小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.03.11更新


オダガワchickセキセイインコの甲状腺の過形成


a8歳の雄のセキセイインコの頚部に「できもの」

 川崎市麻生区からの症例です。8歳の雄のセキセイインコが嘔吐が頻回みられ、頚部に「できもの」があるので他院より紹介されて来院しました。数ケ月前より、ヒューヒューと鳴き声が変わり様子がかわったことも心配されていました。頭部は嘔吐の関係か濡れています。そこでレントゲンを実施しました。
 

a(甲状腺腫大のレントゲン背腹像)

a(甲状腺腫大のレントゲン右下像)
レントゲン検査ではそ嚢拡大、甲状腺領域のデンシテイーの亢進が診られ甲状腺が疑われました。

オーナーが心配していた「できものは」、そのうの腫大でした。そのうの下にある臓器は甲状腺です。甲状腺が腫大すると、そのうの収縮能が少なくなり、そのうが大きくなります。よりひどくなると頻回の嘔吐します。また鳴菅も刺激するので、朝夕を中心に鳴き声が変わります。そ嚢触診で、水溶物の充満がみられます。進行して一次気管支を圧迫すると、開口呼吸・チアノーゼ・咳・吐出・喀血が診られ死亡する場合もある疾患です。
 諸説ありますが、セキセイインコの甲状腺ホルモン量が低下するとネガティブフードバックがかかり、脳は甲状腺に沢山の甲状腺ホルモンを作れと命令しますが、甲状腺が甲状腺ホルモンを作れないので腫大します。場合によっては甲状腺が癌化することもあります。中高年のセキセイインコに時々みられる症例です。セキセイインコは小さいので検査は限界があり、生前に甲状腺炎と甲状腺腫瘍の鑑別はできません。

a
チラージン末

甲状腺炎は病理では甲状腺の上皮が肥大、上皮の萎縮、コロイド蓄積、(マクロファージが蓄積・実質性の甲状腺炎)が診られ、このチラージンで反応する場合が多いです。甲状腺腫瘍は反応はありません。

あ

あ 2週間後の レントゲンでは甲状腺領域のデンシティーはよくなってきました。
 
以上の臨床症状、レントゲン所見より甲状腺低下症と診断して、本日より甲状腺ホルモン製剤を飲ませていただくことになりました。

これまで何羽かこの症例はみてますが、単純な甲状腺の腫大なら2週間ぐらいで回復します。ただし癌化していると血を吐くなど、悪化傾向になります。
このセキセイインコはその後元気になり生活しています。

 

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●鳥の甲状腺過形成 まとめ
 甲状腺の上皮が肥大、上皮の萎縮、コロイド蓄積、(マクロファージが蓄積・実質性の甲状腺炎)がおきています。
小さな臓器なので、生前の甲状腺腫大・甲状腺炎・甲状腺炎の鑑別はむりです。
症状は開口呼吸・鳴き声がおかしい・チアノーゼ・咳・吐出・喀血など、一次気管支を圧迫すると臨床症状がでます。
鳥類のそのう形態により、臨床症状が異なるとされています。
診断はレントゲンでおこないます。日本では鳥類のホルモン測定不可能です。
鳥類は血中ではグロブリンでなくAlb結合して運ばれます。Albは半減期が短い蛋白なので作用は数秒程度と推測されています。
甲状腺正常の重さは正常ではセキセインコで1.5mgですが甲状腺機能低下になると150-300mgになります。

 一般に甲状腺ホルモンは熱産生・脂質分解作用・糖代謝に関与・発生成長に関与にています。甲状腺腫大の作用部位は核の中の蛋白合成、エネルギーの代謝の活性です。甲状腺ホルモンの投与で、食欲・眼の輝きなど投与によりエネルギーの代謝の活性は1週間以内で変化が診られます。しかし皮膚科的異常・1-3ヶ月以内、神経的異常・1-3ヶ月以内の時間がかかります。それ以上かかるようなら他の原因をさがす必要があります。


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小鳥診療に慣れた動物病院で検便をお勧めします。


 

 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.03.01更新

オダガワchick上皮小体亢進症が疑たがわれた小桜インコ


 

                           

 症例は1歳、小桜インコ 雌で川崎市麻生区からの来院です。
本日、よく寝るて、便が黄色いことできました。検便では異常なく入院中診ると多尿傾向になりました。
オーナーと話した結果、血液検査、レントゲンをすることに決定しました。採血は頚静脈からおこないました。


 
 血液検査では、ALP・IPの上昇がみられました。鳥類ではパラソルモンの測定が犬猫のようにできませんので、これ以上の検査は不可能ですが、上皮小体の亢進症が疑われる所見です。
治療はビタミンDの投与、日光浴になりますが、この症例は症状が少ないので、経過観察としました。
また便の色も改善しました。

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●参考資料 鳥の上皮小体

 厚い結合織性被膜をもつ甲状腺の数分の一の臓器で間質は乏しい。ほ乳類と異なり主細胞のみで酸好性細胞はない。上皮小体ホルモンが分泌されてCaの濃度を維持する。上皮小体ホルモンは血中のCaイオン濃度が低下すると主細胞から分泌される。(VitD3とともに働きかけて骨を融解させて上昇させる。リンの排泄を高める、腸のCa吸収もたかめる。)上皮小体を切除すると低Ca・テタニーおき、上皮小体ホルモン注射すると高Caがおきとされている。


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2018.03.01更新

あchick糖尿病(Diabetes mellitus)のセキセイインコ


 

あ

 糖尿病はchickセキセイインコ(学名:Melopsittacus undulatus)では時々診られ、慢性的に血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が高い状態が続く病気です。

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あ  糖尿病の症状は多飲・多尿・多食になります。(写真)このchickセキセイインコ症例は3才の雄で、「水のような下痢になった」ことで来院しました。鳥類は一穴動物で、尿も便も同じ穴からでます。そのため、尿と便の区別がつきにい点があります。この写真は下痢ではなく、多尿を示しています。

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あ  このchickセキセインコは尿検査では尿糖が5+ありました。 (写真)また血液検査で血糖が600mg/dl以上ありました。

 chickセキセイインコの糖尿病の正式な原因は不明ですが、体重の増加は一因にあげられます。
犬猫ヒトはインスリンの低下でおきますが、鳥類はグルカゴンが原因でおこります。肥満になるとこれらホルモンがききにくくなります。ちなみにこのセキセイインコは54g (正常30-40g)ありました。
治療は経口血唐降下剤の投与になります。
 

 ヒトでは血液中にブドウ糖が異常に増えた状態が続くと、全身の血管が傷つけられ、その結果さまざまな合併症が起こってきます。細い血管に異常で網膜症、腎症、神経障害があり、また太い血管に異常で動脈硬化が悪化し、脳梗塞、心筋梗塞、閉そく性動脈硬化症などおこりやすいとされています。 ヒトではこれら糖尿病の合併症は年の単位でおきます。
 ヒトより生命が短いセキセインコは、合併症は少ないと考えられていますが、このセキセイインコはUAが高く腎症も疑われました。

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