ドライアイの点眼薬(川崎市多摩区、オダガワ動物病院)
2017.11.01更新
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ドライアイの点眼薬(イヌ)
イヌのドライアイの原因は特定は難しい疾患です。自己免疫性のドライアイにはシクロスポリンは効能を示しますが、他の原因では効能はあまりよくありません。そのため人工涙液を中心とした治療をおこなっています。
写真のコッカスパニアルはセカンドオピニオンで世田谷区から来院した症例です。このオプティミューンを使用して、2年間は涙も多くなりました。 しかしその後は使用しても変わらず、ヒアレインや生食眼軟膏で対応した疾患です。
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■オプティミューン
オプティミューンの成分名シクロスポリン(cyclosporin)は真菌Tolypocladium inflatumによって産生されるポリペピチドマクロライドです。免疫抑制剤でT細胞を特異的に抑制して効能を示します。またシクロスポリンは催涙作用もあり正常な眼に点眼しても涙が沢山でてきます。しかし涙腺刺激作用はありますが、涙液は組織に移行はしません。
自己免疫性のドライアイはイヌでは比較的に多く報告されており、この薬剤で60-70%は効能を示します。しかし効果がない場合はいつまでも眼に塗布する薬剤ではありません。この薬剤はリンパ球の細胞周期からみると、リンパ球のG0―G1の分化を抑制します。そのため効能の判断には時間を要します。筆者は2-3ヶ月を目安に使用の有無を決めています。
眼軟膏製剤です注意点として、多くの量を眼の中に入れないでください。適応のある疾患には能書の量より低用量で効能が診られていることが多いです。
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■ヒアレイン 使い捨て型点眼 0.1%と0.3%
ヒトの涙に一番近い成分で鶏の鶏冠から製薬させている点眼液です。使い捨て点眼なため使用法は動物病院で区々です。薬理作用は保水性、フィプロネクチンと結合し上皮細胞の接着、伸展を促進作用があり、そのため角膜潰瘍の治療に使用されます。
効能は0.3%の方が効果ある意見が多いですが、(変わらない意見もありますが。)0.3%は点眼すると薬液が濃いので眼を気にする動物が希にいます。このようなケースでは0.1%を点眼してもらっています。
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■ヒアレイン 点眼型 0.1%
以前は防腐剤が入っていたので、本院では使用してませんでしたが、最近はPF点眼といって防腐剤が入っていないヒアレイン点眼も発売されています。0.1%のみしか点眼がない点が課題です。---------------------------------------------------------------------
■ソフトサンティアとヒマシ油
ソフトサンティアは防腐剤フリーの涙液点眼薬です。ヒマシ油は眼科用ではありませんが、ヒトのドライアイではソフトサンティアに添加使用された実績があります。使用の際は2週間で薬剤交換が必要です。使用は掛かり付け獣医師指導を基におこなって下さい。
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■生食の眼軟膏
ドライアイ時など、点眼より保持時間が長く、お忙しいオーナー向きです。日本にありません。
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■ジクアス
ヒトで使用されてますが、動物での効果はよくわかっていません。本院も未使用です。
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(東京都薬用植物園、8月)
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