小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2024.05.20更新

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mouseハムスター、生後4ケ月の軟便の症例


ご注意 

このホームページに記載されている疾患の予後、
薬剤の説明、他の動物病院の処方薬剤、
インターネットに記載されている薬剤などの
電話相談は診療の妨げになりますので
お断りしています。
当院での診察、薬剤希望の方はペットをつれて来院ください。
 



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軟便が2週間続いているそうです。(写真1)

 ハムスターの軟便は確定診断は下せないことが多く、腸重積ををおこすこともあり油断できない疾患です。若いハムスターは細菌性、寄生虫性が原因でおこることが多いです。老いたハムスターでは基礎疾患があっておきることが多いです。 

 当院では稟告、身体検査、検便から対称療法を中心に行っています。
特に下記の寄生虫を含めて、検便は新鮮便でないと判断しづらいです。古い便だと虫体が崩れて、判別不明なケースが多いためです。
 当院に訪れれる予定の方は新鮮な便を用意されるとこを薦めます。

 まず食事の食べすぎ、高脂肪食(主にヒマワリ)の過多を聞きます。また便をハムスターが潰して軟便と勘違いしている場合もありました。体重減少がおきないか注意してみています。

 今回の症例は4ケ月の雌、ジャンガリアンハムスターで、軟便が2週間続くことで来院しました。(写真1)


 

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ジアルジア(簡易染色)(Giardia、spp)×400(写真2)

 新鮮便でジアルジアのシストが見られました。(写真2)
フラジール®を2種間処方しました。投与に合わせてハムスターの機材の熱湯消毒も指示しました。(ハムスターの機材が壊れない60度位の温度で) 


しかし2週間軟便続き再来院しました

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小型条虫(Hymenolepis nana)×1000(写真3)

 再び新鮮便を顕微鏡観察しました。ジアルジアは有意が減少が見られましたが 
小型条虫が見られました。(写真3)
ハムスターでは軟便の原因なります。駆虫剤は諸説ありますが10日に1回位が良いとされています。
駆虫剤に加えてこの寄生虫もハムスターの機材の熱湯消毒が必要です。
  小型条虫は円葉条虫目に属しますが、変節が脆くウリザネ条虫のように変節の排泄はまれです。変節が体内で壊れ虫卵で検出されるケースが多いです。(写真3)

 感染経路は3ルートももあるので完全駆虫は大変です。
そのルートは
①老塾変節が消化管内で壊れることで自家感染がおきます。
②排泄した虫卵の経口直接感染もあります。円葉条虫目で唯一中間宿主が不必要なルートを持ちます。
③汚染されたハムスターの糞を中間宿主のゴキブリ、ゴミムシダマリ、ノミ、昆虫類が摂取して体内で育ち、その後再びハムスターにそれらが捕食され感染が成立します。ヒトにもハムスター同様、終宿主として感染します。
以上の理由で完全駆虫は大変です。 


 

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ネズミ大腸蟯虫(Aspiculuris tetraptera)×1000(写真4)
虫卵(大きさ83-93×38-43mm)は紡錘形で左右対称です。

 ネズミ大腸蟯虫も見られました。
ハムスターに軟便をおこすことは少ないと考えられています。

プレパテント・ピリオド(約24日)を考慮して週1回間隔の駆虫が薦められますが
生活史がこの寄生虫も複雑で完全駆虫は難しいこともあります。

 トイレと寝床がケージ内にあることが多いハムスターは再度虫卵が経口的に入る可能性が高く
食糞による虫卵の再感染、また逆行感染もあります。
駆虫剤に加えて、この寄生虫もハムスターの機材の熱湯消毒が必要です。


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この症例の便、グラム染色 ×1000(写真5)

  幼ハムスターの下痢では寄生虫疾患の他にサルモネラ症、ティザー病、ウエットテイル/増殖性回腸炎など細菌性疾患でもおこります。しかしこれらの臨床的な鑑別診断は不可能です。


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プロヘンンダー・スポット®週1で4回使用後の便(写真6)

 
 この症例は小型条虫、ネズミ大腸蟯虫に駆虫が期待できるでプロヘンンダー・スポット®を皮膚に垂らし、週1で4回使用しました。他に止瀉剤、抗生剤も併用しました。
 プロヘンンダー・スポット®の使用で糞便中に寄生虫はなくなりましたが、軟便はときどき繰り返しています。





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投稿者: オダガワ動物病院