■点眼薬の種類(水性、混濁、油性、眼軟膏)と応用使用法を解説します。
点眼薬は一部溶解性の点眼を除き、封を切ったら1ヶ月以内に使用します。(一部溶解性の点眼は1-2週間以内の使用もあります。)
点眼薬には常温保存(0-30度)と冷所保存(0-15度以内)にわかれます。
家庭用冷蔵庫は4度ですので、冷蔵庫に保管すればよい訳ですが、常温保存の点眼液を冷蔵庫にいれると、冷たくなり点眼時に動物がいやがることもあります。
冷所保存点眼には(0-7度)が最適な場合もあり、使用する点眼の最適保管を掛かりつけ動物病院によくお尋ね下さい。
封を切った点眼液を冷蔵庫に1ヶ月以上保管することは絶対にやめてください。
その理由としては、開封して1カ月で回収した点眼液の29%に主にグラム陰性菌で汚染されているとの報告などによります。
ばい菌を点眼していると同じです。
■水性点眼
ふつうの点眼薬です。
■混濁点眼
よくかきまぜて使用しないと点眼薬がばらつきます。
■油性の点眼液
油性の点眼液はベトベトしますので、とくに点眼時は眼瞼からこぼれないように注意が必要です。
■1回、使い切りタイプの点眼液です。
1回、使い切りタイプの点眼液で防腐剤は入っていません。
この点眼は1回、使い切りが理想ですが、治療費がかかるため、本院ではオーナーの理解があれば、封を切って、冷蔵庫保存でその日のうちに使用してもらっています。日をまたいでの使用は禁忌です。
なお使い切りタイプの点眼液の使用法は様々ありますので、掛かり付けの獣医師にご相談ください。
■点眼薬の入れ物の硬度の違い
左が参天製品、右が日東メデックの製品です。
点眼の入れ物は製薬会社間で堅さは違います。
参天製薬の入れ物は柔らかくできており、力のある人が点眼すると多くでます。
日本点眼は硬めの入れ物に入っています。
■PF点眼
日本点眼が開発した方法で、PF点眼はPreservative Freeの略で防腐剤が無添加である点が特徴です。
左がPF点眼です。左右とも点眼薬液の分量は同じですが、中に空間がある関係でPF点眼は容器が大きいことが特徴です。 点眼には少し力が必要です。
■製薬会社が異なるのに似た容器
注意が必要です。
■眼軟膏について
眼軟膏は眼の上に塗布する薬剤で、眼の回りに塗布する薬剤ではありません。
特徴は点眼液に比べて、眼の中で長時間薬理作用を示してくれるので、回数が少なく済みます。
しつこいようですが注意 眼の周りに塗る薬ではありません。医療でも眼の周りに塗布するよう指示されたケースもあり、残念ながら医療・獣医療関係者でも使用法を誤って説明する方がいます。
■眼軟膏の正しい使用法
眼軟膏は眼の中に3-4mm入れると結膜嚢に貯まり効力を示します。一部能書記載の7-10mmは必要ないと考えています。
この医療行為が、抵抗のあるオーナーには眼軟膏でなく点眼薬を薦めます。
眼軟膏はベトつくので動物が(特に猫、うさぎ)眼を気にして掻く動作が診られる場合は2回目からは使用しない方が良いと筆者は考えています。
■点眼薬がない場合の治療は
本院では、点眼薬がない薬剤は、これまで獣医師が多く使用して安全性が高い薬剤や、ヒトの眼科の本に記載ある処方は使用しています。
(写真は犬のドライアイの処方)
■うさぎのスナッフルなど鼻疾患時の使用方法
点眼薬の応用使用(点眼薬の点鼻への応用)
点眼薬を鼻に入れます。鼻と眼はつながっているので、点眼薬は鼻に使用可能です。
また人、動物の薬剤は点鼻専門の薬剤は殆どありません。
うさぎの場合、写真のように仰向けにして行います。嫌がるうさぎもいます、下手な人が行いうさぎが骨折した場合も報告されています。
この方法をおこなうときはよく掛かり付けの獣医師に相談してからおこなってくだい。
■市販のヒト用点眼剤の動物への使用は
薦められません。本院では禁忌と考えています。
診断がなく点眼を使用することはよくありません。
また市販の点眼剤は15ml用が多く、封をきって3ヶ月有効な場合が多いです。(医療用点眼は封をきって1ヶ月内の使用)
その理由は、1日何回、適していない方法で点眼するか、かわらないので、薬剤安定のため、防腐剤が多く入っているからです。
(NHK、テレビシンポジウム、ドライアイより)
防腐剤の過多は眼の副作用の原因になります。
まず動物の眼を診てくれる動物病院訪れることが大切です。
(写真のスマイルはヒトでは軽度のドライアイ用です。)
■眼科疾患で点眼できないと
犬猫ウサギの眼科疾患は点眼できないときは、治療にならないことが多く、早めに掛かり付け獣医師に相談してください。
特に角膜潰瘍・緑内障・角膜穿孔などのときは失眼につながる場合もあります。
またハムスター・小鳥は眼が小さく点眼はとくに注意が必要です。しない方が良い場合もあります。
写真は他院で眼の診療を受けて、抗生剤・ヒアレインを処方されました。
しかし点眼できず、益々わるくなるので、セカンドオピニオンで来院したシーズーです。
犬の性格がきつく検査が大変で多くはできませんでしたが、潰瘍部位がフルオル検査をしても染まらず、デスメ膜瘤が疑われました。動物の眼科専門病院へ行くことを薦めた症例です。
■デスメ膜瘤・眼の角膜が膜1枚(本来7枚)になり、中の眼房水が出て失眼寸前の状態の状態。
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