犬鉤虫とは(川崎市多摩区、オダガワ動物病院)

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■ 犬鉤虫症(Ancylostoma caninum)とは


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( 1)犬鉤虫 虫卵 長径65μm
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 ■症状
本院では殆ど診ない寄生虫です。犬鉤虫の成虫は体長約1-2cmの寄生虫が小腸の絨毛に咬みついて寄生しています。
鉤虫は口に3対の大きな鉤があるのが特徴です。吸盤状の鉤が腸の中について吸血し、小腸壁に傷がつき血便を呈して来院します。また栄養の吸収不全がおき削痩して来院するケースもあります。

■感染様式

犬鉤虫は①被嚢子虫の経口感染、②経皮感染、③経乳感染、④胎盤感染、⑤待機宿主の補食で感染します。
犬回虫は卵殻が硬く虫卵ごと捕食されますが、犬鉤虫卵は外界に出ると卵殻が薄いため夏場なら半日から分裂が始まり、約7日間で幼虫が出現します。そのため①被嚢子虫の経口感染は幼虫の捕食になります。幼虫は腸管で成虫になり、気管型移行、体内型移行はおこなわず、経口感染の場合は腸管のみで生活環を過ごします。

 外界で幼虫になるため、②のように犬の皮膚から感染して、気管型移行を行い、腸管に感染する特徴があります。
母犬から胎盤や母乳を介して感染することがあるため、子犬でも発症することがあります。希に健康診断どき、検便で虫卵が診られますが、体の未熟な子犬が鉤虫に大量に寄生すると、重い貧血を起こし、命に関わることもあります。(③経乳感染、④胎盤感染)
⑤待機宿主の補食については多くは事例は報告されてません。
実際あったケースで、地域のOO公園に散歩にいく犬は犬鉤虫に感染するケースがありました。短期間でこの寄生虫によく罹患する場合は定期的駆虫、散歩コース、飼育環境の変更が大切です。

■治療
線虫なので、犬回虫と同じ薬剤になります。本院ではドロンタールプラス®を主に使用しています。裸錠ですが大抵の犬に投薬は可能です。
味に敏感な場合は嗜好性のよいイベルメック®などのチュアブル錠をフィラリア予防とリンクして使用しています。
また最近販売されたプロコックス®も犬鉤虫の対称になります。
本院ではイベルメック®とプロコックス®の使用の際はフィラリア陰性を確認しています。

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ドロンタールプラス®

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イベルメック®

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プロコックス®

駆虫薬は成虫には効いても、卵には全く効きません。そのため犬鉤虫のプレパテントピリオド(経口感染15-26日、経皮感染17-21日、経乳感染10-14日、胎盤感染10-14日)、(参考 猫鉤虫は経口感染で14-21日)を考慮して駆虫薬を再投与が大切です。
ヒトには感染幼虫が皮膚から侵入し、皮膚炎を起こすことがあります。幼虫移行症に発達する場合もあります。

 


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