■ウサギの消化管寄生虫
本院の診療でみられたウサギの消化管寄生虫を説明いたします。
■ウサギの腸のコクシジウム(Coccidia)
コクシジウムはアイメリアとイソスポラに分かれます。うさぎはコクシジウム感染が多い動物ですが最近は減少傾向になっているように感じます。コクシジウム類は動物の消化管などの細胞内に寄生する原虫類です。
うさぎはアイメリア(Eimeria,sp)の感染になります。うさぎのアイメリアは12種以上の属が同定されています。アイメリアは肝臓と腸に感染します。肝臓の感染は動物病院では確定診断はできません。(肝コクシジウムEimeria,Stiedai )
腸に感染するコクシジウムは種によって異なります。(腸コクシジウム Eimeria,Perforans・Eimeria,Magna・Eimeria,Media・Eimeria,Irresidueなど)
しかし顕微鏡所見では「種」までの同定はできないので、コクシジウム虫卵を発見したら駆除します。子うさぎではコクシジウムで下痢が始まってからでは、薬剤投与しても体力がもたず、死亡するケースが多いです。
診断は検顕微鏡検査(直接検便・ショ糖浮遊法など)でオーシスト (oocyst)の発見でできます。 コクシジウム卵の検便での検出率は方法、日時で虫卵の排泄が変わる場合もあり70%前後とされています。この症例は購入先のペットショップの専属獣医師は陰性とのとこでしたが、本院ではコクシジウム卵が検出された例です。そのため検便は可能なら2-3回行うことをお勧めします。以上、複数回の検便などの併用で、コクシジウムの診断はある程度可能ですが100%の診断は存在しないので、下痢が続く場合は必要に応じてトライアル治療もおこなっています。
治療にはサルファ剤を使用します。尿がアルカリ性のうさぎではサルファ剤は殆ど副作用のない薬剤です。サルファ剤は直接コクシジウムに作用する特異的駆虫剤ではありませんが 、、真核動物であるコクシジウムの染色体への浸透がよい薬剤です。コクシジウムの無性生殖生活環の最後、無性生殖の二期のtrophozoiteからschizontへの発育段階を遮断し、抗体産生を待ちます。駆虫にはサルファ剤が必要ですが1週間位たたないと効果は表れません。また希にサルファ剤に抵抗性が疑われるうさぎの診療をしたこともあります。種の相違のよる治療法の変更はありません。
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■うさぎの蟯虫 (Passalurus ambiguus)
蟯虫(Passalurus ambiguus)は肉眼で確認できる5ミリ位の寄生虫です。便の中に「シラス」のようにみえます。検便をすると虫卵が検出される場合もあります。犬猫の回虫の方法で駆虫は可能ですが、生活史が複雑なので駆虫しても、時間がたってまたでてくることはあります。 この寄生虫は一見、気持ち悪いですが、うさぎと共存しているとされており、うさぎには被害がないことが殆どです。
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■ジアルジア (Girdia duodenalis)
まれにうさぎの健康状態が悪いと、ジアルジア(Girdia duodenalis)が診られます。
ジアルジアは約7~13×5~10μmで上記したコクシジウムの数千分の一の大きさで、顕微鏡検査で偶発的に発見されます。
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■酵母様真菌(Cyniclomyces guttulatulus)
消化管寄生虫ではありませんが、ウサギの便の特徴は、酵母様真菌(Cyniclomyces guttulatulus)正常で検出される点です。ウサギでは消化管の常在菌です。
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