鳥の直接薬剤投薬について(川崎市多摩区、オダガワ動物病院)
2021.05.06更新
■鳥の直接薬剤投薬について
(写真1)
(写真2)
このセキセイインコは他の動物病院に嘔吐を主訴に来院しました。(写真1)
診療の結果、抗生剤と嘔吐止めを点眼瓶から1滴ずつ飲ますよう指示されました。(写真2)
3週間投薬しましたが薬剤がうまく入らず顔の周りがぐちゃぐちゃになり当院に転院した症例です。(写真1)
体重も42gありましたが、本院来院時には29gまで減少してました。
点眼瓶を利用して投薬する場合、1-2滴指定された量を飲んでくれれば一番効能が得られますが、なかなか上手く飲ませられないのが現状です。
一般的に直接投与は嘔吐の症例には向きません。直接投与した薬剤はイヌ、ネコなどでは咽喉頭反射により気管への誤嚥がおきないよう働きますが、鳥は筋肉の収縮により誤嚥を予防するため強引に薬剤を投与すると誤嚥をおこす可能性があります。また後鼻腔が広いため鼻腔にはいりやすいとされています。
オーナーと鳥の信用関係でうまくできる方もいますが、飲ませられるかたは本院の感想では3割位とおもいます。
この写真1のような投薬では薬剤を飲ましている意味がなく逆効果です。
また毎日、鳥を保定して強引に投薬すると鳥がオーナーを嫌う場合があります。点眼瓶を見せると鳥が暴れだす個体もいます。
そのため鳥は精神が傷みオーナーとの関係が悪くなります。
当院でも写真2のように直接投与には点眼瓶を使用しています。
投与量は薬剤により異なりなすが、目安としてセキセイインコ、文鳥サイズで1滴、オカメインコサイズで3滴を基準に投与してもらっています。
また薬剤を溶解する製剤は長期溶解しても細菌繁殖がない単シロップ(日本薬局方)を使用しています。
欠点として甘すぎるので飲んでくれない場合があります。
水で薬剤を溶かした方が飲んでくれる場合もありますが薬効を維持させることが大変です。
注意していただきたい点は、嫌がる鳥に薬をあげることが愛情ではありません。
オーナーの技術と鳥の性格で決まります。
薬剤を処方するとおみあげをもらったごとく喜んで帰るオーナーもいて困ったものです。
薬剤はストレスなく上手にあげられて、はじめて薬効を示してくれます。
なお上手くあげれない場合は飲水投薬という方法もあります。
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