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本院の学術記録

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ハトのイソフルレン麻酔時の血液ガス、電解質の変化について

平成12年度関東地区獣医師大会
平成12年9月7日(木)
鬼怒川・あさやホテル
演題番号 10
ハトのイソフルレン麻酔時の血液ガス、電解質の変化について
0鈴木 透、橋本 晴夫、森谷 直樹、斎藤 徹、高橋 和明(日獣大 )

要旨

はじめに
演者らは麻酔時におけるハトの体温、心拍数、活動量および呼吸数を観察し、ハトの麻酔にはイソフルレンが最も有効であることを第121回日本獣医学会(麻布大、1996)で報告した。さらに今回、ハトでは殆ど報告されていないイソフルレン暴露前、中、後の血液ガス(静脈中pH、PVCO2、HCO3-、BE)、電解質(Na+、K+、Cl-)、PCV、TP、Albの変化を観察したので報告する。

材料および方法
供試動物は、雄の1歳齢のカワラバト(体重:400-500g)であり、温度24-26℃、湿度 40-60%、照明12時間(07:00-19:00)に設定された動物室で飼育した。麻酔器にはアコマ医科工業製GF-2を、気化器には三興イソマテックを使用した。イソフルレンは2時間の絶食後麻酔前投薬(抗コリン薬、鎮静・鎮痛薬)を使用せず、ハト用に作製した小型自家製マスクを用い、保温マットのない条件下で行った。外科的手術に可能な濃度(導入3%5分、5-30分維持2%、60-120分維持1.5%)を120分間 (14:00-16:00)暴露させた。暴露中、翼下皮下静脈より、24G留置針を使用して経時的に採血(麻酔前、麻酔後30,60,90,120分,麻酔終了30分)を行った。データーは平均値±標準偏差で示した。血液ガスの測定にはテクノメディカ製ガスタットミニを、電解質、総蛋白、Albの測定には富士ドライケム800および3000を、PCVの測定にはクボタ遠心機を使用した。

成績
暴露前の値は、pH7.45±0.1、 PVCO237.3±4.6torr、Na+148±3.1mmol/l、k+ 4.0±0.5mmol/l、Cl-102±4.3mmol/l、HCO3-28.4±5.0mmol/l、 BE 2.1±3.1mmol/l、PCV 47±6%、TP2.6±0.7mg/dl、Alb 0.7±0.2mg/dlであった。 イソフルレンの暴露で、pHは暴露30分から序々に減少を始め、暴露終了時(120分)には、pH7.21±0.05まで減少した。暴露終了30分後には7.36±0.05まで回復した。 PVCO2は暴露前の37.3±4.6torrから暴露と共に上昇し、暴露30分には59.3±8.3torrに上昇し、暴露終了時の120分には80.5±5.8torrの高い値を推移した。そして暴露終了30分後には52.6±8.4torrに回復した。 HCO3-は28.4±5.0mmol/lから、暴露30分には33.1±4.1mmol/l上昇した。その後暴露終了時(120分)までプラトーな値を記録し、暴露終了30分には31.4±4.6mmol/lにまで回復した。BE、TP、Alb、 PCVおよびNa+、K+、Cl-の電解質は暴露中有意な変化を示さなかった。

考察
以上の成績から、ハトの2時間イソフルレン麻酔において、導入とともに呼吸数が減少し、静脈中pHの低下、PVCO2の上昇、HCO3-の代償的上昇が起きた。BEは変化を示さないことより、麻酔維持期には呼吸性アシドーシスを起こすことが推測された。 さらにPVCO2の上昇は犬猫に比べて高い値を示し、暴露終了と共に速やかに回復するが、このことはハトはイソフルレン麻酔に対して犬猫よりも早く覚醒するためと思はれる。

おわりに
イソフルレンはハトの麻酔には良好な麻酔薬である。しかし麻酔中は呼吸抑制が強い状態にあるため、麻酔中の呼吸抑制をどの様にコントロールしてゆくかが今後の課題である。

発票用原稿 一部改正

はじめに
演者らは、麻酔時におけるハトの体温、心拍数、活動量および呼吸数を観察し、ハトの麻酔にはイソフルレンが最も有効であることを、第121回日本獣医学会で報告しました。しかし血液ガス、電解質からの検討はハトにおいて殆ど報告がないのが現状であります。そこで今回イソフルレンに2時間暴露させ、経時的に採血を行い、麻酔前、中、後の血液ガス、電解質の変化について検討しました。

供試動物は、1歳齢の臨床上健康と認められた雄のカワラバトを使用しました。飼育条件、麻酔使用機材等は要旨を御参考下さい。

イソフルレン麻酔は、スライドに示しましたように2時間絶食後、抗コリン薬、鎮静・鎮痛薬前処置薬は使用せず、ハト用に作製した小型自家製マスクを用い、保温マットのない条件下で行いました。外科的手術に可能な濃度(導入3%5分、5-30分維持2%、60-120分維持1.5%)を14:00-16:00の120分間暴露させました。麻酔は自発呼吸下に半閉鎖式にして、純酸素を2l/分吸入させました。採血はスライドにしめしたように、麻酔前、麻酔後30,60,90,120,150分に翼下皮下静脈よりおこないました。

これは血液ガスの測定に使用したテクノメィカ性ガスタットミニです。静脈中pH、PVCO2、HCO3-、BEを測定しました。

これはNa+、K+、Cl-TP、Albを測定した富士ドライケム800および3000と、PCVの測定したクボタ遠心機です。

こればハト用に作製した小型自家製マスクです。

まずこのようにハトをおさえてマスク導入しました。

外科的麻酔がえられたところで、写真で示しましたように、腹臥位に固定し、麻酔中は心拍数、呼吸数、体温を観察しました。

採血は翼下皮下静脈より行いました。

結果に入ります。イソフルレンに120分麻酔したときの体温の変化を示しました。

暴露とともに体温は減少しましたが、暴露終了とともに上昇傾向になりました。

呼吸数の変化を示しました。

暴露とともに体温は減少しました。

体温・心拍数・呼吸数の変化をまとめました。

暴露とともに体温・心拍数・呼吸数は減少しましたが、呼吸数を除き、暴露終了とともに上昇傾向になりました。

静脈中pHの変化を示しました。暴露とともに減少を記録しました。そして暴露終了とともに、上昇をしました。

(次のスライドお願いします。7)これはPVCO2の変化をしましました。呼吸数の減少に伴い、暴露とともにPVCO2有意に上昇し、暴露終了時までプラトーな変化をしめしました。暴露終了とともに減少しました。

これはHCO3の変化をしましました。PVCO2の上昇に伴い、暴露とともに上昇傾向になりました。暴露終了とともに減少しました。

これはNaとClの変化をしましました。暴露前、中、後とも変化は認められませんでした。

こらはKの変化をしましました暴露前、中、変化は認められませいでした。

これはCa、iPの変化をしましました。暴露前、中、後とも変化は認められませいでした。

これはTPおよびAlbの変化を示しました。暴露前、中、後とも変化は認められませいでした。

これはBE変化を示しました。暴露前、中、後とも変化は認められませいでした。

今回に結果をまとめますと、ハトにおいてイソフルレンに120分麻酔したとき、静脈中pH、電解質、生化学値の変化において、これまで犬で報告があったように、pHがさがり、HCO3が増加して、麻酔中はアシドーシスに陥りました。

麻酔前、中、後をとうして、生化学値はUAを除き、大きな変化はありませんでした。またUAは麻酔とともに減少を記録し、麻酔終了とともに、上昇傾向になることがわかりました。

ハトは個体が小さく、実際の臨床の場で、今回 の様な連続採血は、適切とは言い難く、それゆえ今回のデーターを基準に麻酔中早めに対策をねることが重要だとおもいます。今後は他の鳥類や、また動脈血との関係についても検討して行きたいとおもいます。

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