クリプトスポラジウム感染で下痢の仔猫(川崎市多摩区、オダガワ動物病院)

■ クリプトスポラジウム感染で下痢の仔猫

  症例は保護施設からきた日本猫(約4ケ月)雌です。軟便が3週間続き来院しました。

直接の検便では虫卵などは検出されませんでした。そこでIDEXX RealPCR™ 検査(猫の下痢パネル)を追加しました。結果まで約1週間かかるため、検便で検出しずらいトリコモナスを考えチニダゾールを処方しました。

1週間後、IDEXX RealPCR™ 検査(猫の下痢パネル)でクリプトスポラジウム(Cryptosporidium )が発見されました。

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IDEXX RealPCR™ 検査(猫の下痢パネル)の結果

 クリプトスポラジウムはウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどの腸管に寄生する胞子虫類の原虫です
1976年にヒトでの感染も報告されている人獣共通感染症です。

特異的に効果ある駆虫剤はありませんが、軽度なら2-3週間で自然治癒することもあります。この症例は偶然チニダゾールが効果的に働き、1週間で下痢は良くなりました。念のためもう1週間チニダゾールを処方しました。

生活環はオーシスト(大きさ4~6μm)の経口摂取でおきます、経口摂取後、小腸の細胞に寄生して無性増殖します。のちに有性増殖して作られたオーシストが糞便とともに体外に排出され環境中の感染源となります。
水に強く水道水などに混入した場合 オーシストは長く生存します。塩素に対して極めても強い耐性がありますが、熱や乾燥に弱いことが特徴です。

 この症例は治療と平衡してネコが使用しているトイレ、器具などで、可能なものは日光、熱湯消毒してもらいました。その後IDEXX RealPCR™ 検査(猫の下痢パネル)の再検査はしてませんが、初診より1ケ月経った現在、便も良好でネコも元気でいます。オーナーも異常ありません。


 

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