犬小回虫(川崎市多摩区、オダガワ動物病院)

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■ 犬小回虫(Toxascaris leonina



本症例

犬小回虫・虫卵 顕微鏡写真(×1000)

4月に田舎に帰省していたら、『便の中に虫が診られたり』、『胃の中から白い虫のようなものを吐くことがある』との稟告で、1歳のワイマラナーが多摩区南生田から来院ました。検便で犬小回虫が発見されました。

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■生活史
犬小回虫は犬猫はじめ、多くの犬科、猫科動物に感染します。年齢抵抗性もなく、原則的に気管移行はなく、胎盤感染、乳汁感染もありません。

小腸内の雌成虫は未分化卵を産み、糞便中に虫卵がでます。外界の虫卵は7日位で感染虫卵になります。

この感染虫卵を犬猫が摂取すると、十二指腸で仔虫が孵化し、腸壁に侵入し、そこで14-18日までに、第四期感染仔虫になります。
35-42日目に小腸に成虫が診られ、感染後60日位で虫卵が排泄されます。

待機感染あり
感染虫卵を齧歯類など(ネズミ、ウサギ、ニワトリなど)が待機宿主にをたべられると、仔虫は腸壁に侵入して、ネズミではそこにとどまったのち、体内移行を行って主として骨格筋にはいります。これを犬猫など固有宿主が摂取すると、腸管で直接発育して、8週間後虫卵が排泄されます。

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■治療
 
駆虫薬としてドロンタール・プラス®を処方しました。上記で説明したように、犬小回虫はプレパテント・ピリウドは約2ヶ月なので、その時期に2回目の投与のため来院を指示しました。

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ドロンタール・プラス®

この犬はレボリューション®でフィラリアの予防はしてました。レボリューション®の欠点として、犬回虫の駆虫には弱いことが挙げられます。そのため犬小回虫も駆虫できず感染してしまったと考えています。
臨床症状を頻度に示すようなら、定期的な犬小回虫の駆虫薬投与や、散歩コースの変更が必要になります。


 

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