小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。

2014.10.12更新

●うさぎの毛球症と膵臓酵素の上昇
 夜11時に緊急の電話がなっており時間外診療のようです。川崎市多摩区のオーナーです。昨晩より2才のうさぎが急に全く餌を食べないとのことで緊急での診療です。

 体温は36,1度(正常38.0-40.0度)と低い状態でした。犬が伏せをするようなポーズをとって苦しそうでした。(写真1)

 すぐにレントゲン検査をしたところ、(写真2・3・4)

 胃の幽門(出口)にものがつまったらしく、胃がうっ滞してました。静脈点滴や胃賦活剤を静注して経過をみました。
     
 このうさぎの便です。毛が混ざっていました。(3月23日(火)朝5時の便)(写真5)
 
 3月23日(火)朝5時には37,1度まで回復したので、ライフケアーとヨーグルトを経口投与しました。朝9時38.4、午後1時39,4まで回復しました。
 
 うさぎはストレスに弱く、環境の変化に弱い動物なので、夕方点滴をとって、一時退院しました。
 
 3月24日(水)朝来院。体温も39.4度と安定してあり、食事も普段よりすくないが、食べるようになりました。
今回は毛が抜けていたので、ブラッシングと可能なら胃の毛を流れやすくするラキサトーンの投与を薦めました。
 毎年3月は毛玉症が多い時期です。

しかしこのうさぎはその後短期間に毛玉症を繰り返しました。

 このうさぎはその後何度か毛球症を繰り返しました。

 オーナーの事情で多くの検査はできませんでしたが、再発が多いので、7月にはいり血液・生化学検査をおこないました。
  
 7月3日のレントゲン・血液検査 
 低血糖とリパーゼの上昇が認められました。

 その後点滴、ブドウ糖・胃蠕動薬・食欲亢進剤の投与をおこない多少臨床の改善はあったため、一時退院にしました。

 7月5日にはいり、都合ですぐにいけないが、調子がわるいと電話がありましたが、夜帰宅すると死亡してたそうです。

●参考資料
 うさぎの膵臓は胃の下、脂肪に比べて、やや赤く、横行結腸部まで及びます。犬に比べて肉眼所見がことなる臓器です。

 膵管が十二指腸上行指の後方で開口。主膵管は消失、副膵管のみ存在します。

 文献では、副膵管を結紮しても、膵臓からの酵素は消化管にみられ、側副枝ができやすい動物ともいはれています。

 またリパーゼ測定も最近できるようになったので、他の動物と同様に膵炎と考えてよいか今後の検討が必要です。

 この症例も今回は6月30日から7月3日まで毎日レントゲンを撮りましたが、レントゲン状の変化はなく、胃はおおきいままでした また低血糖は、医学的には肝臓腫瘍・インスリノーマ・非定型アジソンでみられますが、うさぎでは原因は不明です。



作者: オダガワ動物病院