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瓜実条虫 片節 250-1000μm
成虫は腸管内で50cmになります。
「米粒のような虫が糞について驚いた。」「さっきまで動いていて気味悪かった。」(写真)ことを理由に生後4ヶ月の雌の日本猫が来院しました。便の状態は普通でノミは陽性でした。
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②
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瓜実条虫の卵嚢内に卵嚢中2-30個の虫卵が視られます。(


これら顕微鏡検査と視診から瓜実条虫と診断して、駆虫薬投与とノミ駆除を併用して治療しました。
また今後オーナーにはノミの駆除を続けるよう指導しました。
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(外部・内部寄生虫の駆虫薬 鈴木 透、CAP No294 2013 12より)
瓜実条虫は円葉条虫類に属し、寄生体との固着のために、頭節に4個の吸盤とよく発達した吻がありその周囲に多数の釣針状の鉤が3-4列並んでいます。最も重要な点は体壁に子宮孔(産卵孔)がない為、片節内の卵嚢内に虫卵が貯まります。そして組織内の代謝活性が低下して、後部の老熟片節が契れて便と共に排泄される。そのため、診断は視診が主で「米粒のような虫が糞についてきた」という主訴で来院します。また肛門の回りにこの片節が付くこともあります。片節は縦長で排泄間近の時は動くが、時間の経過とともに米粒のように乾いてきます。この片節が消化管内で壊れて、検便で卵嚢の検出可能な場合も希にあります。
このように瓜実条虫は検便では検出が容易でない点、また片節が小さく、発見がオーナーの視診によることが多く、犬猫では臨床症状は少ないため感染率は過小評価になると予想されています。
実際、生前の検便・視診では発見されてない個体を病理解剖すると意外に多く瓜実条虫は発見されています。
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ノミ成虫
ノミが中間宿主です。外界で露出した卵嚢はノミの幼虫(1-3令)に捕食され、ノミ腸内で六鉤幼虫が離脱する。ノミの羽化後10日 で尾部をもつ擬嚢尾虫(シスチセルコイド)に成長する。感染後1ヶ月で尾部もなくなり成熟した擬嚢尾虫になりその後ノミの腹腔内に移動する。するとノミの 動作が鈍くなり、犬猫(終宿主)が皮膚をグルーミング時に摂取しやすくなり経口感染します。
その後犬猫の腸管内で成虫になり片節を形成します。寿命は栄養状態などで異なるが約1年です。
すべてのノミに瓜実条虫が感染している訳ではなく、調査よればニュージランドではノミ1578匹に0匹ですが、フロリダではノミ403匹に4匹、オーストラリアではネコノミ4281匹78匹、イヌノミ1092匹34匹に瓜実条虫(擬嚢尾虫)が存在している報告があります。
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プラジクアンテル含有製剤
ノミ駆虫製剤
滴下剤製剤
結果は2-3cmあけて同時に皮膚にたらして併用は可能です。
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マンソン裂頭条虫