■鳥類の検便
本院で診られた鳥類の検便の主な症例を解説します。
小鳥は検便で真菌・原虫、線虫、条虫の感染が診られます。幼少期から診られる場合が多く、購入したらすぐに検便をお薦めします。犬猫では存在しない真菌が感染していることもが多く小鳥の検便に慣れた動物病院で行うことをお薦めします。
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■セキセイインコのメガバクテリウム症
写真はセキセイインコのメガバクテリウム。正式学名はマクロラブダス オニリソロガスター(Macrorhabdus ornithogaster)で真菌に分類される。また胃が好発部位であることからAGY(Avian Gastric Yeast)とも呼ばれていた。
感染は鳥類のみです。犬猫またヒトには現在感染はありません。鳥には2つ胃(腺胃、筋胃)があって、腺胃と筋胃の中間層に感染することがわかっています。感染は垂直感染が殆どです。メガバクテリウムに感染した場合、元気なく、口のパクパクが多く、体重減少、膨毛がみられます。
鳥類により症状が異なることがこの疾患の特徴です。セキセイインコ、オカメインコ、カナリア、キンカチョウ、マメリルリハインコは感受性が強く、生死にかかわる状態になり訪れることもあります。本院の経験では購入後のセキセイインコは40%は感染しています。ボタンインコ、小桜インコ、文鳥は重症な症状は出さない場合が多いです。
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■文鳥のカンジダ症 裸眼とグラム染色 (酵母様真菌)
(写真は文鳥のカンジダ、同定済み)
ガンジダ菌は健康な鳥に少々いて正常ですが、多くなると生死にかかわる菌です。ガンジダ菌が増殖した状態をガンジダ症と言います。原因は栄養性と二次性に分かれます。
(写真はセキセイインコのジアルジア)
ジアルジア症はヒトではランブル鞭毛虫 (Giardia lamblia) を原因とする原虫症です。
鳥類ではジアルジア症は(Giardia sp)セキセイインコでよく診ます。また文鳥でも発生します。
嘔吐、軟便などの臨床症状を伴う場合と伴わない場合があります。
診断は新鮮な便でないとみつからないことが多いです。
治療は抗原虫剤の投与が中心です。
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■鳥類のトリコモナス
写真はハトの回虫とトリコモナス(右)
トリコモナスは鳥類ではオカメインコでよく診ます。嘔吐を主訴に来院します。駆虫には抗原虫剤を使用します。
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(写真は文鳥のコクシジウム)
鳥類では本院ではコクシジウムは文鳥・鶏・ハトで診られます。コクシジウムは下痢など症状起こす種と、また症状が出ない種があります。駆虫にはサルファ剤やトリトラズリルを使用します。
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■鳥類の回虫
(写真はハトの回虫)
鳥類では回虫は本院ではオカメインコ・アサクサインコ・鶏・ハトで診られます。犬猫の回虫より細長いのが特徴です。駆虫は回虫駆虫薬の投与になります。)
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■鳥類の毛細線虫症(Capillaria)
(写真はハトの毛細線虫症)
鳥類の毛細線虫症(キャピラリア)は生活史、駆虫剤などの詳細はよくわかっていない寄生虫です。本院ではハト、コザクラインコで1例診た経験がある位です。
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■鳥類の条虫(Teniasis)
(写真は文鳥の条虫)
条虫は文鳥・鶏で稀に診られます。写真のように便に「しらす」がついたように見え、自宅で十分に発見できます。確定診断のため、必ず受診する動物病院に寄生中は持参してください。
条虫駆虫薬で治療は可能ですが、文鳥の条虫は中間宿主が不明なため2-3ヶ月で再発する場合が多いです。
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