小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2015.09.16更新

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 rabbitウサギのコクシジウム症
 
 当院ではウサギのコクシジウム症は開業した20年前はよく診ましたが、ペットショツプが衛生的になった現在殆ど診なくなりました。。
 この症例は『ウサギの専門店』の検便で『異常なし』とのことで購入したケースです。当院で再度検便をしたらコクシジウムが発見されました。検便は大切ですが少数寄生だったり、また虫卵は産む日と産まない日があるため、絶対の判断ができる訳ではありません。
 そのためウサギを購入したら掛かり付け動物病院で臨床症状と合わせて再検便することを強くお薦めします。

本症例のコクシジウム
  ウサギ 雌 6ヶ月 雑種、健康診断で本院を訪れました。検便をおこなうとコクシジウムが発見されました。コクシジウムはアイメリアとイソスポラに分かれます。ウサギはアイメリア(Eimeria.Spp)の感染でおこり12種以上の属が同定されています。

■ウサギのコクシジウム症
 胆管と腸に感染します。
 胆管に感染するE.stiedaiは最も病原性が強いとされています。E.stiedaのオーシストは胆管上皮で形成された後に胆汁とともに腸管腔に排泄されます。そのため通常の検便で検出は可能です。しかし発育分裂がさかんな時期には胆管上皮を破壊し、胆汁の刺激等で炎症を生じ、胆管炎を併発します。すると継続的に胆管は肥厚し胆汁のうっ滞を招き、その結果消化障害や下痢などの臨床症状もおこします。
  腸に感染するコクシジウムはEimena Perforans、Eimena.Magna、Eimena Media Eimena.Irresidue などのがいますが、病原性は種によって異なります。おこる可能性がある臨床症状は軟便、下痢です。
 
 顕微鏡所見ではウサギに診られるコクシジウムは上記のような円形の形態と下記のような楕円形の形態が診られますが、残念ながら種類の判断はつきません。中には激しい臨床症状を出す種類もあるため、コクシジウム虫卵を発見したらすぐに駆除することが重要と考えています。特に仔うさぎでは、コクシジウムが原因の下痢が始まってからでは、薬剤投与しても体力がもたず、死亡するケースが多いからです。
 
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サルファ剤が効く理由
 治療にはサルファ剤を使用します。尿がアルカリ性のうさぎでは殆ど副作用のない薬剤です。
 紹介した症例はサルファ剤のスルファモノメトキシン(sulfamonomethoxine)を処方して、その後よくなりました。サルファ剤は1-2週間の治療が必要でまた状態によってはもっと時間のかかる場合もあります。

 なぜかと言えばサルファ剤は直接コクシジウムに作用する特異的駆虫剤ではありません。無性生殖生活環の最後、無性生殖の二期のtrophozoiteからschizontへの発育段階を遮断します。細胞性免疫が働き抗体を作るまで、無性生殖を抑制しているに過ぎませんか、真核動物であるコクシジウムへの浸透がよい薬剤です。
 
■トルトラズリル(Toltrazuril) 
 牛用・豚用のコウクジウム駆虫剤のトルトラズリル(Toltrazuril)を使用する場合もあります。ウサギが投薬を拒否する場合など、投与が1回ですむので便利ですが、日本ではウサギに多く使用されていないため、副作用などがよく分かっていません。


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最終更新:平成27年9月16日(水)


 

投稿者: オダガワ動物病院