小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.06.24更新

おdog犬の糖尿病、ノボリンRが効果あった症例


  症例は7才雄のミニチアシュナウザー雄です。多飲・多尿を主訴に来院しました。あ

 血液・生化学検査、尿検査をおこない 臨床症状 血糖313mg/dl、 尿糖(+)、糖化アルブミン 14.8%、インスリン5.03ngmlの結果を得て、犬では珍しいⅡ型糖尿病と診断した症例です。

 そこでインスリン製剤として、ノボリンNPH(写真左)の皮下注射をおこないました。しかし1週間たっても臨床症状の改善もなく、血糖の低下もありません。

  次にインスリンレペニルを使用しましたが、同様の結果でした。

 血液・生化学検査、尿検査からインスリン抵抗性疾患は疑いにくいため、もっとも吸収性がよいインスリン、ノボリンRの皮下投与に切り替えました。

 すると血糖は下がり、その後糖尿病は良好に維持しています

1

1 写真 ノボリンNとノボリンR 表面と裏

 名称のRははでレギュラー(Regular 正規)に由来します。
 速攻型インスリンで長所は吸収が良い点です。欠点は作用時間が短く、この症例は1日3回の皮下投与が必要です。 臨床の場では インスリン抵抗性を疑う前に投与して、血糖減少があるか、投与する必要がある薬剤です。
 
 通常インスリン分子は、亜鉛分子を中心とした倒立した三角錐が6つ集まった立体構造=6量体をとり、この構造で溶媒内で安定性を保っています。6量体で投与されたインスリンは皮下組液により希釈され2量体、さらに単量体へと解離し、毛細血管から吸収され、作用を発現します。

 この項、冒頭で紹介したノボリンNの正式名称はNPH(Neutral Protamine Hagedorn)で、6量体の回りに、鮭の精巣から分離、合成したした硫酸プロタミンが配布されています。そのため注射液は混濁しています。1回の注射でインスリンを長い時間作用させることにはできることが長所で、通常はこの薬剤でコントロールされることが多いです。しかし本症例のように希に、吸収問題が生じる場合もあります。


 

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 【break time】

 インスリン製剤は各社いろいろ作用時間など改良すると新しい特許が発行されます。これを「エバーグリーニング(evergreening)」と呼び、特許を取得したメーカーが永遠に独占できるようなシステムになっています。そのため、レギュラー(Regular)、NPH(Neutral Protamine Hagedorn)の両インスリンは本邦ではノボ社とイーライリリー社からのみ販売されています。ジェネリック薬の製造はありません。なお写真のノボ社のインスリンのNPH製剤は、現在ボトルタイプは製造中止のため、イーライリリー社のヒーマリンNを使用する必要があります。

a「エバーグリーニング(evergreening)」は直訳すれば、緑が絶えるこののない「針葉樹林」を指しますが、薬学的には特許を取得したメーカーが永遠に独占できるようなシステムのことを示します。(写真・山形県羽黒山の杉並木、7月)


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.13更新

オダガワ
dog糖尿病の犬、ケトアシドーシス


  糖尿病とは、インスリンというホルモンの作用が低下したため、体内に取り入れられた栄養素がうまく利用されず血糖値の高い状態が続く疾患です。血糖値が高いだけだと自覚症状はありませんが、様々な病気を引き起こすことにつながります。それが「合併症」です。血管が痛むために目や腎臓などに障害がでやすいです。

  糖尿病は膵臓からのインスリンの分泌不足による場合(インスリンが足りない状態)Ⅰ型糖尿病と、インスリンは分泌されていますが、肥満、感染症などによりインスリンの作用(効果)が出にくいの場合(インスリンが有っても血糖値が下がらない状態)Ⅱ型糖尿病とが有ります。犬の糖尿病は自己免疫疾患で、膵島が破壊されておきます。インスリンはでなくなります。そのためインスリンの投与が必要です。

多飲・多尿を主訴に14歳の避妊済み雌犬が来院しました。本日はなにも食べないそうです。川崎市多摩区登戸からの来院です。年齢が高齢でありことより、レントゲン・エコー・血液検査・生化学精査を勧めました。

来院した14才の犬


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●血液・生化学検査


 レントゲン検査・エコーは大きな異常はありませんでした。GLU上昇より糖尿病が疑われました。また中性脂肪の上昇が診られます。糖尿病は状態が進むと、いくら体内にブドウ糖があっても、そのブドウ糖をエネルギー源に分解するインスリンが分泌がないため、脂肪がエネルギー源として使われ、ケトン体が増えます。この状態をケトアシドーシスといい、その脱出が必要です。
またLIPの高値より、膵疾患も疑われました。---------------------------------------------------------------------
●尿検査
  
尿検査でもブドウ糖が強陽性です。ケトン体はやや陽性位でした。

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追加検査として犬インスリンの測定、糖化アルブミン、犬膵特異的リパーゼの測定をおこないました。

犬インスリン 0.55(ng/ml)  正常値0.27-0,65
糖化アルブミン 42.4(%)   正常値8.8-14.5
犬膵特異的リパーゼ 627   正常値<200


以上の結果から、軽度のケトアシドーシス併発したⅠ型糖尿病と診断しました。犬の糖尿病は自己免疫疾患で、膵島が破壊されておきます。インスリンはでなくなります。そのためインスリンの投与が必要です。また本症例はその前にケトアシドーシスの改善が必要です。



 この症例は点滴をしたところ、入院した夜より食欲が回復し、翌日よりインスリンの投与を開始しました。
その後、月1回のGLU・LIP・糖化アルブミンのをして診ていきその後2年生存しました。

あ この症例に使用したノボリンN


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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.04更新

あ
dog薬剤を多くして維持しているアジソン病(副腎皮質機能低下症)

 副腎皮質ホルモン(グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド)は生命の維持に必要なホルモンで、健康なイヌでは体の状態に合わせて適切に分泌されています。

 副腎皮質ホルモン低下症はイヌではほとんどは原発性で副腎皮質の免疫介在性の障害による副腎萎縮で副腎皮質ホルモンの産生・分泌が低下することによっておきる疾患です。

  まれに下垂体からのACTH欠乏による二次性や医原性(投与した薬の影響による)でおきることもあります。

 原発性の慢性副腎 不全は1855年英国の内科医であるThomas Addisonにより初めて報告された疾患であることから、Addison病とも呼ばれています。ヒトではアジソン病は症例が少なく、国の難病指定を受けています。犬での発生率は1/1000匹以下で、著しく高い訳ではありませんが、ヒトに比べると発生率は高いです。発見が遅くなると危篤状態となり、そのまま亡くなってしまうケースもあります。

 原発性の副腎皮質機能低下症は副腎の球状層、束状層、網状層、どの部位が壊されているかにより不足するホルモンの相違が出ます。
 理論的にはグルココルチコイドとミネラルコルチコイドの両方が不足する場合をアジソン病、グルココルチコイドだけが不足する場合を非定型アジソン病、ミネラルコルチコイドだけが不足する場合を選択的低アルドステロン症との記載もありますが、明確に分けられる訳ではありません。

 主な症状としては、食欲の低下や、徐脈、嘔吐、下痢などが多く診られ、なんらかのストレスを受けると発症します。
 当院の経験では、これまで川崎の実家に犬を連れてきて発症したケースや、(オーナーは実家に帰省して、くつろげるが、犬ちゅんにとっては他人の家)また隣で工事が始まり、それらがストレス要因で、発症したケースの症例を診ました。

 診断は上記した症状に加え、血液検査と血液生化学検査で低Na、高K、低グルコースが診られることが多いです。診断にはACTH負荷試験が必要です。


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あ 

今回の症例は雄、7歳のヨーキーです。ここ数日、嘔吐、下痢、元気なく、脱力感や疲労感が生じ、座わる時間が多く来院しました。
最初聴診で不性脈に気づきました。そこで血液検査、生化学検査、心電図検査おこないました。

あ血液・生化学検査では、低Na、高Kが診られました。

あ心電図では洞停止が診られました。


以上の見解より、ACTH負荷試験をおこない判断しました。

この症例はACTH負荷試験は注射後(post値)のみ測定でしたが、0.2μg/dl以下でした。

以上の理由でアジソンと診断しました。

治療はフルドロコルチゾンの投与が主になります。またプレドニゾロンの併用も必要です。
ストレスの少ない環境下で、一生薬剤と付き合っていかなくてはならない病気です。

殆どの症例はフルドロコルチゾンを規定量で維持可能ですが、この症例は規定量で処方すると、電解質のバランスが崩れ、元気がなくなります。そのままほっといて高K血症になると、生命に危険にさらされることもあります。

薬剤吸収が悪い場合は、規定量から増量して、電解質のバランスを正常にしていく必要があります。フルドロコルチゾンは増量してよい薬剤ではありませんが、副作用は少ない薬剤です。

現在、この症例は、規定量の4倍量で電解質を維持して、副作用もなく、元気にしています。


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.01更新

あ

dog犬の甲状腺機能低下症



 犬の甲状腺低下は自己免疫疾患で、そのため年齢は4-6才ぐらいから発症がおきるとされています。自己免疫疾患なので高齢になっての発生は稀です。
甲状腺機能低下は冬また朝に多い病気です。
 発生は大型犬が多いとされてますが、日本では中-小型犬の発生もあります。
 猫は自己免疫疾患は殆どないので、甲状腺低下の報告はありません。


●症状

 甲状腺ホルモンは熱産生・脂質分解作用・糖代謝に関与・発生成長・血液に関与しており、いかなる細胞も産生が抑えられます。

  
被毛粗銅、カール状のつやのない毛
 そのため、疲れやすい、元気がない、被毛粗銅、カール状のつやのない毛、食事管理をしても体重が減少しずらい。外耳炎がなおりにくい。鼻、尾が脱毛・色素沈着といった症状がでます。

 また甲状腺機能低下の皮膚は粘液水腫(簡単に言えば浮腫)がおきることがあります。普通の浮腫は皮膚を手で押すと窪みますが、粘液水腫は窪みません。
 甲状腺機能低下の皮膚は皮膚が堅くなるコラーゲンに変化して、このような変化がおきるとされています。

●診断
 

奇形赤血球 
 血液検査では貧血、ストレスパターン、血小板の減少が見られます。生化学検査ではコレステロールの上昇や血液スメアで奇形赤血球がみられることもあります。

 この症例は被毛粗銅・カール状のつやのない毛に加え、コレステロールが高く、T-cho450mg/dl以上ありました。

 これらの症状が診られたので、甲状腺低下症を疑い甲状腺のホルモンの測定(T4値)し診断しました。

 心臓、肝臓、腎臓、副腎機能低下症など併発症がある場合、疾患のために甲状腺ホルモン(T4値)が著しく低下していることが多く鑑別が大変です。  

 このような場合は甲状腺の検査はT4のみでなく、T4、FT4、TSH、3項目を測定した法が感度もよく、一次性・二次性の鑑別もつきます。しかし経費がかかることが欠点です。

 本症例はT4のみの測定で0.6μg/dl(参考値0.5-3.5μg/dl)でしたので、甲状腺ホルモン剤を処方した症例です。

一般に甲状腺ホルモンは熱産生・脂質分解作用・糖代謝に関与・発生成長に関与にています。甲状腺腫大の作用部位は核の中の蛋白合成、エネルギーの代謝の活性です。甲状腺ホルモンの投与で、食欲・眼の輝きなど投与によりエネルギーの代謝の活性は1週間以内で変化が診られます。しかし皮膚科的異常・1-3ヶ月以内、神経的異常・1-3ヶ月以内の時間がかかります。それ以上かかるようなら他の原因をさがす必要があります。

  

犬専用の甲状腺ホルモン剤

 
注意
 甲状腺ホルモンは人では半減期1日ですが、犬は半日で90%を排泄してしまいます。
 そのため人に比べて多量の甲状腺薬が必要になりますのでよく担当獣医師とお話ください。


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投稿者: オダガワ動物病院