小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2015.04.22更新

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ウサギ・モルモット・ハムスターと抗生剤

  ウサギ・モルモット・ハムスターはこの抗生剤とbookright arrowノミ・ダニ製剤は注意が必要です。

  ヒト、犬、猫で有効性がある抗生剤でもウサギ・モルモット・ハムスターでは抗生剤の種類を選らんで投与しないと死亡する場合があります。またノミ、ダニ製剤も同様です。

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ウサギ・モルモット・ハムスターの抗生剤の使用は注意が必要です。
 
 ウサギ・モルモット・ハムスターに限ったことではありませんが、抗生剤の投与はその動物が本当に抗菌剤が必要かを見極めることが大切です。なんとなく使用しても副作用や耐性菌をますばかりで意味ありません。

 ウサギ・モルモット・ハムスターの誤った抗生剤使用の死亡原因は諸説あります。草食動物であるウサギ、モルモットでは、盲腸が消化に非常に大きな役割を果たしています。抗生物質の一部には、その盲腸内の有用な細菌叢を死滅させ、耐性のあるClostridium spiroformでが異常増殖し、毒素を産制して下痢など激しい症状をおこし死亡するとされています。
 
 乳幼ウサギは母兎からのミルクで異常な菌の繁殖をおさえてくれます。4-6週齢の時期のウサギはミルクの影響がなくなる時期なため、なにかストレスが加わると、抗生剤の投与と異なる理由でClostridium spiroform増殖で死亡症例がみられやすい時期でもあります。

 ウサギではClostridium spiroformの他、稀にClostridium perfringensやClostridium difficileも原因菌になります。    

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本院でウサギ・モルモット・ハムスターに禁忌と考える抗生剤


リンコマイシン(Lincomycin )とクリンダマイシン(Clindamycin)、
(商品名、動物用リンコシン®、動物用アンチローブ®
など)

  

 写真のリンコマイシン、クリンダマイシンのヒト用、動物用は経口剤、注射剤、共に投与後すぐに死亡します。動物用の名前を勘違いしないで下さい。

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セファレキシン(Cefalexin)、(商品名、動物用リノキシペット®、ヒト用ケフレックス®など セファ系の経口剤    
 

  写真のセフェム系抗生剤、セファレキシンは経口投与すると4-5日で消火器症状を示して死亡する場合が多いと報告されています。以上の理由から、筆者は他のセフェム系経口剤も使用しない法が無難と考えています。この薬剤も動物用の名前を勘違いしないで下さい。
 しかしセフェム系注射液は注意しながら使用すれば投与が可能では主張する獣医師もいます。しかし長期投与などの詳細は不明です。

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アセチルスピラマイシン®Acetylspiramycin

  写真のマクロライド系抗生剤のアセチルスピラマイシンは注射(動薬)投与も。経口投与もすぐに死亡すると報告されています。
 そのため著者はマクロライド系抗生剤の使用は禁忌と考えています。

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ンピシリンAmpicillin
(商品名、アミペニックス®、ビクシリン®
など)
  

  写真のアンピシリン(経口・注射)は獣医学書には使用禁忌抗生剤と記載されてますが、ウサギは結構耐える場合が多いです。
しかし投与後すぐに死亡したり、1週間位で食欲不振で死亡するケースも希に報告されています。

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アモキシシリン(Amoxicillin
(商品名、ワイドソリン®、動物用バリチオン®など)

アモキシシリンも使用禁忌抗生剤ですが、詳細は不明です。
                                                             

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本院でウサギ・モルモット・ハムスターに比較的安全と考える抗生剤

クロラムフェニコール(Chloramphenicol
(商品名、クロロマイセチン®


  写真のクロラムフェニコールの経口剤はヒトでは1970年代以前はよく使用されました。想えば、著者も子供のころクロラムフェニコールとおもはれる薬剤を病院で良く処方された記憶はあります。

 しかしその後ヒトへ経口投与すると29000分の1の確率で再生不良性貧血がおき、また幼児ではライ症候群の副作用が報告されたため、1970年代中頃から副作用を上回るの理由がない限り使用されない抗生剤になりました。
 しかしヒトと異なりウサギでは動物種の相違から幼少期より比較的安全に使用できます。
 ウサギ梅毒時には比較的良く効いてくれます。濃度依存性薬剤ため1日3回の経口投与が必要で、原末が茶色なため、薬剤コーテングも茶色になっています。潰すと苦いことが欠点で、この点はウサギへ投薬する場合マイナスに作用します。
 
 以上の性質のある薬剤なので、万が一に備えてウサギにクロラムフェニコールの粉末剤を製薬して渡す場合はオーナーには手袋・マスクをつけて投与してもらう事を指示したほうが良いと考えています。

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ST合剤(商品名、動物用トリブリッセンン®、バクタ®

  微生物体内の葉酸の生合成を阻害するサルファ剤のスルファジアジン(Sulphadiazine)と、葉酸の活性化を阻害する抗菌物質トリメトプリム(Trimethoprim)2種類を5対1の割合で配合した抗菌剤をST合剤と呼びます。
ST合剤は人医ではトリメトプリムの薬用量の記載が一般的です。

リブリッセン®(動物薬)

 写真のトリブリッセン®はウサギでは幼少期から使用可能です。
ウサギの尿pHはアルカリ性のため、弱酸性の犬猫の尿pHに比べて、結石の副作用が少なく、比較的安全に使用できます。細菌のみではなく、原虫類コクシジウムの駆虫にも効能があります。 

バクタ®

 経口のトリブリッセンは製造中止になりました。類似品としてヒト用で写真のバクタ®{サルファ剤のスルファメトキサゾール(Sulfamethoxazole)とトリメトプリム(Trimethoprim)の合剤}があります。

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ニューキノロン系抗生剤(動物薬)
{商品名、左3つ動物用オルビフロキサンシン®Orbifloxacin)、順に動物用エンロフロキサシン®Enrofloxacin)動物用オフロキサシン®(Ofloxacinなど}  
ニューキノロン系抗生剤

 写真のニューキノロン系抗生剤は比較的安全に使用できますが、幼少期(約6ヶ月まで)は軟骨の形成不全を招く可能性があり、使用はできません。 

 注意 どんな薬剤でも副作用なしはありえません。薬剤を処方されていつもと症状が違う場合は担当獣医師にお尋ねください。  

                 
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 【break time】

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 flower2紫陽花(鎌倉、明月院)

 

投稿者: オダガワ動物病院

2015.04.20更新

あ
 rabbit前縦隔に「しこり」のあるうさぎの診療、ステロイドとウサギ


   雄の3才6ヶ月のうさぎが神奈川県川崎市中原区より来院しました。
 これまでかかっていた動物病院に不満がある訳ではないのですがセカンドオピニオンで本院を訪れました。

 これまで1年半前と2ヶ月前に他の動物病院で「毛球症」と診断されました。2ヶ月前の「毛球症」のとき、レントゲンで前縦隔に「できもの」があることがわかりました。

a

aレントゲンでは前縦隔の「できもの」は確認できましたが、本院来院時はうさぎが興奮してうまく撮れませんでした。このウサギは前縦隔の「できもの」によく診られる眼の瞬膜の突出はありませんでした。

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 前縦隔の「できもの」にはリンパ腫・胸腺腫・膿瘍などがあり、それらを診断するためには可能ならエコーのガイド下で細胞診をして確定診断をすることが良いとされています。リンパ腫と診断できればよりよい抗腫瘍剤の投与も検討できます。胸腺腫ならとくに効果ある薬剤はないと推察できます。そのため胸腔穿刺は獣医学上重要な検査です。しかしウサギは、胸腔に針を刺したのみでショックを受けて死亡するケースも希にあると言うはれています。
 
 そこで前の動物病院では前縦隔の「できもの」の治療でステロイを2ヶ月間減量しながら飲ませていました。

 そこで「ステロイドをこのままいつまで服用しなければならないのか、また投与の良い点・悪い点を」訪ねたくセカンドオピニオンで本院を受診しました。
 
 今の検査結果のみでは。このままステロイドを維持量で投与してみることやっとでです、なんとなくステロイドを飲ませることでオーナーは納得されているのか。 これ以上の良い診療を希望されるなら、胸腔穿刺で細胞診を行わないとできない点を伝えました。なおウサギはステロイド代謝は苦手とされていますが、臨床の場では結構耐えてくれます。

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●参考資料 ウサギへのステロイド剤の使用 
 ステロイドは使用法の難しい薬剤です。長期投与すれば副作用はでます。しかしステロイドを投与しなければ生きてゆけない病気もあります。しかし上記したように結構耐えてくれます。
 本院では必要な場合のみウサギに使用しています。また長期投与には注意しています。
 ウサギはストレスに弱いので、ステロイド投与によりストレス状態にすることは良いことではありません。好中球を融解させる報告もあります。ステロイドへの抵抗性を猫>犬>牛>豚・人・馬>うさぎ・マウス・ラット・ハムスターと定義している場合が多いです。
 その理由として諸説ありますが、ステロイド母核をもつ葉(ジギタリス葉・ユリ・自然薯など)は草食獣に食べられないように苦味を発して種の維持を計っています。そのため草食獣は食したことが殆どないステロイドの代謝が不得手な動物です。また私達がステロイドを飲むとき苦みが生じるのはこのためです。しかし雑食性動物は進化の過程でステロイドを代謝する酵素を獲得したのでウサギに比べて適応力があります。

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 最終更新:平成27年4月21日(火)9時40分

 

投稿者: オダガワ動物病院

2015.04.20更新

お
tiger猫、経口投与の注意点
猫の経口薬の欠点として、錠剤また錠剤を粉にして投与した際欠点があります。

tiger猫と錠剤


猫の食道の筋肉は2/3が平滑筋で食道の運動が1-2cm/secと弱く、錠剤投与の際に食道内に残り狭窄をおこす可能性があります。そのため当院では胃まで薬剤が通るよう念のため、必ずスポイドなどで水の追加投与を指示しています。


ドキシサイクリン錠

猫はドキシサイクリン錠剤で比較的多く生じる副作用ですが、他錠剤でもおきる可能性はあります。
ヒトでも仰向けに寝ながら水を使用しないで錠剤を飲んだ方が、後に食道狭窄になった例があります。
なおドキシサイクリンは疾患によってはこの薬剤は一番効果ある場合もあります。使用の際は担当獣医師とインホームドコンセントをとっておこなってください。


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最終更新:平成27年4月21日(火)17時37分


 

投稿者: オダガワ動物病院

2015.04.20更新

あ pencil2コルタバンス


 dog犬のアレルギー性皮膚炎でお悩みの方に朗報。
コルタバンス(封をきったら6ヶ月以内の使用です。写真1)


写真1のコルタバンスはフランス製で本品1mL中、ヒドロコルチゾンアセポン酸エステル0.584 mgというステロイドを含有します。効能又は効果は
「犬のアレルギー性皮膚炎による症状の緩和を」適応症とする犬用製剤で、平成24年3月に販売されました。コルタバンスの薬剤分類は上記したように、ステロイドに入りますが、これまでのステロイド剤との最大の相違は 

局所にスプレーするタイプであることです。 

 コルタバンスは局所で作用を発現した後、すぐに皮膚から薬剤が乾き、その後副作用の少ない物質に速やかに分解されます。
犬ちゅんの副作用も少なくて済みます。
 犬の全体皮膚の1/3位までスプレー可能です。そして掻く回数が半分以下になった症例が70%-80%という結果がメーカーから発表されています

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●従来の主なアレルギー時のステロイド剤
 これまでの治療剤では良好な反応はありましたが、欠点は経口剤を長期使用の場合のケースと、軟膏を誤って「副作用がない」と考えて、ダラダラ使用しているケースです。


 
従来使用されていた経口ステロイド剤(写真2)
 

犬はステロイド投与で、他の動物と異なり殆ど多飲・多尿になります。長期投与では、個体差はありますが多くの副作用が生じる可能性があります。
 アレルギー時は獣医師により年間使用量を決めている先生も多くいます。

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人用のステロイド軟膏(写真3)

 軟膏製剤は副作用が少ないと考えられていますが、塗布した部分から全身にステロイドが回る薬剤もあります。
 
 またこれらステロイド軟膏は本来毛の殆どない人の皮膚から吸収(一般的に顔を除いて)が良いように設定されています。人と犬では上皮の構造は異なり、犬でこの薬剤の吸収の詳細はよくわかっていません。
 
 また油性なので、犬では「皮膚がベタベタになり」痒みを誘発する原因にもなることもあります。

 この薬剤は人の皮膚科でもよく処方され、オーナー自身がお持ちのことも多く、犬ちゅんの痒みがとまらないと、つい塗布してしまう傾向がありますが使用は薦められません。
 あえて比喩すれば、犬の皮膚は人の頭部に外見状似ています。人では頭部にこの軟膏をつける方はいないとおもいます。


 また犬への長期塗布例では皮膚萎縮の副作用の症例報告もあります。

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 コルタバンスの特徴
 コルタバンスは経口ステロイド剤・人用軟膏ステロイドの副作用を低減することを目的に設計された犬用スプレータイブの薬剤です。
(上記した多飲・多尿・皮膚の萎縮などステロイドの副作用は軽減します。)


●そこで使用法ですが
 
【用法及び用量】ビルバックの説明書より
 「添付文書では、患部まで約10㎝の距離から、患部の面積10㎝×10㎝当たり1回2噴霧(製剤として260μL/100cm2)を1日1回、7日間噴霧して使用します。犬の全体の皮膚の1/3位まで可能です。ただし顔のまわりは注意。」と記載されてます。


犬のアレルギーの症例

ところがアレルギーは長期に薬剤が必要疾患です。7日で治療が終わることはありません。
そこでコルタバンスは製造元のフランス獣医皮膚科専門医また日本の治験では
3週間の間、1日1回スプレー、その後2-3日に1回スプレーで、維持が可能で副作用少ない症例が多くいるそうです。

(ただし長期使用の場合は症状の変化の確認・必要に応じて血液検査などをおこなうことが良いです。)

顔のまわりはアレルギー病変の多い箇所です。

 また顔の回りはスプレーできません。せっかくの良い薬剤が使用できないなんて、
確かに能書に記載されているように注意が必要ですが、
効能外使用として、フランス獣医皮膚科専門医や日本の治験では
コルタバンスをコットンに染みこませて、犬の顔に塗布使用して成果を上げています。またtigerネコへも効能外使用ですすめられています。

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最終更新:平成27年4月20日(月)9時57分


 

投稿者: オダガワ動物病院

2015.04.19更新

 a
リュープロレイン(Leuprorelin)とは-
 
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リュープロレインの開発

 視床下部から発見されたチオトロンピン放出因子、黄体ホルモン放出ホルモンが他のホルモン分泌を抑制することが証明され、リュープロレイン開発のきっかけにになりました。

 しかし開発当初は1日1回の注射が必要で製品化は見送られていましたが、性腺刺激ホルモン(LH-Gn)誘導体を合成高分子で作成したマイクロカプセルというキャリアーに入れる方法が確立し月1回の注射で、ヒトでは男性の前立腺炎、女性の子宮内膜炎の治療が可能になりました。現在ヒトでは3ヶ月に1回の薬剤も使用されていますが、獣医での使用は不明です。
 
 作用は最初下垂体は刺激され、一時的にGnを大量にでるフレアアップ現象をおこします。
 しかし時間経過とともにGnRH受容体のダウンレギュレーションを起こし、性腺刺激ホルモン(LH-Gn)から放出させる生殖ホルモンの働きを抑えます。一時的にヒトでいう閉経と同じ状態にすることで、有意な作用を期待する薬剤です。

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フェレットとリュープロレイン
 


 フェレットのクッシング症候群にリュープロレインを月1回投与して3ヶ月後の写真。
症例の約75%は発毛は認められます。                                ---------------------------------------------------------------------
鳥類とリュープロレイン

 リュープロレインは多く卵を産む鳥に抑制効果が期待されましたが、本院の経験では多少よくなくなる程度ででした。                                                           ---------------------------------------------------------------------
ウサギとリュープロレイン

 血尿が激しいため子宮・卵巣を摘出したウサギの2才の症例です。その後病理検査では子宮内膜炎と診断されたました。この症例は2才なので、手術がベストな選択でした。
 高齢なウサギで同様な疾患のときはリュープロレインは効能をしめすかもしれません。
 しかしなかなか手術前に子宮内膜炎の診断は難しいのが現状です。
   


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最終更新:平成27年4月20日(火)5時17分


 

投稿者: オダガワ動物病院

2015.04.15更新

おdog犬の抗てんかん薬


  『てんかん』は脳内の神経の流れる電気回路がなんらかの影響で、過剰になり、けいれんなど発作を繰り返す脳疾患と定義されます。
 イヌの場合、『真性てんかん』(生まれつきのてんかんのこと)が多く、5才位までに発症することが多いです。イヌでは発生率は1.5-2%で、特定の純血種では2-8%あります。ちなみにヒトでは1%です。『真性てんかん』の症例にMRIを撮っても異常がないことが特徴です。
 また水頭症、頭部を打撲など脳の機能的異常でおきる場合を『症候性てんかん』と言います。

 症状は突然意識をなくすことが多く、けいれんを伴うこともあります。回復は数分-数十分で改善する場合が殆どですが回復に時間がかかる例もあります。

 診断は当院では血液生化学検査・心電図検査で、頭部以外てんかん症状のおきる疾患を可能な限り除外します。必要に応じて、抗てんかん剤を飲ませて経過をみて判断しています。(MRI検査希望の方は紹介になります。)イヌはヒトとは薬剤の代謝が異なり、ヒトで良い薬剤がイヌにすべていい訳ではありません。

 『てんかん』の数が多いのに治療しないと脳がダメージをうけ早期死亡の原因になります。
3ケ月間に2回以上『てんかん』のおこることが治療するタイミングです。

 治療はゾニサミド製剤は犬用が販売され、今後はこの薬剤を中心に使用されることが予想されます。部分発作、二次性全般化強直間代けいれん、強直間代発作などおおくの痙攣発作に作用を示します。イヌでは他にも単独剤でフェノバルビタール・併用剤として臭化カリウムが推奨されています。

  脳内の神経(大脳ニューロン)は家電の『延長チューブ』に例えられます。『延長チューブ』が故障したとき、電線が切れていたりやコンセント部位が悪くなるなっていたり、原因がわかりますが、残念ながら『てんかん』では大脳ニューロンの詳細な部分の異常まで診断はできません。
 そのため薬剤の組み合わせで90%の『てんかん』に効能をしめしますが、100%とまる薬剤はありません。ゾニサミドがすべてのてんかんに作用する訳ではありません。悪い箇所が不明なので、薬剤により個体差も生じます。また難治性『てんかん』では作用点が異なる複数の薬剤使用が良いです。
 現在使用されている抗てんかん薬は大脳ニューロンの興奮ニューロンを抑えるか、抑制ニューロンをより強化する薬剤が使用されています。

 抗てんかん薬は生涯使用するケースが多く、そのため副作用をおこさないように、必要に応じて血液・生化学検査、血中濃度を定期的にモニターすることをお勧めします。

 まれに頭部の老化で『てんかん』は治ることはありますが、当院では抗てんかん薬をやめるこては薦めていません。薬剤を減量して痙攣を誘発してしまうケースもあるからです。
 オーナーの判断で勝手に薬剤をやめると急死する場合もあり、薬剤をやめる場合は担当獣医師とよく相談してください。-------------------------------------------------------------------- 

あ
フェノバルビタール 特徴として錠剤・シロップ・粉など薬剤形態はさまざまなものがあります。

■フェノバルビタール 
  『てんかん』によく使用されるフェノバルビタールは長い使用歴史があります。GABAaレセルターに作用してCl-流入を促進して、主に抗閾値作用を示します。80%前後の『てんかん』に有効です。錠剤、シロップ、粉など様々な薬剤形態があります。
 
 この薬剤は理想論を述べれば薬の副作用を出来るだけ押さえ、十分に効果を引き出すために血液中薬物濃度測定(TDM: therapeutic drug monitoring)を行い、投与量を決めることが最適な薬剤です。抗てんかん薬は薬物半減期×5で定常状態になります。
  フェノバルビタールは約2週間投与で定常状態になります。 血中のレベルが15-35μg/mlで安定していることが理想とされてます。この濃度より低濃度でも『てんかん』が抑制されていればよいですが、オーバーしている場合は将来、副作用の肝障害になる可能性があり、フェノバルビタールの用量の調節、別の薬剤への移行を考慮しなければなりません。
 血液中薬物濃度測定の解釈を解かりやすく言えば、フェノバルビタールの濃度が35μg/ml以上あるイヌは、ヒトに例えればウイスキーのボトルを毎日飲んでいるような状態です。家庭でこんな酒の量を飲んでいれば注意され、肝臓障害がおきてもおかしくありません。
  
 また血液・生化学検査では肝臓の機能などが数値化して示されます。肝臓は神経がなく、症状が現れるのは末期が多いです。そのため早期の異常発見のためこれら検査は大切です。

 血液中薬物濃度測定・血液・生化学検査は治療費が加算されますので、利点をよ熟知して、担当獣医師と相談して決めてください。
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ゾミサミド製剤・ヒト用、犬用はあります。猫用はありません

■ゾニサミド  
 1888年に日本で発売された薬剤です。2002年ごろアメリカで抗てんかん薬として、高い評価を得て、日本に逆輸入して使用しています。全般、焦点性の発作をすべてに効能を示します。この薬剤は4-5日投与で血中レベルが安定します。この薬物も血液中薬物濃度測定です。なおフェノバルビタールからゾニサミドにかえる場合は注意が必要です。必ず獣医師の指導のもと行ってください。
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あプレガバリン製剤

■プレガバリン
 難治性てんかんに使用されている薬剤です。まだ多くは使用させていないので詳細は不明です。------------------------------------------------------------------
a■臭化カリウム 
 GABAbレセルターに結合します。作用機序は生体内でBr-がCl-の代わりに細胞内に流入して過分極を生じ、抗閾値作用を示すことで大脳皮質の知覚並びに運動領域の興奮を抑制します。この楽剤はBr-と性質の近いCl-との競合作用には注意が必要です。イヌちゅんと海水浴に出かけた後、尿路結石などで塩分の多い食事に変更になった後は効能が減弱します。半減期が長く。(16.5-25日)臭化物の濃度に達するまでに2-3週間、定常状態まで3-4ヶ月を要します。(単剤でのデーター)またこの薬剤も血液中薬物濃度測定です。
 イヌでは単独でのコントロールは難しいので、フェノバルビタールまたゾニサミドとの併用で使用されています。ネコは禁忌です。
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■ジアゼパム
 
ジアゼパムは犬に『てんかん』の維持薬として使用はできません。一時的な抗痙攣剤として使用されてます。

aジアゼパムの座薬 自宅で痙攣がおきた場合はこの座薬がお薦めです。

a座薬はココナッツの実からできます。

a動物病院では主にジアゼパムは注射液を使用します。

ご注意 本稿に記載している薬剤は診療、検査してはじめて処方ができる医療用薬剤です。そのため詳細は担当獣医にお尋ねください。


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 最終更新:平成27年4月20日(日)16時00分


  

投稿者: オダガワ動物病院

2015.04.13更新

あbookアゾール系抗真菌剤 


 アゾール系は最も多く使用されている抗真菌剤で、真菌の細胞膜成分エルゴステロールの精製を阻害する薬物です。
 動物の細胞の細胞膜は主にコレステロールによってできています。真菌の細胞膜は主にエルゴステロールでできており、真菌と動物では細胞膜の主成分が異なります。
 アゾール系抗真菌薬のはこの動物と真菌の細胞膜の主成分の違いを利用して作られた薬剤です。エルゴステロールを阻害するため、真菌に対して選択的に作用が期待でき、エルゴステロールをもたない動物には害(副作用)がすくないようにセットされた薬剤です。

 構造的分類は①イミダゾール(窒素2つ、ミコナゾール、ケトコナゾール)と②トリアゾール(窒素3つ、フルコナゾール、イトラコナゾール)の2つの化学構造があります。

しかしアゾール系抗真菌剤にも副作用はあります。
①全身にある代謝酵素、P450(CYP3A4)を阻害しする点
P450は肝臓に多く存在するので、肝臓毒性あります。薬剤は肝臓排泄です。。

②胃のpHにより吸収の問題がある点
  空腹時の投与は薬剤の吸収はよくありません。食後、また食事と一緒にとる必要が多いです。
 
 これらの問題点は最新の薬剤になるぼど改善されていますが、各薬剤の長所、短所がありますのでよく調べてから投与する必要があります。
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■ミコナゾール Miconazole
 ミコナゾールは初期のアゾール系(イミダゾール系)抗真菌剤です。腸管からの吸収が悪くそのため人体薬では注射のみになります。錠剤はありません。動物では現在マラセブシャンプー(ミコナゾール2%含有)がよく使用されています。---------------------------------------------------------------------
■ケトコナゾール ketoconazole 
 1976 年にベルギー ヤンセン社で合成された、元祖イミダゾール系抗真菌錠剤です。 
 外国では1985年頃に販売されました。日本では錠剤は手に入りません。個人輸入のみです。後に日本でも経口薬(人用)の発売は検討されましたが、肝臓毒性が強いため錠剤は発売中止になり、ローションとクリームのみの販売になりました。

 欠点は初期の薬剤なため副作用が多い点です。全身にある代謝酵素、P450(CYP3A4)を阻害するので、薬剤の併用は注意が必要です。また長期使用時は肝臓のチェックを適時にすることを薦めます。このチトクロームP450は副腎でコレステロールから男性ホルモンまたステロイドホルモンを合成する時も作用します。そのためステロイドや男性ホルモンの分泌もおさえられます。クッシング症候群症例で、とくに猫で使用されているケースがあります。副作用を利用した処方になります。

 ケトコナゾールは吸収に胃のpHが関係します。ヒトでは胃内の吸収を最適pHをにする目的でコカコーラを服用すると良いことが記載されている専門書もあります。しかし動物にコカコーラは現実性はありません。空腹時は吸収は殆どありませんので、生物学的利用率を高めるには脂溶性が高い食事を、食後、また食事と一緒にとる必要があります。なおガスター®などを飲んでいる場合は胃のpHはアルカリに傾き、ケトコナゾールの吸収はよくありません。
 
  副作用は特に猫で多い薬剤です。食欲不振や肝臓毒性の可能性が25%で起きます。また主作用の抗真菌の効能も高く期待できません。犬では多くありませんが、高用量を長期使用したときに、肝臓毒性があります。ヒトでは男性ホルモン・ステロイドホルモンが減少して男性が女性化乳房のなったり、男性の機能が停滞した報告があります。なおケトコナゾールクルームの動物への使用は本院では禁止と考えています。
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イトラコナゾール Itraconazole(ITCZ)
 1980 年ベルギーのヤンセン社で合成されました。
抗真菌のスペクトルが広域でしかも強力な抗真菌活性を有するトリアゾール系抗真菌剤でケトコナゾールの欠点を補うことが目的で製薬されました。
 
 チトクロームP450の抑制はケトコナゾールよりありませんが薬剤の併用は注意は必要です。しかし肝臓障害も殆どありません。ステロイドホルモン・男性ホルモンの抑制もありません。肝臓でヒドロキシイトラコナゾールに変わります。未変化体イトラコナゾールとともに、この物質も抗真菌作用を示します。

 カプセルはケトコナゾールの性質を引きずっているため食事と一緒に採って効能を示します。2008年に開発された液体は胃pHに関係なく投薬できますが、可能なら空腹時が理想です。注射液は高張液なので、動物では使用は適してません。

猫に対する副作用も殆どありません。

 この薬剤は皮膚(角質層)に多く貯留することがモルモットの実験で証明され、皮膚真菌症の長期使用は2-3日に1回の投与でも十分な薬効は期待できます。

 しかし分子量が大きい薬剤なので髄液、眼には吸収はよくありません。投与量を増すことで膀胱内の真菌に効果を示す見解があります。
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■フルコナゾール Fluconazole [FCZ] 
 ファイザー製薬が開発したトリアゾールに属する薬剤です。抗真菌スペクトルはイトラkナゾールより少ないです。

 チトクロームP450の抑制はケトコナゾールよりありませんが、薬剤の併用は注意は必要です。肝臓障害も殆どありません。ステロイドホルモン・男性ホルモンの抑制はありません。

 錠剤の吸収率は良好で、薬剤吸収するために胃pHは関係しません。消化管から速やかに胃のpHに関係なく吸収し(80%以上)非常に水溶性が高く、すべての体液によく分布します。注射液も等張液で使用しやすいです。

猫へも使用も可能です。

 分子量が小さく脊髄脳関門も通過して髄液・膀胱を含む全身臓器への移行もスムーズであることです。半減期も30時間と長いことが特徴です。
獣医領域では多くは使用されいないので詳細なデーターがないことが欠点です。

 2010年に販売されたボルコナゾールはのフルコナゾールの拙い性質を少なくした薬剤で、フルコナゾールの第二世代とも称されます。


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最終更新:平成27年4月14日(火)11時53分







投稿者: オダガワ動物病院

2015.04.05更新

オダガワtiger猫のてんかん剤の注意点


  他院で、『てんかん』が治らないことで来院した1才の雄猫です。
 最初に代謝性疾患で『けいれん』をおこす病気の除外のため、血液・生化学の検査をおこないとくに異常な所見はありませんでした。また最近はめっきり減少しましたが、ホウ酸ダンゴ、チョコレートの大量誤食などでも痙攣はおきます。


 当院ではてんかんは1ヶ月に1回おこることが薬剤を飲ます分岐点にしています。この症例は週に2-3回てんかんがあり、抗てんかん薬の対称です。
 他院でも抗てんかん薬を処方されていましたが、なぜか投与量がやたらに少なく、そのために効果がないと判断しました。投与量を正常にすると『てんかん』の良好な維持ができました。

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■抗精神薬の使用法
 
これら抗てんかん薬は、90%の、『てんかん』に効能をしめします。しかし中には薬剤でコントロール不可能な症例もあります。また薬剤により個体差もあることが特徴です。『てんかん』の数が多いのに治療しないと早期死亡の原因になります。

 また『てんかん』は動物種で効果ある薬剤は異なります。猫ではフェノバルビタール・ジアゼパム・ゾニサミドが維持薬として推奨されています。どの薬剤も長所・短所はあります。とくにフェノバルビタールとゾニサミドの飲み合わせは注意が必要です。ジアゼパムも肝障害は注意が必要です。なお犬で時々使用される臭化カリウムは猫は禁忌です。

投薬後、猫の鎮静状態が強い場合はお早めに連絡ください。

 抗てんかん薬は生涯使用するケースが多く、そのため副作用をおこさないように、必要に応じて血液・生化学検査、血中濃度を定期的にモニターすることをお勧めします。

 まれに老化でてんかんは治ることはありますが、当院では抗てんかん薬をやめるこては薦めていません。オーナーの判断で勝手に薬剤をやめると急死する場合もあります。抗てんかん剤をやめたい場合は、担当獣医師とよく相談してください。当院では老化でてんかんは治った症例は経験ではありません。-------------------------------------------------------------------- 

あ
フェノバルビタール 特徴として錠剤・シロップ・粉など薬剤形態はさまざまなものがあります。

■フェノバルビタール 
  写真は猫の『てんかん』によく使用されるフェノバルビタールは長い使用歴史があります。猫の70%位のてんかんは抑えられます。一生投与する可能性のある薬物であること、また投与量と血中濃度がリンクしない場合もあり、ヒトでは血中濃度測定薬物です。猫でも同様です副作用を少なくする意味で、投与後は年1-2回の血中濃度と血液・生化学検査をお薦めします。
 

 この薬剤は3週間投与してやっと血中レベルが安定します。 普段は血中のレベル15-45μg/mlで安定していることが理想とされてますが、低濃度でも『てんかん』が抑制されていればよいです。オーバーしている場合は将来、副作用の肝障害になる可能性があり、フェノバルビタールの用量の調節、別の薬剤への移行を考慮しなければなりません。
 血中濃度の解釈を解かりやすく言えば、45μg/ml以上ある猫は、ヒトに例えればウイスキーのボトルを毎日飲んでいるような状態です。家庭でこんな酒の量を飲んでいれば注意されます。本当に肝臓が心配です。
 血液・生化学検査では肝臓の機能などが数値化して示されます。肝臓は神経がなく、症状が現れるのは末期が多いです。そのため早期の発見に検査は大切です。

 この薬剤を8年間、盲目的に投与して、血中濃度が60μg/mlになり、重傷な肝障害で死亡したケースが報告されていたことはありました。
 
 本院では長期に投与の症例で血液・生化学・血中濃度の測定をしてくれるオーナーは多くはいません。先日測定した2症例はフェノバルビタールの血中濃度は15μg/mlと58μg/mlでした。後者は用量を少しさげないといけないかもしれません。欠点として、副作用を少なくする意味で、検査は大切ですが費用がかかります。
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■ジアゼパム 
 猫では犬の違ってジアゼパムの長期投与が可能です。てんかん症例の場合はフェノバールで効果のない猫には、次の薬剤として使用しています。しかし注意事項があります。多くはありませんが投与後に急性肝壊死という病態が起こることがあり、必要に応じて、血液・生化学検査が必要です。本院では発生の経験はありませんが注意は必要です。90%の癲癇は維持可能です。獣医師により好き嫌いのわかれる薬剤です。
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あ
ゾミサミド製剤・ヒト用、犬用はあります。猫用はありません

■ゾニサミド 
 猫では多く使用されてませんが、投与は可能です。難治性てんかんに良い意見もありますが、錠剤は不味いらしく、猫はたべてくれないことが多いです。食欲不振になるケースもあります。------------------------------------------------------------------

あプレガバリン製剤

■プレガバリン
 難治性てんかんに使用されている薬剤です。まだ多くは使用させていないので詳細は不明です。


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投稿者: オダガワ動物病院

2015.04.01更新

 
あ 
 ステロイド剤の歴史と種類
 ステロイド』の名前は一般社会によく知れ渡っています。
 
 
 
 ジギタリス                      自然薯
 ステロイド剤はジギタリスや自然薯にも原料として含まれますが、これらのみでは日本国内の薬剤消費量には追いつきません。そこで主に牛の胆汁を集めて薬剤は作られています。
 
 ジギタリスの葉は苦いため、草食獣は食べることは避けていました。また植物は苦みで自己の種族維持を行います。そのためウサギ・モルモットなどの草食獣は食べた経験がない点ならステロイドの代謝が苦手と推測されていますが、実際は結構耐えてくれます。
 また強心配糖体のジギタリス製剤と副作用は似ている点があります。

                                    
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 ステロイド剤は抗炎症作用、免疫抑制作用、抗アレルギー作用など多くの薬理作用を持ち、強力な治療効果がありますが、使い方次第では副作用も生じます。
 しかし現在の医学・獣医学を含めて、ステロイドなしでは治療できない多くの疾患があることも事実です。
 しっかりした診断の上で
ステロイド は主作用が副作用を上回る場合のみ使用します。動物の診療現場では多くのオーナーが、ステロイドという名前を聞くと顔をゆがめます。その理由として、ステロイド剤は一部の医療機関・動物病院で過度な使用例があるからと考えています。そのため使用の際は獣医師側と意義、期間、頻度、副作用などよく話しあうことが大切です。
 本院の経験では『抗がん剤』を使用するときのほうがまだ納得される方が多いことは残念です。(『抗がん剤』はステロイド』に比べて、種類によるが副作用ははるかに多い。)

 『
ステロイド』は現在の医療情勢にタイミング悪く投げ込まれた薬物のひとつかもしれません。
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■基本作用
 
ステロイド剤は抗生剤、抗真菌剤のように、病原体を殺す薬剤ではなく、また気管支拡張剤、抗鬱剤のように病気の原因に直接病変に働き掛ける薬剤ではありません。
 
 このステロイド剤の別名は副腎皮質ホルモン剤です。
副腎皮質ホルモン剤≒コルチゾールなんて高校生物を思い出す方も多いとおもいます。

 {正式には、
コルチゾールは副腎皮質の束状層から分泌しています。よく耳にするステロイドとして他にアナボリックステロイド(蛋白同化ホルモン、ドーピングで聞いたことがあるとおもいます。)、性ホルモン(テストステロン、エシトロジェン、プロゲステロン→副腎皮質の網状層から分泌)などがあります。}
 
 薬理学的には動物の体内で自ら作り出しているホルモン剤で、元々備わっているしくみを利用して病気の症状を抑えます。
 
 

cameraコートリル
® コルチゾール(別名、ヒドロコルチゾール) 
 ステロイド剤の使用は1948年キンダル、ヘンチらがコルチゾルを発見したことに始まります。しかしコルチゾルはレセプターに結合する能力はなく、そのままでは活性を示しません。酵素により活性型されたコルチゾール写真①)(ヒドロコルチゾール)がリュ-マチ患者に投与され劇的な成果をあげ、後にノーベル医学生理学賞を授与するきっかけになりました。
 
 しかし内因性ステロイドのヒドロコルチゾールは血中半減期は1.2時間、作用時間が短く、すぐ分解され臨床には向いてません。また糖質コルチコイドとしての作用50%と同時に鉱質コルチコイドとしての作用50%を合わせ持ちます。
 鉱質コルチコイドは1日で体内電解質のバランスを変化して低K傾向になることもあり長期使用には向いてません。ステロイドの主作用の抗炎症作用、免疫抑制作用、抗アレルギー作用は糖質コルチコイドの作用によるものです。以上の点から、糖質コルチコイドの作用のみを増強した合成ステロイドの研究が進みました。
 
 以上の理由で、内因性ステロイドのヒドロコルチゾールは合成ステロイドの薬理作用の指標になる薬剤になりました。薬理の本でよく見る写真②もこれが基準で記載されています。
 
 その後合成ステロイドの製薬がおこなわれ、ヒドロコルチゾールに比べて、プレドにゾロンでは糖質コルチコイドは4倍になり鉱質コリチコイドの作用は約20%になりました。メチルプレドニゾロン、デキサメサゾン、トリアムシノロン、ベタメサゾンでは鉱質コリチコイドの作用は≒0になりましたが、糖質コルチコイドはさらに強力になり作用時間が長くなることで、副作用も出やすくなりました。それらをすべて表しているのが写真②です。
                                           
 ②
 写真②には半減期、糖質・鉱質コルチコイドの含有率などをまとめています。
 ヒドロコルチゾール錠はヒトの1日のコルチゾール分泌量が≒10mgなためこの力価で製薬をしました。
各ステロイド錠剤もこの考えに準じて1日推定分泌量が1錠中の力価に設定しています。
(薬剤の下に記載、ただし臨床的に必要な力価の薬剤もでている製品もあります。)
ステロイドは分け方にもよりますが、最初はこの7種類に分類されます。皮膚に塗布可能な製剤もいれると20-30種類もあります。

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 ③ 
 写真③④、これらが現在よく臨床の場で使用されている合成ステロイド剤(注射剤③と経口剤④)です。                
■各論
■一般名 フルドロコルチゾン Fludrocortisone
商品名 フロリネフ®
 
 小動物ではアジソン病時に鉱質コルチコイドの薬剤として使用されています。
 鉱質コルチコイド受容体を介してNaを再吸収、K排泄します。
 過剰に分泌されると、Naがおおくなり組織の水で血管内が多くなり高血圧、代謝性アルカローシス、低Kになります。                                     
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一般名 ヒドロコルチゾン hydrocortisone
ヒドロコルチゾンの錠剤 商品名 コートリル® 
 商品名コートリルは成分名ヒドロコルチゾンで内因性ステロイドの経口剤です。合成ステロイドの指標になる薬剤で、血中半減期は1.2時間、比率は糖質コルチコイド1対鉱質コリチコイド1です。
 
犬用 コルタバンス®
 コルタバンスの成分名、ヒドロコルチゾンアポセン酸エステルはヒドロコルチゾンをスプレー製剤にした薬剤です。                    
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■プレドニゾロン
 血中半減期は2.5時間、比率は糖質コルチコイド4対鉱質コリチコイド0.8です。
ヒドロコルチゾに比べて電解質の作用が弱く、副作用の誘発が少ない薬剤で、最もポピュラーに使用しているステロイドです。                                
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■メチルプレドニゾロン
メチルプレドニゾロン錠剤 商品名 メドロール® 
 商品名、メドロールで錠剤が販売されています。血中半減期は2.8時間、比率は糖質コルチコイド5対鉱質コリチコイド≒0です。現在、臨床ではこの薬剤の錠剤は多くは使用されていません 。
 

コハク酸メチルプレドニゾロン、商品名 デカコート
®         
 糖質コルチコイドそのものは、水に難溶性のため、静注注射できるためには、コハク酸を側鎖につけ水溶性にした製品です。

 メチルプレドニゾロン錠剤とコハク酸メチルプレドニゾロンはメチルプレドニゾロンとしての力価は多少異なります。
コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム53.0mgはメチルプレドニゾロン相当量に換算すると40mgになります。注射薬から経口薬へ変更の際はご参考ください。
 
 
酢酸メチルプレドニゾロン、商品名 デポメドロール
®  
 メチルプレヂニゾロンと酢酸を結合させ2-4週間近く薬効があります。
 しかし投与はやもえない場合を除き使用はさけなければなりません。
 猫は長期投与は糖尿病になることが多く注意が必要です。
本院で使用する場合は、性格がきつく、経口投与できない口内炎の猫などのみ使用しています。
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■デキサメサゾン
 血中半減期は3.5時間、比率は糖質コルチコイド25対鉱質コルチコイド≒0です。
デキサメサゾン1.65mgは静脈内注射できるリン酸デキサメサゾンエステルではデキサメサゾン量2mgに相当します。剤型を換える場合はご参考ください。                       
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■トリアムシノロン

 比率は糖質コルチコイド5対鉱質コルチコイド≒0です。全身投与はこのあたりが限界のステロイドです。注射は局所注射ですが、副作用は少ない訳ではありません。本院では現在使用してません。
 錠剤は猫に限り使用する場合はあります。好酸球性肉芽腫群に使用される場合はあります。
この錠剤の包装はは今では珍しいストリップパッケージが使用されています。
1950年代に流行った方法で、 薬剤が透けて見えるのでこの名称がつきました。
                                       
----------------------------------------------------------------------
■ベタメダゾン
セレスタミン®
 血中半減期は3.3時間、比率は糖質コルチコイド25対鉱質コルチコイド≒0です。
 このセレスタミン®は抗ヒスタミン剤との合剤です。
 
                                                
■特殊なステロイドの形態

■静脈内投与できるステロイド
⑤ 
コハク酸メチルプレドニゾロン            リン酸デキサメサゾン
 
 糖質コルチコイドそのものは、水に難溶性のため、静注注射できるためには、コハク酸、もしくはリン酸を側鎖につけたエステル構造で製剤化されています。写真⑤⑥
 緊急性のある疾患では静脈内投与しますが、ステロイドは核内に働いて作用を示すので、レセプターを経由する薬剤と異なり、効能はすぐにはでません。ヒトのデーターの引用だと4時間位はかかるとされています。
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■長期効果あるステロイド
 このデポメトロール®は1回の注射で、メチルプレドニゾロンが2-4週間の効果を示してしまい、ステロイドが好むと好まざるにかかわず、長期間効いてしまいます。
 
犬では
副作用の関係でよぼどの理由がないと使用はしません。
猫も最近は糖尿病になりやすく使用しない傾向です。しかし経口投与ができない猫には必要な疾患では注射はしています。

■ステロイドの長期使用の場合の注意
 
 ステロイドを長期使用する疾患には視床下部・下垂体・副腎軸の抑制を少なくする処方が必要です。また副作用は個体差があります。副作用がでた場合は、疾患により対処は異なりますが、減量なり投薬中止を考える必要があります。中止する場合はよく担当獣医師とお話ください。
 
⑦ 
 作用時間が短いプレドニゾロンとメチルプレドニゾロンの隔日投与が最適です。写真⑦⑧参照)
  
⑨ 
 またデキサメサゾン・ベトメダゾンは血中半減期と受容体結合親和性を向上した力価の高い製剤になっており、そのため副腎軸への抑制が強く、長期投与は薦められません。写真⑨⑩参照)                             
                      
 
 
 
 




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