小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2015.08.31更新

あ■ピモペンタン(pimobendan )


 Inodilator製剤とは

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 心臓を収縮させる陽性の変力作用を有する薬剤はPDHⅢ阻害薬、ジゴキシン、カテコールアミン類などがあります。これらは細胞内のCaイオン濃度を上昇させて強心作用を示しますが、このピモペンタンは細胞内のCaイオン濃度を上昇させなくても心収縮力を増加できる点が特徴です。そのためCaイオンの過負荷による、心筋細胞の障害、および不整脈を起こす可能性が少ない薬剤です。 またホスホジエステラーゼ(PDE-3)活性抑制作用により血管も拡張します。
 このような2つの作用のある薬剤をInodilator(強心性血管拡張薬)と表します。

 ピモペンタン製剤は、本邦では以前はヒト用のアカルディ®(ベーリンガー)を使用してましたが、当時は薬価が高く多くは使用されませんでした。2008年に犬用のベトメディン®(ベーリンガー)(写真左)が販売されてから、薬価も下がり、犬に嗜好性のある薬剤形態になったこともあり、頻繁に使用されるようになりました。2015年には同じく犬用でピモペハート®(共立)(写真右)も販売されました。ピモペハート®の特長は製法がベーリンガーと異なるため、薬剤が小さくなり飲ませ易い点です。当院では嗜好性を考えて使い分けています。また効能外使用になりますが、ウサギ、猫へも使用は可能です。また海外では注射薬も販売されています。

 小型犬に多い心臓の弁膜障害では、この薬剤が多く使用されるようになって、重度の心臓病でも維持は可能な疾患も診られるようになりました。以前は慢性心不全(軽症~中等症)で基礎治療薬をしても十分な効果が得られない場合に使用される薬剤でしたが。最近は犬では早期より投与を薦める意見もでてきています。またピモペンタンは急性心不全にも使用は可能です。


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投稿者: オダガワ動物病院