小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2017.09.25更新

あdogtiger条虫類、瓜実条虫、マンソン裂頭条虫の
診断と駆虫薬の相違


 条虫類は扁形動物に属し雌雄同体で無体腔動物です。呼吸、循環、骨格、消化管はなく、線虫のような激しい運動性もありません。頭節のみ寄生体へ固着しているため、吸溝、吸盤、嘴、小鉤など吸着器官があり、その後方に片節が未熟、成熟、老熟と滑車のように連なって体表にクチクラはありません。

 条虫が消化管に寄生したときの片節の繊毛は、極端に言えば、腸の繊毛と似たような構造をしています。そして条虫は動物の消化管の『餌』を『少しだけ頂く』ことで栄養を吸収しています。この『少しだけ頂いく』が ポイントで、『多く頂ければ』寄生された動物は下痢・栄養失調などおこし、条虫自身も寄生体を失い一大事です。しかし『少しだけ頂ければ』寄生された動物も生活はでき、条虫にとっても無条件に栄養が採れて好都合です。
 そのため濃厚感染でない限り下痢など臨床症状がない特徴があります。---------------------------------------------------------------------

dire小動物臨床でよく遭遇する条虫類はあcamera写真① 瓜実条虫に代表される円葉条虫類と
 

あcamera写真② マンソン裂頭条虫に代表される擬葉(裂頭)条虫類です。

当院ではいずれの寄生虫も犬猫のみ感染が診られています。
 両者の相違は、診断方法、中間宿主の数、
条虫駆虫剤プラジクアンテルの薬用量
が異なります。
                       --------------------------------------------------------------------

あcamera写真③ (外部・内部寄生虫の駆虫薬 鈴木 透、CAP No294 2013 12より)

 前者right arrow瓜実条虫片節の最も重要な点は体壁に子宮孔(産卵孔)がない為、(写真③片節内の卵嚢内に虫卵が貯まります。そして組織内の代謝活性が低下して、後部の老熟片節が契れて便と共に片節が排泄されます。そのため、診断は視診が主で「米粒のような虫が糞についてきた」という主訴で来院します。
 また写真①のright arrow瓜実条虫right arrow中間宿主はノミで1つです。

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 あcamera写真④(外部・内部寄生虫の駆虫薬 鈴木 透、CAP No294 2013 12より)

 後者のマンソン裂頭条虫片節は瓜実条虫に比べて横に約1.5倍長くなっています。相違は体壁に子宮孔(産卵孔)があり虫卵が寄生体の腸管内に排泄される点で、写真②のように虫卵で排泄されます。片節の排泄は殆どなく、診断にはまず検便が必要な点です。中間宿主は2つあります。                                  

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 プラジクアンテル製剤 


right arrow駆虫剤プラジクアンテルの薬用量right arrowマンソン裂頭条の駆虫にはright arrow瓜実条虫の約6倍も必要な点も重要です。
 作用機序は条虫の繊毛から侵入して外皮を破壊し、そして内容物を体外へ放出し、主に無機イオンの能動的な移動を阻害して効能を示します。
 なお条虫類は神経系の発達は悪く、抑制性神経伝達物質(GABA)は存在しないため、イベルメクチン類は効果を示しません。 
 
  条虫の生活史には必ず中間宿主が必要です。著者の考えはright arrow瓜実条虫right arrowマンソン裂頭条虫の再寄生の防止のためにはプリパテントピリオドを考慮した再駆虫より、中間宿主と接触させないことが大切です。
 中間宿主はright arrow瓜実条虫right arrowノミに接触後16-21日で、right arrowマンソン裂頭条虫はカエル、ヘビなどに接触後約14日で感染します。          


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【break time】

あstar塔の岳(丹沢山系)からの日の出(1月)
江の島の上空に日が昇ります。


 

投稿者: オダガワ動物病院

2017.09.20更新

あrabbitウサギのコクシジウム症について


  ウサギのコクシジウム症は最近ペットショツプが衛生的になり殆どみなくなりました。

 症例はウサギ 雌 6ヶ月 雑種で健康診断で川崎市多摩区からの本院を訪れました。『ウサギの専門店』での検便で『異常なし』とのことで購入しましたが、本院でコクシジウムを発見したケースです。コクシジウムは便に均一に寄生している訳ではんく、検便はだれが診ても100%はありません。

あrabbit1)本症例のコクシジウム

あrabbit2)別症例のコクシジウム

  コクシジウムはアイメリア科とイソスポラ科に分かれます。
 ウサギはアイメリア科(Eimeria、spp)の感染になり、12種以上の属が同定されています。
 肝臓(主に胆管)と腸に感染します。

 肝臓(主に胆管)に感染するE.stiedaiは最も病原性が強いとされています。オーシストは胆管上皮で形成された後に胆汁とともに腸管腔に排泄されます。発育分裂がさかんな時期には胆管上皮を破壊し、胆汁の刺激等で炎症を生じ、胆管炎を併発します。すると継続的に胆管は肥厚し胆汁のうっ滞を招き、その結果消化障害や下痢などの臨床症状もおこします。通常の検便で検出は可能です。

  腸に感染するコクシジウムは検便で診断します。コクシジウムの病原性は種によって異なりますが、顕微鏡所見では(rabbit1)のような円形の形態と(rabbit2)のような楕円形の形態が診られますが、顕微鏡所見では強弱の判断はつかないため、虫卵を発見したら駆除することがベストの選択です。

●ウサギのコクシジウム症

●肝臓(主に胆管)コクシジウム Eimena Stiedai
●腸コクシジウム Eimena Perforans、Eimena.Magna、Eimena Media Eimena.Irresidue など
 
●治療
 サルファ剤を使用します。尿がアルカリ性のうさぎではサルファ剤は殆ど副作用のない薬剤です。
 紹介した症例はサルファ剤のスルファモノメトキシン(sulfamonomethoxine)を処方して、その後よくなりました。サルファ剤は1-2週間の投薬治療が必要でまた状態によってはもっと時間のかかる場合もあります。
 サルファ剤は直接コクシジウムに作用する特異的駆虫剤ではありませんが 、真核動物であるコクシジウムへの浸透がよい薬剤です。
 bookright arrowトルトラズリルToltrazuril)を使用も可能です。投与が1回ですむので便利ですが、日本ではウサギに多く使用されていない点が欠点です。牛用・豚用、dogright arrow犬用の効能外使用になります。


 

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あ flower2ニッコウキスゲ(7月、鳥海山)


投稿者: オダガワ動物病院

2017.09.14更新

あdog犬用コクシジウム駆除剤、プロコックス®が販売されました。


 2017年9月に日本初、犬用コクシジウム駆除剤プロコックス®が販売されました。
有効成分はトルトラズリル(コクシジウムの抗Isospora作用)にエモデプシド(犬回虫、犬鉤虫、犬鞭虫駆除剤)を配合した合剤です。日本で犬用コクシジウムは初の認可薬です。

あ 
犬用、プロコックス

 コクシジウムにはイソスポラ科(オーシスト内のスポロシスト2つ、スポロシスト内のスポロゾイト4つ)とアイメリア科(オーシスト内のスポロシスト4つ、スポロシスト内のスポロゾイト2つ)の2種があります。
 犬猫はイソスポラ科の感染でおき、ウサギはアイメリア科でおきます。

  トルトラズリルは単独製剤は、すでに大動物用でバイコックス®という商品名で2008年に販売されています。当院ではこれまで、効能外使用の承諾を取ったうえで、犬、猫。うさぎ、文鳥、ニワトリのコクシジウム症に投与して、副作用もなく、良好な成績を上げてきました。この薬剤はイソスポラ科のみではなく、アイメリア科にも効果があるよう考えています。


dog犬のコクシジウム

 犬のコクシジウムはIsospora canisIsospora obioensisの2種類の感染でおきます。
 臨床症状として、嘔吐、頻回の下痢、血便が診られます。軽度な場合は回復可能ですが、重症なケースでは食欲不振から栄養障害、成長障害をおこし、最悪、悪液質になり死亡したケースもあります。
なお不顕性感染(虫卵の感染は診られるが、下痢など臨床症状がない状態)も多く、ワクチン接種時、偶然検便で発見されるケースもよくあります。
この臨床症状があるなし、重傷化は、感染年齢、摂取オーシシトの数、全身の健康状態により決まります。
また鶏では病原性の強いコクシジウム(Eimeria.tenellaの一部の株)と、弱いコクシジウム(Eimeria.acervulinaなど)が存在します。
 一般的に、検便のみで臨床症状の重症化や、強弱の鑑別は不可能なため、コクシジウムを発見したら駆虫剤の投与がベストです。

  コクシジウム生活環の特徴は無性生殖と有性生殖のステージをとることです。(camera1参照)
  胎盤、経乳感染はなく、臨床例で多いケースでは、生後3-13週令の犬がオーシストを経口して感染は成立します。感染したオーシストはまず無性生殖を行います。腸管でスポロゾイト、トロフォゾイトとなり、腸管粘膜上皮細胞に感染しシゾントを形成します。シゾントはメロゾイトを放出し腸管粘膜上皮細胞を破壊します。多くの遊離したメロゾイトが、再び残存している腸管粘膜上皮細胞侵入し第2代シゾントになります。第2代シゾントは大量にあり、より多くの腸管粘膜上皮細胞に寄生し、第2代メロゾイトを放出し多くの腸管粘膜上皮細胞を破壊します。
 このシゾントからメロゾイトの形成は栄養状態により異なりますが2-4代繰り返しおきます。
この時点で感染している犬はコクシジウム虫卵の排泄はありませんが、臨床症状として下痢がおきることがあります。(動物病院ではまた日を改めての検便が必要です。数回でコクシジウムは除外できません。)
 その後メロゾイトはマクロガメート、ミクロガメートに発育して、有性生殖をしてザイゴートからオーシストを形成します。便ととも未成熟オーシストが排泄されます。排泄した虫卵は3日以内に成熟オーシストになります。


あcamera1) コクシジウムの生活史(バイエル社の資料より引用)

 オーシストの経口感染でおきるため糞便を素早くかたずけることが大切です。コクシジウムの環境の整備は下記(book1)を参考ください。消毒薬には普通の使用濃度には殆ど抵抗します。
そこで、自宅では床などは、熱湯100度で1-2秒で死滅データーを引用しますが、沸騰させてから床にかけても、床の温度で冷やされ実際の温度は100度でなく低下しています。何度か行うか、熱湯後、洗い流すなどの追加処置が必要です。
また犬ちゅん使用のタオル等は洗濯機で洗浄したあと、コインランドリーまたアイロンの噴射機能の使用をお薦めします。
 なお犬の皮膚に糞がついた場合はシャンプーをして、虫卵を洗い落してください。

■(book1)コクシジウムの環境の整備
環境           生存期間

砂地(陽当たり)      4ヶ月
荒地(陽当たり)      6ヶ月
湿地             9ヶ月
樹木の多い陽影    18ヶ月
清水中            24ヶ月
乾燥鶏糞(陽影干し) 10ヶ月
乾燥鶏糞(天日干し )  7ヶ月
熱湯   60度       30分

熱湯   80度         1分
熱湯   100度      1-2秒
熱風   80度         5分

熱風   100度        3分


 ■プロコックス®の詳細

●トルトラズリル(Toltrazuril

 これまでコクシジウムの駆除に使用してきたサルファ剤はコクシジウムを直接殺滅する訳でなく、無性生殖ステージのシゾントからメロゾイトになる部分の発育をとめ、コクシジウムの免疫が成立するまで増殖を抑える目的で使用されてました。しかし動物により免疫状態は異なるため、薬用量・期間の報告は様々で、一般的に2-3週間位はかかりました。
 今回発売されたプロコックス®は無性生殖と有性生殖の両方のさまざなステージに対して、極めて広く作用を及ぼします。基本的には1回の投与で駆虫可能ですが、2週後、経過によっては再投与が必要な場合もあります。
 注意点としてコクシジウムで下痢がおきている場合は、この薬剤は下痢に効能を示す訳ではありません。特に仔犬の場合、下痢に対する対称療法は大切です。 

●エモデプシド(Emodepside
 エモデジプトはdogright arrow犬回虫(Toxocara canisdogright arrow犬鉤虫(Ancylostoma caninumdogright arrow犬鞭虫(Trichuris vulpisに効能を示します。統計上、犬回虫はコクシジウムとの混合感染が多いのでこの薬剤は重宝です。
 欠点は、MDR1に変異(脳脊髄門の機能が他の犬より弱い体質)のあるコリー種、およびその系統には注意が必要です。
犬種によってはエモデプシドが入っていない牛用、豚用バイコックス®をオーナー承諾のもと使用するか、サルファ剤を使用した方が安全かもしれません。

あ犬用、プロコックスと牛用、バイコックス

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 ■他の動物へのプロコックス®効能外使用例

tigerright arrowプロコックス、猫のコクシジウムへの使用例

chickright arrow文鳥(学名:Padda oryzivora)のコクシジウム(Coccidium


 

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あglitter3白馬大雪渓(8月)


投稿者: オダガワ動物病院