■点眼薬と防腐剤・保存温度
前回、点眼薬は封をきったら1ヶ月以内に使用するように記載しました。
また点眼薬は開封後、薬剤安定のため防腐剤が入っている製品が多いです。点眼薬の中にはこの防腐剤がないと製薬できない薬剤もあり、眼科の病気ではさけて通れません。
防腐剤入りの点眼は、1種類1日3回点眼を想定で作られています。その以上点眼薬・回数を多くすると防腐剤の副作用があらわれる場合があります。長期点眼や点眼薬の数が多いと、角膜に異常を示すことがあり、定期的に眼科の検査が必要です。
最近は防腐剤フリーの点眼薬も多くなりました。可能ならこちらの製品を使用した場合が良いですが、封を切ってからの使用期間が短い製品もあり注意が必要です。
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■防腐剤入り点眼例
緑内障に使用されるラタノプラストには、防腐剤として塩化ベンザルコニウム含有されています。最近はジュネリック品で防腐剤フリーの製品もあります。
非ステロイド点眼のジクロードには防腐剤としてクロロブタノールが含有されています。クロロブタノールは一般的に高温多湿条件下では、有効成分の分解が進行しやすくなり、塩酸を放出し、刺激性を与えるとされています。可能な限り、冷蔵(10度以下)の保存が必要です。
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■参考資料 点眼剤と温度
日本薬局方(にほんやっきょくほう=医薬品の規格基準書)によれば、
「室温保存」とは1から30℃のことを指します。家庭ではタンスの中などで保存が可能です。家庭用冷蔵庫は推定4℃なので保存は可ですが、点眼剤が冷たくなり、動物が点眼を嫌がる場合があり取り出して数分してからの使用を薦めます。
「常温保存」とは15から25℃のことを指しますが、点眼薬では私の知る範囲で常温指定のものは見あたりません。
「冷所保存」は1から15℃間で保存することを指します。また「冷暗所保存」とは1から15℃間で、かつ光があたらない場所を指します。これらの点眼剤は家庭用冷蔵庫(推定4℃)に入れてることがベストです。この条件に指定されている点眼剤は多くあります。冬場暖房を使用すれば室温は20℃以上になることが多く、保管には注意が必要です。
また点眼剤はいずれも凍結は不可です。凍結すると点眼剤は変質します。
点眼容器は熱に弱い製品が多く、50℃以上に放置すると、膨張または収縮が発生します。直射日光が当たる場所は注意です。夏場、車中に点眼剤を保存していると、条件によりますが50-70℃にもなるそうです。
以上凍結、高温にさらした点眼薬は薬効は疑問な為、新らしい点眼剤に替えての使用を薦めます。
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■防腐剤のはいっていない点眼薬例
1回使い切りタイプです。
ソフトサイティアは封をあけて7日位です。
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