1(mg/dl) ・IP4.2 (mg/dl)
・T-cho26(mg/dl)・TG337(mg/dl)・GLU166 (mg/dl)
・Na140(mEq/l)・K4.4(mEq/l)・Cl 100(mEq/l)
TGを除き、PCVおよびTPは回復傾向になりました。しかしウサギの筋肉系の酵素であるCPK、AST、 ALTの高値が見られました。 その後回復まで14日間かかりました。
日頃診療をしていて得る情報等から推察してシャンプー後、ウサギの状態が急変するケースとは多いとは考え難いが、今回のようにシャンプーにより予測不可能で虚脱がおきることが稀にあるので本院では禁忌にしています。またこれまで同様のケースを3例経験しています。
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