■条虫・吸虫の駆虫について
昔はこれらの条虫・吸虫の駆除剤は投与前後に絶食が必要で、また投与後には下剤が必要な薬剤もありました。
30年位前にプラジクアンテルPraziquantelが販売されてからはその必要はなくなり副作用は少なく安心して使用できます。
注意点として条虫・吸虫の種類により、プラジクアンテルの投与量が大きく異なることです。
そのため
◆マンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)、
◆壺型吸虫(Pharyngostomum cordatum)には
投与量の調節しやすいプラジクアンテル注射剤を
◆瓜実条虫には(dipylidiasis)
プラジクアンテルの注射・経口薬・皮膚滴下剤の駆除と
中間宿主のノミの駆除が必要です。
プラジクアンテル複合剤として
◇プロファンダー®スポット皮膚滴下剤(猫用)
◇ドロンタールプラス®錠(犬用)・ドロンタール錠(猫用)があります。
これらの薬剤は線虫駆虫薬との複合剤で良い点もありますが、
複数の寄生虫がいる場合はプレパテントピリオド(線虫類の猫回虫48-56日、瓜実条虫14-21日)が異なり、再投薬時期に悩むことはあります。
プラジクアンテルの単独剤として
◇ドロンタール® 犬猫用錠剤・注射
◇ビルトリシド® 人体用
があります。
■駆虫製剤プラジクアンテルの作用機序は
瓜実条虫を例にすると、消化管がなくその代わりに片節の外皮の表面に多数の突起があり、この突起(外皮に作用)より薬剤が入り、外皮を空洞化して瓜実条虫の虫体を破壊します。
■プラジクアンテルPraziquantelの注射剤 商品名・ドロンシット®注射液
ウルザネ条虫・マンソン裂頭条虫・壺型吸虫の駆除に使用される薬剤です。
マンソン裂頭条虫・壺型吸虫は駆虫に高用量が必要なため、量が多く経口は大変なため注射の投与が良いです。
条虫の駆虫剤プラジクアンテルは外皮を破壊し、そして内容物を体外へ放出し、主に無機イオンの能動的な移動を阻害して効能を示す。
神経系の発達が悪く、抑制性神経伝達物質(GABA)は存在しないため、イベルメクチン等は効果を示しません。
円葉条虫類と擬葉条虫類に分けられ両者は診断方法、プラジクアンテルの投与量が異なる点が注意である。
完全駆虫のためにはプリパテントピリオドより中間宿主と接触させないことが大切です。
■プラジクアンテルPraziquantel含有の皮膚滴下剤 商品名・プロフェンダー®スポット
エモデプシド・プラジクアンテルの合薬で、スポットオン液剤(皮膚滴下剤)です。
猫回虫、猫鉤虫、瓜実条虫、猫条虫、多包条虫以上の内部寄生虫をほとんど同時に駆除が可能です。7週齢、500g以上の子猫から投与できます
猫は経口投与が大変な場合もあるので、重宝な薬剤です。
皮膚滴下剤のプロフェンダー®スポットは瓜実条虫の駆虫量でプラジクアンテルが製剤されており、裂頭条虫類の駆除にはエモデプシド量がオーバードーズになり使用は薦められない。
■商品名 プロフェンダー®スポットの使用法
エモデプシド・プラジクアンテルの合薬で、頸背部の被毛を分け、容器の先端を皮膚に付けて滴下する簡便で確実なスポットオン液剤です。
■プラジクアンテルPraziquantel含有の経口剤
商品名 ドロンタール®プラス 駆虫薬3種類の合剤で犬用です。
1回の投与で線虫類および条虫類を効果的に駆除できる幅広い効能を発揮します。
犬回虫、犬鉤虫→パモ酸ピランテル
犬鞭虫→パモ酸ピランテル・フェバンテールの相乗作用
瓜実条虫→プラジクアンテル
の駆除を行います。
犬は2週齢から使用可能です。
1回の投与で線虫類および条虫類を効果的に駆除できる幅広い効能を発揮します。
■プラジクアンテルPraziquantel含有の経口剤
商品名 ドロンタール® 駆虫薬2種類の合剤で猫用です。
猫は4週齢から使用可能です。
複数の有効成分の配合によって相乗的な駆除力を発揮します。
産卵前の未成熟な寄生虫に対しても高い駆除効果があります。
マンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)、
壺型吸虫(Pharyngostomum cordatum)
の駆除にはパモ酸ピランテル量がオーバードーズになり使用は薦められません。
瓜実条虫には(dipylidiasis)使用可能です。
■プラジクアンテルPraziquantel含有の経口剤 ビルトリシド® 人体用
人で使用されている条虫・吸虫の駆除剤です。動物でも使用可能です。プラジクアンテルの単独製剤です。
■ウリザネ条虫、成虫
条虫類は扁形動物に属し雌雄同体で無体腔動物であす。
呼吸、循環、骨格、消化管はなく、線虫のような激しい運動性もない。 頭節のみ寄生体へ固着しているため、吸溝、吸盤、嘴、小鉤など吸着器官があり、その後方に片節が未熟、成熟、老熟と滑車のように連なっている。体表にクチクラはなく、背腹の多絨毛性の外皮を「哺乳類でいう口の代わり」にして栄養を吸収しています。
■瓜実条虫の人への感染は
瓜実条虫は人に感染したは例は希にあります。
ノミのいる犬猫に触れたとき、ノミを誤って食べてしまったときにおこります。
人は終宿種ではないので、瓜実条虫にとって居心地はよくありません。
そのため消化管には感染しないで、体内移行して、希に眼、脳に移行するケースもあるので注意は必要です。(これまで数例のみで希です。)

