モルモットのソアホック(足底皮膚炎)川崎市多摩区、オダガワ動物病院
2022.01.26更新
■モルモットのソアホック(足底皮膚炎)
(写真)ソアホック(足底皮膚炎)
ソアホック(足底皮膚炎)は悪化すると強い痛みやを引き起こします。
モルモットはこの疼痛に鋭く反応して消化管うっ滞をおこすこともあり侮れない疾患です。
処置は床を柔らかくしたり、バンテージを巻いたり、痛み止め、抗生剤の使用などを組み合わせておこないます。
投稿者:
2022.01.26更新
■モルモットのソアホック(足底皮膚炎)
(写真)ソアホック(足底皮膚炎)
ソアホック(足底皮膚炎)は悪化すると強い痛みやを引き起こします。
モルモットはこの疼痛に鋭く反応して消化管うっ滞をおこすこともあり侮れない疾患です。
処置は床を柔らかくしたり、バンテージを巻いたり、痛み止め、抗生剤の使用などを組み合わせておこないます。
投稿者:
2021.03.14更新
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不適切な抗生剤使用によるモルモットの軟便
(写真1,初診時)
鼻に黒いものがつくことで来院した1歳7ケ月の雄のモルモットです。
(写真2,初診時)
ぬるま湯で剥がすとこのようになります。
他院の皮膚スタンプ検査で球菌、桿菌が共にに多数と診断され、セフェム系の抗生剤を処方されました。
(写真3,初診時、本院に持参された便)
翌日、軟便になり、モルモットも元気も無くなり本院に問い合わせがありました。
セフェム系の抗生剤はモルモットに4-5日続けて経口使用すると死亡する場合もあり、セフェム系の抗生剤を処方が本当なら中止するよう話しました。
そしてモルモットを診察可能な病院を探していくよう薦めました。
(写真4,初診時、本院に持参された便のグラム染色)
翌日、遠方から本院に来院しました。グラム染色すると、グラム陽性、陰性の球菌、桿菌が診られました。
モルモット軟便どき最も心配な、Clostridiumは持参された便からは、グラム染色では見つかりませんでした。
この軟便は本院オリジナルの整腸剤の使用で1週間でよくなりました。
そこでモルモットに安全に使用できる抗生剤クロラムフェニコールを処方しました。
その後、来院はありませんが、鼻はよくなったと連絡は入りました。
(写真5、参考資料1・別の症例ですがモルモットの正常便はこのようになります。)
参考資料2
モルモットの胃腸細菌叢
モルモットの胃腸細菌叢はグラム陽性菌が中心です。不適切な抗生剤を使用することで、グラム陽性菌が亡くなり、Clostridiumが増殖してその外毒素で死亡するとされています。
モルモットに不適切な抗生剤
リンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、アンピシリン、アモキシシリン、セファレキシン、テトラサイクリンなど。
禁忌の抗生剤は動物病院により異なりますので、詳細は処方された動物病院にお問い合わせください。
投稿者:
2021.02.08更新
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モルモットの狼瘡
生後2週間のモルモットの後肢に狼瘡があることで来院しました。
左後肢
右後肢
モルモットの後肢は3肢ですが、来院したモルモットの後肢は左右4肢ありました。
犬の狼瘡切除と同じ方法でおこないました。
投稿者:
2020.08.26更新
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モルモットの角膜潰瘍、ジクロフェナク点眼で悪化が疑がわれた例
ジクロフェナク点眼は非ステロイド点眼に属する薬剤です。獣医療では結膜などの炎症止めやイヌの白内障の進行が遅らせることが報告され使用さることがあります。
非ステロイド点眼と聞くと副作用が少ないよう聞こえますが、使用法を熟知しないとイヌでは角膜潰瘍を起こすことが知られています。ヒトでもジクロフェナク点眼により同様の副作用も報告されています。今回モルモットの角膜潰瘍でジクロフェナク点眼で悪化が疑がわれた例を経験したのでここに記載します。
(写真1)
4歳10ケ月の雄のモルモットです。2週間前、他院で角膜潰瘍と診断され、ジクロフェナク点眼とヒアルロン酸点眼を処方されましたが、よくならず当院に来院しました。(写真1)
(写真2)
眼検査
ダズル反応はありました。stt-1 15mm、フルオルテストで眼の中央部分が緑に染まり角膜潰瘍と診断しました。(写真2)また潰瘍部分の細胞診では細菌は陰性でしたが好中球が診られました。
当院では防腐剤なしの抗生物質点眼、ヒアルロン酸点眼を使用しました。またオーナーが可能であれば6時間ごとの点眼を指示しました。
(写真3)
10日後の来院。たいぶよくなりました。(写真3)
まだ完治はしてませんが、stt-1 8mm、フルオルテストも陰性になり、細胞診では好中球も診られません。
投稿者:
2020.07.22更新
■
モルモットの外傷性角膜潰瘍が疑われた症例
(写真1)
モルモットは外傷による角膜疾患は多いと考えられています。特徴として角膜の感度が弱いため、角膜潰瘍がおきても、羞明のような症状が診られることが少なく、オーナーが来院するころには重症化しているケースが多いとされています。
この症例も3日前から急に右目が『白くなったこと』で来院しました。(写真1)
シルマーテアーテストは15mm/分でした。
(モルモットのシルマーテアーテスト正常値5-10mm/分)
(写真2)
『白いもの』を顕微鏡で診ると、変性好中球と上皮細胞が診られました。(写真2)
(写真3)
生食で目を洗浄したところ、角膜に白い沈着物が診られました。(写真3)
(写真4)
フルオル試験をすると陽性になり角膜潰瘍と診断しました。(写真4)
そこで防腐剤なし抗生剤、ヒアルロン酸点眼を2週間行いました。
(写真5)
2週間後の来院(写真5)
(写真6)
フルオル試験をしましたが陰性(写真6)で角膜潰瘍はよくなっていました。
この症例はよくなりましたが、すべてよくなるわけではありません。
主治医とよく相談して治療をおこなってください。
投稿者:
2020.07.21更新
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背中が痒いモルモット
以前から背中をかゆがっていた2歳のモルモットです。
皮膚検査では異常はみられませんでしたが、疥癬と仮診断して、殺ダニ剤を投与しました。
ひと月後、まだかゆみは多少ありますが、皮膚は改善しました。
引き続き殺ダニ剤の投与を指示しました。
同居のモルモットがいた場合はすべてのモルモットに殺ダニ剤の投与を薦めています。
殺ダニ剤とは
ノミ・ダニの駆虫剤を指します。本邦ではモルモット専門のノミ・ダニの駆虫剤なく、イヌ・ネコ用を使用しています。イヌ・ネコ用はモルモットに安全に使用できる薬剤もありますが、死亡してしまう薬剤もあります。使用の際は必ずモルモットを普段から診療している獣医師を受診して指示のもと行ってください。
投稿者:
2020.06.23更新
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モルモットの皮膚腫瘍(毛包腫 trichofollicu oms と診断されたケース)
モルモットは犬猫に比べて悪性腫瘍が少ない動物として知られています。(悪性腫瘍がない訳ではありません。)
しかし良性腫瘍でも3-4歳になると、急に拡大する傾向があり切除が大変な症例もありました。
なお腫瘍の悪性、良性の診断、腫瘍の種類は手術で切除した組織を病理診断してわかることが多いです。
毛包腫とは表皮嚢胞の1種で、真皮に嚢状構造物が形成され、内腔に角化物、皮脂が蓄積して、瘤状に発達します。毛包を形成する細胞(皮脂腺細胞、毛包上皮細胞、アポクリン腺細胞など)の全体が関与する最も分化した良性腫瘍と定義されています。
転移は少なく、外科的に切除すると再発のないことが知られています。
犬猫での発生はほとんどありません。モルモットではときどき発生することが報告されています。
今回の症例は3歳の雄です。兼部に腫瘤がありました。
毛包腫の外見上の特徴は腫瘤は球形で皮膚表面にドーム状の隆起が診られます。中身は灰色から白色のカッテージチーズ様の角化物や皮脂で満たされています。
確定診断には切除して病理検査が必要です。
以前かかっていた動物病院では様子を診るよう言われていましたが、ここ半年で皮膚腫瘍が大きくなったため転院してきました。
この症例は触診で皮下識で腫瘍が遊離していたので外科的切除可能と判断して手術を薦めました。
麻酔をするにあたり最初に血液検査、生化学検査で肝臓、腎臓など、レントゲンで心臓も異状ないことを確認しました。
また肺にも転移ないため手術をしました。
切除した皮膚腫瘍
病理の結果 毛包腫
皮脂腺由来の腫瘍細胞が胞巣状に増殖して、さらに毛包上皮由来の腫瘍細胞が大小の嚢胞や導管、また毛包を形成しながら増殖しています。嚢胞を形成する細胞は高度な角化傾向を示し、嚢胞内には角化物を貯留しています。一部には基底膜細胞様の細胞も増殖していましが、いずれの腫瘍細胞も異形成には乏しく核分裂像はほとんど見られません。周囲組織への浸潤性増殖、および脈管への浸潤像も認められず、マージンは確保されています。
手術終了時の様子。当院では可能な場合は埋没縫合をしています。
埋没縫合は外糸がないので、モルモットに手術部位を多く舐められないと考えています。
手術10日後の様子。まずまずです。
このブログを書いている時点では再発はありません。
投稿者:
2020.01.23更新
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モルモットの体重測定
モルモット(学名: Cavia porcellus、英: guinea pig、蘭: cavia)の体重測定は、当院では1kg前後の測定に強い体重計を使用しています。
平均は雄900~1200 g 、雌700~900 g位になります。
投稿者:
2020.01.21更新
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激しい痒みのモルモット
生後4ヶ月のモルモットです。
他院で抗生剤、ステロイド投与しても痒みが収まらず来院しました。耳の後ろに掻いたあとが診られます。
当院の皮膚検査では、異常ありませんでしたが、疥癬を疑いレボリューション®を皮膚に滴下しました。
3週間後、モルモットの来院はありませんでしたが、痒みは7日位でなくなったそうです。
疥癬が疑われたため、もう1回レボリューション®を処方しました。
このオーナーは多頭飼育されていて、他のみ痒みの強いモルモットがいたため、すべての個体にレボリューション®を処方しました。
投稿者:
2019.07.31更新
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モルモツトの疥癬症
皮膚全体が粉をふくような皮膚病になり来院した1歳半の雄のモルモットです。
オーナーが診るにあまり痒みはないそうです。
皮膚の拡大写真、表皮が厚くなり、痂皮が多く診られます。
皮膚掻爬検査をおこないました。
皮膚掻爬検査、顕微鏡100倍所見です。疥癬虫が発見されました。(⇩)
疥癬虫、顕微鏡400倍所見(⇩)
この症例はモルモットに安全に使用できる疥癬虫治療剤、レボリューション®を背中に滴下してもらいました。
疥癬症のみなら月1回の皮膚滴下を2-3回おこなうとよくなります。
このオーナーは他に2匹、モルモットを飼育されていました。疥癬症の症状は診られませんでしたが疥癬虫は接触感染するため、念のため残り2匹もレボリューション®を背中に滴下してもらうことにしました。
またヒトにも感染の可能性もあります。モルモットが疥癬虫に感染していると、オーナーが痒みを訴えるケースも当院では経験しています。注意が必要です。
投稿者: