小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2012.10.15更新

■犬猫の注射による「避妊」について
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 薬品名のコビナン・デルボステロンは成分名
プロリゲストンで犬猫の発情抑制の注射剤です。
簡単に言えば避妊手術をしなくても発情のコントロールが可能な薬剤ですが、良い点、欠点も含めて解説します。
 
本院では薬品はコビナンのみを使用しています。
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●使用動物 犬猫のみ(認可は日本では犬のみ) 


プロリゲストン使用の対象の犬猫
 殆どの雌犬・雌猫に投与は可能です。

①将来繁殖を考えている方で一時的に発情を止めたい方
この注射をやめると発情は回帰します。

②また重傷な疾患(例えば先天性心疾患、肝臓疾患など)で去勢・避妊手術が難しい方
③その他特別な場合
が対象になります。

 健康な犬猫でも海外では手術をしないで、一生この薬剤のみで発情をコントロールされる方もいるそうですが、
本院では薦められません。(下記に理由あり)
 
なお猫は日本のみ効能外使用になります。

●投与不可の犬猫は下記になります。
①妊娠の疑いのある場合、
②子宮・卵巣疾患に現在陥っている場合、
③また健康状態が著しく悪い犬猫
プロリゲストン注射で注射跡がのこるケース(希ですが)
は使用できません。

 
コビナン                  デルボステロン
 共に成分はプロリゲストンです。
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┃   ┃犬猫のプロリゲストン製剤(コビナン)による「避妊」について
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 プロリゲストンは雌のみの使用になります。雄は投与しても去勢したような効果ありません。
プロリゲストンは日本では人気がない薬剤ですが、発情抑制をおこす他剤に比べて比較的副作用の低い薬剤でEU諸国では、「避妊」の1/3はこの薬剤を使用している場合もあるそうです。
 しかしこの薬剤は利点もありますが、長期投与の場合は注意が必要です。
 
 
プロリゲストンの日本では認可は犬のみです。犬は若い時期は年2回発情しますが、加齢とおもに7ヶ月、8ヶ月と徐々に発情間隔が延びて、5才の頃には年1回位になるケースが多いです。
 犬の生理はだいたい2週間位で終わりますが、長い個体で4週間続く場合もあります。

 効能外使用になりますが猫の使用も可能です。世界34ヶ国で使用されていますが猫に認可がない国は日本のみです。
 
本院では幼児期より重い病気のある猫に主に「避妊目的」でコビナンを使用しています。現在使用している症例は1歳時から腎疾患の猫です。
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●使用法
投与動物●犬・初回・3カ月 次回4カ月 3回目からは5カ月間隔で、(98%有効)
      ●猫・使用方法は犬に同じ(90%有効)
 
 
犬は自然排卵ですが、猫は自然排卵が殆ど起きない交尾排卵の動物ですがプロリゲストン使用法はほぼ同一で可能です。
 
 
説明書には犬、初回,次回3カ月,次回4カ月,3回目は5カ月間で4回のみと記されてますが、発売元は実験がここで終わっているので、説明書にはこの記載になっています。
 発情抑制の薬剤の使用回数が4回でおわるには奇異です。その後維持は世界的に5ヶ月に1回投与でしています。
 犬猫には閉経がないとされているの
プロリゲストン注射は健康であれば半永久的投与が必要です。
 
 また
プロリゲストンの能書には「犬が一回発情が終わってから、使用のこと」との記載があります。
発情がこの先3ヶ月間に予想される場合は効果がないことも稀にあるためです。
 やもえないときは増量して投与します。またトイ種に投与するときは増量したほうが良いそうです。

 

 この薬剤はデポタイプ(1回の注射で長期効能ある薬剤の意味)なので個体差は激しいと筆者は考えています。
本院で30例の犬猫に投与経験がありますが、1年間効能がもつケースもありました。
                                     
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プロリゲストン長期投与の注意
 
 プロリゲストンはステロイド剤に似た化学構造ですが、ステロイドのような副作用は少なく、前記したように避妊薬の中では優れた薬剤にはいります。 
 
 そのような評価の良い薬剤でも、犬では
プロリゲストンを使用した犬は未避妊犬より、子宮疾患になる可能性は高いこととは統計上証明されています。 
 
 猫も症例数は少ないですが
本院の使用経験では、プロリゲストン投与した猫は犬同様、子宮疾患に罹りやすくなります。
 また特に猫で食欲が亢進して肥満になる場合もありました。

                                      
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作者: オダガワ動物病院