小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2016.06.20更新

おdog犬の糖尿病、ノボリンRが効果あった症例


 症例は7才雄のミニチアシュナウザー雄です。多飲・多尿を主訴に来院しました。

 血液・生化学検査、尿検査をおこない 臨床症状 血糖313mg/dl、 尿糖(+)、糖化アルブミン 14.8%、インスリン5.03ngmlで犬では珍しいⅡ型糖尿病と診断した症例です。

 そこでインスリン製剤として、ノボリンNPH(写真左)の皮下注射をおこないました。しかし1週間たっても臨床症状の改善もなく、血糖の低下もありません。

  次にインスリンレペニルを使用しましたが、同様の結果でした。

 血液・生化学検査、尿検査からインスリン抵抗性疾患は疑いにくいため、もっとも吸収性がよいインスリン、ノボリンRの皮下投与に切り替えました。

 すると血糖は下がり、その後糖尿病は良好に維持しています。

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 写真 ノボリンNとノボリンR

 ノボリンRは速攻型インスリンで正式名称はでレギュラー(Regular 正規)に由来します。
 長所は吸収が良い点です。欠点は作用時間が短く、この症例は1日3回の皮下投与が必要です。 
 
 通常インスリン分子は、亜鉛分子を中心とした倒立した三角錐が6つ集まった立体構造=6量体をとり、この構造で溶媒内で安定性を保っています。6量体で投与されたインスリンは皮下組液により希釈され2量体、さらに単量体へと解離し、毛細血管から吸収され、作用を発現します。

 この項、冒頭で紹介したノボリンNの正式名称はNPH(Neutral Protamine Hagedorn)で、6量体の回りに、鮭の精巣から分離、合成したした硫酸プロタミンが配布され、そのため注射液は混濁しています。1回の注射でインスリンを長く作用させることにはできます。しかし本症例のように吸収問題が生じる場合も希にあります。

 なお写真のノボ社のインスリンはNPH製剤は、ボトルタイプは製造中止のため、イーライリリー社のヒーマリンNを使用する必要があります。

 各インスリン製剤は改良されるごとに新しい特許が発行され続けています。この再特許テクニックは「エバーグリーニング(evergreening)」と呼ばれ、特許を取得したメーカーが永遠に独占できるようなシステムなため、ジェネリック薬は製造できません。

 

投稿者: オダガワ動物病院

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