●うさぎの毛球症と膵臓酵素の上昇
夜11時に緊急の電話がなっており時間外診療のようです。川崎市多摩区のオーナーです。昨晩より2才のうさぎが急に全く餌を食べないとのことで緊急での診療です。
体温は36,1度(正常38.0-40.0度)と低い状態でした。犬が伏せをするようなポーズをとって苦しそうでした。(写真1)
すぐにレントゲン検査をしたところ、(写真2・3・4)
胃の幽門(出口)にものがつまったらしく、胃がうっ滞してました。静脈点滴や胃賦活剤を静注して経過をみました。
このうさぎの便です。毛が混ざっていました。(3月23日(火)朝5時の便)(写真5)
3月23日(火)朝5時には37,1度まで回復したので、ライフケアーとヨーグルトを経口投与しました。朝9時38.4、午後1時39,4まで回復しました。
うさぎはストレスに弱く、環境の変化に弱い動物なので、夕方点滴をとって、一時退院しました。
3月24日(水)朝来院。体温も39.4度と安定してあり、食事も普段よりすくないが、食べるようになりました。
今回は毛が抜けていたので、ブラッシングと可能なら胃の毛を流れやすくするラキサトーンの投与を薦めました。
毎年3月は毛玉症が多い時期です。
しかしこのうさぎはその後短期間に毛玉症を繰り返しました。
このうさぎはその後何度か毛球症を繰り返しました。
オーナーの事情で多くの検査はできませんでしたが、再発が多いので、7月にはいり血液・生化学検査をおこないました。
7月3日のレントゲン・血液検査
低血糖とリパーゼの上昇が認められました。
その後点滴、ブドウ糖・胃蠕動薬・食欲亢進剤の投与をおこない多少臨床の改善はあったため、一時退院にしました。
7月5日にはいり、都合ですぐにいけないが、調子がわるいと電話がありましたが、夜帰宅すると死亡してたそうです。
●参考資料
うさぎの膵臓は胃の下、脂肪に比べて、やや赤く、横行結腸部まで及びます。犬に比べて肉眼所見がことなる臓器です。
膵管が十二指腸上行指の後方で開口。主膵管は消失、副膵管のみ存在します。
文献では、副膵管を結紮しても、膵臓からの酵素は消化管にみられ、側副枝ができやすい動物ともいはれています。
またリパーゼ測定も最近できるようになったので、他の動物と同様に膵炎と考えてよいか今後の検討が必要です。
この症例も今回は6月30日から7月3日まで毎日レントゲンを撮りましたが、レントゲン状の変化はなく、胃はおおきいままでした また低血糖は、医学的には肝臓腫瘍・インスリノーマ・非定型アジソンでみられますが、うさぎでは原因は不明です。
うさぎの毛球症と膵臓酵素の上昇
2014.10.12更新
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