■ノミ・ダニの薬剤各種を紹介します。
本院 で使用しているノミ・ダニの薬剤各種の特長を紹介します。
薬形は皮膚滴下ダイプと経口剤に別れます。
薬理作用で分類するとマダニの駆虫が良い薬剤、フィラリアも予防可能な薬剤など各種特長があります。
ノミ・ダニの薬剤認可は日本では犬猫用しかありません。
しかし製品によっては効能外使用でエキゾチックにも安全に使用可能な薬剤もあります。
飼育されている動物・環境にあった薬剤を選んで下さい。
■成分名 セラメクチンSelamectin
商品名はレボリューション®で犬猫用の製品です。
効能は動物医療用薬品に属し、フィラリアの予防(犬猫)、成ノミ駆除、卵の孵化にも抑制(犬猫)、耳ダニ駆除(犬猫)、駆虫剤、回虫(猫)と幅広く使用できます。
またこの薬剤は効能外使用でエキゾチックにも比較的安全に使用できます。
■使用法
犬猫エキゾチック 1ケ月おきに1回 滴下で予防できます。
使用が簡単なスポットオンタイプで、投与をより確実にできます。
肩甲骨間背部の被毛を分け、皮膚上に直接ピペット1個全量を滴下します。
セラメクチンは投与後、速やかに皮膚から吸収され、メーカーの見解では2時間後にシャンプーをしても有効性は低下しません。
■年齢
6週以上の犬猫に可能です。スポットオンタイプの薬剤で最も早い時期から使用可能です。
イベルメクチンIvermectinに過敏なコリーにもフィラリア予防量なら安全でに使用できます。
■副作用
犬猫で0.5%に嘔吐。約1%の猫に脱毛があります。嘔吐はセラメクチンは嗜好性の悪い薬剤なので皮膚の滴下したあと舐めておきるとされています。
■フィプロニル Fipronil
フェニルピラゾール系の外部寄生虫駆除剤フィプロニルを含有します。
商品名は2種ありフロントライン®は先発品、マイフリーガード®はジェネリック品です。
実験では薬効は両方とも変わらないため本院ではマイフリーガードを中心は販売しています。
両剤とも使用が簡単なスポットオンタイプで、投与をより確実にできます。
肩甲骨間背部の被毛を分け、皮膚上に直接ピペット1個全量を滴下します。
皮膚の表面にはノミに対しては犬で約2カ月、猫では約5週間効果が持続します。マダニに対しては約1カ月間効果が持続します。
フィプロニルはウサギはじめエキゾチック動物には絶対禁忌です。
本院では使用してませんが、フェレットに限り使用可能な意見もあります。
■コンフォテンス®錠(成分名スピノサド Spinosad)
スピノサドはバージン諸島の土壌中から発見された放線菌の1種サッカロポリスポラ・スピノサが産生する殺虫活性成分です。
2012年より犬猫用として販売された、月1回飲むノミ・マダニの駆虫剤です。従来の殺虫剤とは異なる作用機作とユニークな特長を持ちます。
のら猫のノミ・ダニ予防には最適と考えています。粉でも投薬可能です。
これまでフロントライン®やレボリューション®など沢山の良好な皮膚のスポット剤が開発されオーナーにはそれなりの評価は得てきました。
水浴も可能で、個人的にはわざわざ今さら「飲むのかわからない薬剤」を投与する必要があるのかとおもいましたが、最新薬にはよい特徴があるのでご紹介します。
スポットオン(皮膚滴下タイプ)は、
①薬剤で被毛がぬれることに抵抗あるオーナーや、
②抱っこなどにより、皮膚滴下剤が犬の皮膚から人について特に幼児が悪影響をおこすと心配しているかたには、経口薬のスピノサド使用はおすすめです。その点を解消したのが本剤です。
なお皮膚滴下剤が犬猫の皮膚から人について悪影響を及ぼしたことは現在報告はされていません。
■作用機序
①経口投与
②腸から速やかに吸収
③血液中へ
④全身の脂肪に移動、
⑤少しずつスピノサドを放出して血液中へ1ヶ月の間、維持します。
⑥ノミ・マダニが血液を吸引すると駆除効能を示します。スピノサドは血液を吸うノミ・マダニにしか効果ありません。
⑦排泄は肝臓6割、腎臓3割です。末期の肝不全・腎不全でない限り投薬は問題ありません。便、尿の中のスピノサドの代謝産物はでますが、1週間で分解して環境に悪影響はありません。
■特徴
①スピノサドは経口薬で、血中に速やかに吸収され効能を示す薬剤です。
経口投与して3-4時間で90%のノミを死滅させます。一番早くノミを死滅させます。
皮膚滴下剤の
フロントライン®(皮脂腺を使って予防するタイプ)、
アドバンテージ®(真皮まで届かない表皮部分に広がるタイプ)は少し時間がかかり、90%死滅には6-12時間かかります。
同じ皮膚滴下剤の
レボリューション®は血中に吸収されるのでスピノサドに匹敵するスピードでノミを死滅させます。
(ただしレボリューションはマダニの効能はありません。)
最近はノミアレルギーに犬猫は殆ど診なくなりましたが、ノミの寄生が多かったり、期間が長いほどノミアレルギー重度の反応が多いとされていますので、即効性はありがたい作用です。
②シャンプーをするとスポット剤の効果を弱くします。
スポット剤のメーカーはシャンプーの影響なない記載を多くみますが、スポット剤は適度に皮膚がよごれている法が効能は得られることは事実です。
アメリカの動物皮膚科の専門医の方々も週2回シャンプーが必要なら、経口薬のスピノサドを選ぶ方は多いです。スポット剤は入浴を多くした場合、駆除効果、持続性に懸念をもっている動物皮膚科の専門医は多いみたです。
③スポット剤は殆どの製品がアルコール・グリセリンに溶解しています。
滴下部位に皮膚炎をおこしたりする犬猫への使用は薦められません。
④スピノサドのマダニへの効果。
皮膚滴下剤で効能が薄いとされた、動物の眼の周り、鼻先、指の間の感染にも血液で全身を回るので効果あります。
また同様にフィプロニ-ル剤で効能が低いと推察されているクリイロコマダニにも効果あります。
■嗜好性
投薬して食してくれる確率はアメリカでは90%とされていますが、日本は小型犬が多いのでそこまでは食べてくれないと予想されています。砕いて餌に混ぜたりする必要はあります。
この薬剤はブルスター包装になっており、簡単に動物や幼児が開けないようになっています。
■副作用
①日本では0.8%(アメリカでは0.25%)で嘔吐がありますが、一時的なことが多いです。14週令未満の犬は嘔吐が多く投与不可になっています。
②2.3kg以下の犬では治験をおこなっていないので同様投与不可になっています。実際超小型犬に投与したことはありますが、とくにその他の犬と差はないように感じています。
③使用禁忌の場合
ニキビダニ症でイベルメクチン類の高用量の治療をうけている犬は注意です。(フィラリア予防薬は低用量で問題ありません。)
④フレーバーは豚由来、加水分解した大豆を使用していますので、これらの食物にアレルギーのある犬猫は担当獣医にお話ください。
⑤LD50が7500mg/kgと高く安全です。(家庭の食塩でLD50が3000-4000mg/kg・スピノサドの犬の投与量30mg/kgです。)
LD50は50%のマウスが死亡する量です。どのような薬剤でも記載があります。
ノミ・ダニの薬剤各種を紹介します。
2014.11.02更新
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