小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2014.10.02更新

私の開業している地域では糞線虫まず診ません。東京・神奈川では少ないのかもしれません。
 犬では九州・沖縄地方が多いことが記載されている本もありますが、東北地方の動物病院の研究報告も診ます。

 犬はしつこい下痢で来院します。粘膜に穿孔している寄生虫ではないので、血便は殆どありません。
 診断は新鮮便でラブジチス型幼虫をみつけます。(L1・雌2mm)
 しかし検出率は良くなく、複数検便が必要な場合もあります。
 またカワラ培養があります。

■寄生は雌のみ  
 この寄生虫は動物(犬・人にも)感染しすると、ラブジチス型幼虫(R型)という形式で小腸に感染します。
 
 犬・人に寄生すると雄は必要なくなり、処女生殖で数時間で卵内に幼虫が形成され孵化していきます。

 この孵化した幼虫をラブジチス型幼虫(L1)と呼び、腸腔に出て糞便を食べて成長しラブジチス型(L2)になり外界へ排便と共に出されます。

■外界での発育  
 ラブジチス型幼虫(L2)は、その時の環境で二つの道(①寄生世代・②自由世代)のいずれかをとって発育します。
 おおまかな検討はされていますが、どちらの世代をとるか詳細はよくわかっていません。

■外界での発育 ①  
 ①不利な条件下では24時間で寄生世代(別呼・直接発育)になることが多いです。
 ラブジチス型幼虫は二回脱皮をして古い皮を被ったフイラリア型(F型・L3)の感染幼虫になります。フイラリア型の特長はラブジチス型幼虫と異なり、口が閉ざされ栄養物を取れないので、一定期間しか生きられないことです。
 その間に犬・人の皮膚から侵入したり、また経口感染できればフイラリア型から動物体内でラブジチス型幼虫になり、次の世代を残せますが、感染の機会がなければ死んでしまいます。

■外界での発育 ② 
 ②食事が十分にあって、温度も適温で(20-30度)、混み合っていないときは自由世代(別呼・間接発育)を選ぶ傾向が多いです。
 
 この経路はラブジチス型幼虫(L2)のまま4回脱皮を重ねて36時間前後でラブジチス型幼虫(L5)にまでなり、雌雄の各々の成虫に変化し交尾します。しかし雄はすぐに死亡し、雌も同様卵を産むとすぐに死亡します。寿命は二日間ぐらいしかないそうです。

 卵はすぐ孵化してラブジチス型幼虫(L1)として生まれますが5-6日でラブジチス型幼虫(L2)を経て、フイラリア型幼虫(L3)となり、寄生世代との共通経路に入り同様の運命を辿ります。

■その他の発育 
 ③他にラブジチス型幼虫が腸内で自家繁殖する経路が知られています。この経路が活発になると人では重傷化します。

 以上糞線虫はこのようなバリエーションの多い生き方をしているので、駆虫薬が効きにくい訳です。















投稿者: オダガワ動物病院