■原虫の種類
原虫類(コクシジウムを除く)は犬はジアルジア、猫はトリコモナス、セキセイインコはジアルジア、オカメインコはトリコモナスと動物種と頻度の多い原虫は相関していることが多いです。
(例外もあります。)
これら原虫類は検便での検出率が高くないので、犬のジアルジア症はスナップポンド(抗原抗体法)、猫のトリコモナス症では遺伝子検査の特殊検査をする場合もあります。
また駆虫薬のトライアル治療もする場合もあります。
駆虫剤はニトロイミダゾール系薬剤でメトロニダゾール・チニダゾール・ロニダゾ-ルronidazoleが、またその誘導体でフェンベンダゾールがあります。
■抗原虫薬の歴史
1950年代放線菌から抗生物質アゾマイシンが分離され、抗原虫作用が証明されました。
このアゾマイシンを礎に手を加えた半合成抗菌剤がメトロニダゾールです。そしてニトロイミダゾール系と命名されました。
臨床の場では抗菌剤は細菌、原虫、真菌に効能を示す薬剤をヒトの定義では指し、抗菌剤の定義はファジーになっています。
このメトロニダゾールはミトコンドリアのない寄生虫、また嫌気性菌の代謝産物で変化した活性体が効果をしめします。
酸素下で働くの寄生虫・細菌には効果ない特徴があります。
ニトロイミダゾール系薬剤は他にチニダゾール・ロニダゾ-ルronidazoleがあります。
その後このメトロニダゾールを礎に、ニトロイミダゾールの誘導体(フェンベンダゾール、プロドラックはフェバンテル)、ベンツイミダゾール(アルベンダゾール・チアベンダゾ-ル)の開発が進みました。
■メトロニダゾールMetronidazole
メトロニダゾールは製薬過程をみると半合成抗生剤ですが、原虫にも効能を示します。
人の薬学本では保険請求の関係か寄生虫薬に分類されているみたいです。
嫌気性菌やミトコンドリアを持たない寄生虫がこの薬剤のターゲットです。
具体的にはクロストリジウム類(Clostridium)など細菌性疾患、原虫類のジアルジア感染時に使用します。
しかしトリコモナスには効きにくい薬剤です。
■注意
この薬剤はとても不味いことが欠点です。
そのため人用は糖衣錠になっています。砕いて使用すると動物がいやがり、大量の涎をだして抵抗される場合もあります。
投薬のため、医療用空カプセル使用が良い場合もあります。
■チニダゾール
獣医臨床ではメトロニダロールでは猫のトリコモナスは駆虫でないことが多いです。
そのため本院(℡044-90085888)ではハイチジン(成分名・チニダゾール)をトリコモナスに対して使用しています。
メトロニダロールに比べて良好な場合が多いですが、すべてが効能を示す訳ではありません。投薬を中止すると再発する厄介な症例もあります。
猫のトリコモナスは寄生虫学では説明のつかない原虫です。
◆【猫のトリコモナス症例、関連記事】
・猫のトリコモナス
・遺伝子検査で発見された猫のトリコモナスTrichomonas fetus
■海外のチニダゾール製品
商品名はファイシジンで昔は日本にもありました。
日本製と変わらず苦いです。
(本院には海外製品はありません。)
■フェンベンダゾール
ニトロイミダゾールの誘導体で原虫、線虫類に効果を示します。
本院ではメトロニダゾール耐性のジアルジア症・また鞭虫の駆虫に使用しています。フィラリア陽性でも使用可能です。
日本製は大動物用で販売されています。しかし濃度が薄く投与が大変です。
猫への投与は注意が必要な意見もあります。
◆【関連記事】
・犬の鞭虫症
■成分名 フェバンテル
ニトロイミダゾールの誘導体の代表薬剤としてフェンベンダゾールがあります。
そしてそのプロドラックがフェバンテルです。
フェバンテルは日本では単独薬剤ではありませんが、商品名ドロンタールプラスの中に含まれています。
ドロンタールプラスは1回の投与で線虫類・条虫類を効果的に駆除できる幅広い効能を発揮し犬は2週齢から使用可能です。
犬回虫、犬鉤虫→パモ酸ピランテル
犬鞭虫→パモ酸ピランテル・フェバンテールの相乗作用
瓜実条虫→プラジクアンテル
また効能外使用になりますが、フェバンテールが含有されているので、3日間に連日投与で、ジアルジアにも効果あり、よく使用されている処方です。
原虫の駆虫(コクシジウムは除く)
2014.11.01更新
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