小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2014.08.28更新



マダニによるSFTSウイルスについて


獣医師の立場からマダニによるSFTSウイルスの件について、話させて頂きます。
ヒトでは死亡例もある恐い病気ですが、現在犬では症状はありません。
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 マダニにヒトが刺されておこる重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome: SFTS)は国内では山口県内で平成24年秋に亡くなられた成人女性がきっかけで始めて確認されました。
新聞記事は平成25年1月)
 その後、この疾患は西日本のみですが他県でも患者が確認され、ヒトでは感染症法上の四類感染症に指定されています。

 SFTSウイルスは本来、山奥にしかいないイノシシ、シカの皮膚に寄生していたマダニ内にいました。
近年、野山の伐採で、現在イノシシ、シカが住宅地域に出没して、近所の畑を荒らすことが問題になっています。その際、昔だったら山奥のイノシシ、シカにしかいなかったマダニも、ヒトの居住地域に侵入して、ヒト、犬を刺したり、寄生して、
SFTSウイルスが蔓延して今になっていると推測されます。

 現在注目も高く、平成26年8月26日(火)NHKニュースウオッチ始めテレビ、新聞で、マダニによるSFTSウイルスのことは数多く紹介されています。
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マダニ
 原因はSFTSウイルスを持っている写真のマダニがヒトを刺すことで感染します。
マダニのSFTSウイルスの保有率は5-15%で、刺されたからといって必ず感染する訳ではありません。
また免疫力の強い方は自然治癒もあると推察されています。
 ヒトへの感染は、①直接マダニに草むらなどで刺されるか、②またマダニを潰した場合接触感染します。マダニに感染しているペットを介して、新しい感染形態もある伝染病です。
 
 SFTSウイルスは西日本にみでなく、北海道、東北のマダニでも確認されていますが、ヒトへの感染は報告されてません。なぜ気温の低い、北海道、東北ではヒトへの感染がないか不明です。
  
 平成26年8月現在、現在95名ヒトが感染して31名が死亡しています。死亡率は高い病気です。
しかし犬はヒトと異なりSFTSウイルスに感染しても抗体価の上昇はありますが症状はありません。
① 
 写真①は野外に散歩してマダニに感染した犬で、写真②は自宅の庭で飼育していたウサギがマダニ感染した例です。
 
 このマダニをペットのオーナーが手で潰してダニの血液から接触感染したり、またマダニからヒトが直接刺されたりすることで感染します。
 
 
主な症状は2-20日の潜伏期間を経て、発熱と消化器症状で、血小板が減少するので自然穴から出血もあります。重症化し免疫力の弱い、お年寄りは重傷化して死亡する場合(致死率32.6%)や後遺症が残ります。特効薬はありません。

 予防法は外に行く動物は必ず後述する殺マダニ効果のある薬剤を使用すること、
また夏から秋にかけてマダニが活発な時期にヒトが草むらにいくときは長袖、長ズボンで肌を露出させないことが大切です。2-3時間の効果しかありませんが、虫除けスプレーも有効です。
動物病院で診療をしていると、何点かダニに誤った認識がありますのでここで説明します。

  オーナーさんで一番多い間違いは『ダニ』のすべてSFTSウイルスをもっていると勘違いしている点です。
 ダニは簡単に分類すると英語名で説明するのが一番わかりやすいと思います。
英語で
『ダニ』は聞かれるとtickまたmite をおもい浮かべる方が多いとおもいます。

  重要なことはSFTSウイルスは前者のマダニ類『tick』の5-15%に感染していますが、他のダニ類『mite』には感染しません。
 

miteについて 
② 
④ 
写真③④犬
ヒゼンダニ(疥癬)成虫と卵


犬ヒゼンダニ(疥癬)に刺されたオーナーの腕。

⑦ 
キュウセンヒゼンダニ(耳ダニ)成虫とウサギの耳ダニ外観
 
 
mite』と表記して区別されるダニ類は、家庭内でアレルギーの原因になる、まくら、埃・畳にいるコナヒョウダニなど(写真②③)や、皮膚の角質層に感染する疥癬写真④⑤⑥)、動物の耳ダニ(写真⑦⑧)をさします。これらはSFTSウイルスはいません。 
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犬のマダニ駆虫剤について
 
犬猫用のノミ・ダニ剤は沢山の種類があり、様々な付加価値がありますので、飼育形態を考えて薬剤を選ばれることをお薦めします。
 散歩いく犬には
マダニ類
tick
の駆除が可能な『ダニ用
の記載のある薬剤が良いおもいます。
他の多くのダニ類の『miteは『ノミ用でも駆虫効果が見られることもあります。
 動物病院で販売されている、以下の薬剤はマダニ類tick』の駆虫効果があります。

■フロントライン®・プラス(成分名、フィプロニル、(s)-メトプレンの合剤)











ノ ミ・マダニ・シラミに作用します。フィプロニルは、脂肪に富む体表や表皮に分布し、さらに皮脂腺に集まりプールされます。そこから徐々に皮脂とともに皮膚 や被毛上に放出され ノミ・マダニを接触によってすみやかに駆除します。このことにより長期間の持続効果が得られ、シャンプーや水浴の影響もうけにくいとされています。


■マイフリーガード®(成分名、フィプロニル)








マイフリーガードはフロントラインのジェネリック品です。
フロントラインにくらべて安価で効能は殆ど変わらない文献報告もあります。ノミ・マダニに作用します。

犬猫用です。
 
フィプロニル製剤はウサギなどは絶対禁忌です。
                                                    
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プラクティック®(成分名、ピリプノール   

ピリプノール皮膚滴下剤犬のみです。
 希釈剤はジエチルグリコールモノエチルエーテルであり、この物質にアルコールは入っていないため、他社でアルコール過敏の犬にも使用可能です。猫・ウサギは使用報告がありません。        
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フォートレオン®(成分名、ぺルメトリン、イミダクロプリド)

フォートレオン®は2種類の薬剤が配合されています。
マダニの皮膚への付着を阻止してし、咬みつく前に駆除するぺルメトリンと、ノミの吸血を阻止して、ノミ成虫に駆除効果を発揮するネオニコチノイド系イミダクロプリドが配合されています。
 
皮膚滴下剤
で使用認可は
犬のみです。
猫にぺルメトリン製剤は禁忌です。

                              
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■コンフォデイズ®(成分名 スピノサド)、経口剤
 
2012年に犬猫用で販売されたノミ、ダニ用の経口薬剤です。滴下タイプが苦手な方にはお薦めです。副作用も少なくノミ、ダニに良好に作用します。ウサギなどは使用報告がありません。
                                
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【関連記事】
ノミ・マダニ・シラミの生態




作者: オダガワ動物病院

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